岩井俊二バンド、ヘクとパスカルが凱旋帰国ライブ「初めて自分たちらしくやれた」

2

347

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 110 126
  • 111 シェア

映画監督の岩井俊二(G)、女優でシンガーソングライターの椎名琴音(Vo)、作・編曲家の桑原まこ(Piano)からなるバンド、ヘクとパスカルが10月7日に東京・Hakuju Hallでワンマンライブ「十月のぼくら」を開催した。

ヘクとパスカル「十月のぼくら」の様子。 (c)2016 Rockwell Eyes Inc.

ヘクとパスカル「十月のぼくら」の様子。 (c)2016 Rockwell Eyes Inc.

大きなサイズで見る(全13件)

椎名琴音 (c)2016 Rockwell Eyes Inc.

椎名琴音 (c)2016 Rockwell Eyes Inc.[拡大]

このライブは7月に5都市で行われた中国ツアーの凱旋公演として行われたもの。サポートメンバーとして宮内陽輔(G)、林田順平.JP(Cello)、荒井桃子(Violin)が参加し、日本では初めてのフルメンバーによるライブとなった。開演時間を過ぎると、まずは桑原がドビュッシーの「月の光」を演奏。会場を静寂が包む中、椎名がステージに現れてLily Chou-Chouの「飛べない翼」を歌い始めた。その後も彼女は、桑原とサポートメンバーによる静かでシンプルな演奏に乗せて、存在感のある歌声をホールに響かせる。椎名が「次は明るくて楽しい曲なのでみんなで一緒に歌いましょう」と促して始まったヘクとパスカルのオリジナル曲「猫と月」では客席に合唱が起こり、それを聴いた椎名は「すごいきれいだった!」と喜びの声を上げていた。

桑原まこ (c)2016 Rockwell Eyes Inc.

桑原まこ (c)2016 Rockwell Eyes Inc.[拡大]

中盤、桑原とサポートメンバーだけで「花とアリス殺人事件」「Love Letter」、椎名を加えて「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の劇中音楽を披露したのち、大きな拍手に迎えられながら岩井がステージに登場。彼は「初めて人前でギターを演奏したのが北京だったんだけど、細胞が赤ちゃんくらいまでリセットされた気分だった」と中国公演を振り返り、会場に笑いを起こしていた。フルメンバーが揃って最初に演奏されたのは、岩井と菅野よう子がNHKの復興支援ソングとして制作した「花は咲く」。その後も、日本映画専門チャンネルの番組「岩井俊二映画presentsマイリトル映画祭」の主題歌である加藤和彦「テレビの海をクルージング」や、映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」の劇中ではCoccoが歌っていた荒井由実「何もなかったように」といった、岩井とゆかりのある楽曲のカバーが披露された。

さらに彼女たちはこの日、ヘクとパスカルのできたての新曲「君の好きな色」もパフォーマンス。友人の子供と向かい合ったときの思いを表現したこの曲を、椎名は美しいアンサンブルの上でのびのびと楽しげに歌う。そして彼女は本編最後に、YEN TOWN BANDの「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」を力強く思いを込めて熱唱。アンコールでオリジナル曲「fish in the pool」を軽やかに歌い、メンバーは拍手が沸き上がる客席に礼をしてステージを去った。

岩井俊二 (c)2016 Rockwell Eyes Inc.

岩井俊二 (c)2016 Rockwell Eyes Inc.[拡大]

終演後、音楽ナタリーの取材に対して椎名は「最後のカーテンコールが終わって礼をしたときのお客さんの反応がすごくうれしかったです。歌ってるときは不安だったけど、最後にみんなの声援を聞いて『自分は今日、うまくいったんじゃないか』って信じられました。あのときの光景が一番頭に残ってます」とコメント。桑原は「中国からの凱旋公演だったので、中国でのまとめみたいなライブになるかと思ってたら、実際は『やっと初めて自分たちらしくやれた』というライブになりました。今日はすごく素敵でいい経験だったけど、ここからもっと成長したいなって改めて思いました」と話した。また岩井は「映画だと『本番、用意スタート!』って言ったあと役者さんに任せてもいいところがあるんですけど、音楽は自分がパートの1つを実演してるから全然違いますね。長い外科の手術が終わったような心地よい疲労感で、病みつきになりそうです。映画は別の意味でストレスのある仕事だったりするんで、これからも音楽をやることによって細胞を癒やしていきたいです」と振り返った。

なお、今回のライブで披露された新曲「君の好きな色」はiTunes StoreやAmazon.co.jpなどのサイトで11月2日より配信される。この曲は、映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」の劇中にも登場する結婚披露宴のサプライズ演出「メモリプレイ」を岩井が演出し、披露宴当日にそれが行われるまでを追ったドキュメンタリー映像「メモリぃプレイ」のテーマソングとして作られたもの。ネスレアミューズの公式サイトではこの「メモリぃプレイ」を観ることができる。

※動画は現在非公開です。

この記事の画像(全13件)

ヘクとパスカル「十月のぼくら」2016年10月7日 東京都 Hakuju Hall セットリスト

01. 月の光
02. 飛べない翼
03. ぼくら
04. ユメ
05. 透明人間
06. 猫と月
07. ウヲアイニ
08. A WINTER STORY
09. SMALL HAPPINESS
10. Forever Friends
11. 花は咲く
12. 花の歌
13. テレビの海をクルージング
14. 何もなかったように
15. 歌の翼に
16. 君の好きな色
17. 風が吹いてる
18. Theme of Yen Town -Ending-
19. Swallowtail Butterfly ~あいのうた~
<アンコール>
20. fish in the pool

全文を表示

読者の反応

  • 2

Koichi @kosa_nova

初めて聴いた。好きな声。『岩井俊二バンド、ヘクとパスカルが凱旋帰国ライブ「初めて自分たちらしくやれた」』 - 音楽ナタリー https://t.co/VhlsoMV5IV

コメントを読む(2件)

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 岩井俊二 / 椎名琴音 / 宮内陽輔 の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。