このツアーはバンドが「当たり前の毎日が少しでも特別になるように」という思いで、5月から実施していたもの。LIQUIDROOM公演はワンマンライブで、ソールドアウトとなった会場には多くの観客が詰めかけた。
真っ赤なTシャツを着た椎木知仁(G, Vo)は、ギターをかき鳴らし「やっとここまで来たな!」と咆哮。その言葉に会場は沸き上がり、バンドは最新シングル「時代をあつめて」の1曲目「戦争を知らない大人たち」でライブをスタートさせる。続けて「俺らの始まりの歌を!」との言葉から高校生のときに作ったという「月に群雲」をドロップすると、場内は一気にヒートアップした。4曲を終えると椎木は「こんな大きいところでワンマンをするのは初めてです。でもがんばります」と意気込みを口にする。さらに「ライブハウスに足を運んでくれた人を絶対後悔させないんで! 結局、全部現場で起こってる!」と言葉を重ねた。
その後も3人は椎木による即興の弾き語りを織り交ぜたライブを進行。山本大樹(B, Cho)と山田淳(Dr)の織りなす骨太なリズムに乗せて、椎木はときにメロディを変えたり、ときに歌詞を叫んだりしながら、感情をぶつけていく。
10月19日にリリースされるニューアルバム「woman’s」の収録曲のうち、椎木が「1番好きかもしれない」と話した「告白」から始まったブロックでは「クリサンセマム」「マイハッピーウェディング」といったファストチューンが続く。「ディアウェンディ」のイントロでは椎木がフロアへダイブ。彼はなかなか戻ってこず、山本と山田によるパワフルな演奏がステージ上で続けられるという異様な光景に。曲の途中でマイクの前に戻ってきた椎木はシャウトするように歌唱し、会場の熱気を高めた。
MCでは椎木が「自分たちの手で機材を運んで、自分たちの足でここまできました。事故なくここに立って、たくさんの人に観てもらえていることをありがたく思います」とツアーを回想。さらに肉声で「このMy Hair is Badで、今までやってきたMy Hair is Badを倒しにきました!」「ホームランか三振か? 俺らがやるべきなのは……フルスイングだ!」と言い放って大喝采を浴びた。
この日3人がもっとも感情を炸裂させたのは、椎木が「最初で最後かもしれませんが……あの子が働いてる街でこの曲を」とつぶやいてから始めた「卒業」。楽曲の中で歌われる女性が会場のある恵比寿で働いていることから、椎木のボーカルにはより一層熱が込もる。アウトロでは椎木が「卒業だってさ、笑っちゃうよな。新幹線の中で、君の顔ばっかり思い出してた。君の顔も君の匂いも君の好きな色も。君が茹でてくれたパスタの味、君が割ってしまった食器の音、君のシャワーの音まで、まだ……まだ……」と感傷的に声を上げた。
バンドは勢いを衰えさせることなく「真赤」や初披露の新曲「恋人ができたんだ」などを届けていく。椎木は「俺らは上に行くっていうよりは、前に進みたい」「期待は裏切りたいが、応援してくれてる人のことは裏切りたくない」と今後の展望を語り、オーディエンスが「ワンツー!」と声を合わせた「夏が過ぎてく」で本編を締めくくった。
アンコールで再びステージに登場した3人は、1人ずつ感謝の言葉を述べ、「優しさの行方」をドロップ。演奏後に椎木は「これからもカッコいい音を鳴らし続けるわ!」とオーディエンスに約束し、ワンマンライブを終えた。3人が捌けると、ステージにスクリーンが降り、アルバム「woman’s」収録曲「音楽家になりたくて」のミュージックビデオが投影される。観客は思わぬ新曲披露を喜び、映像を堪能していた。
なおバンドはニューアルバム「woman's」のリリース後、12月から全国ツアー「ハイパーホームランツアー」を実施する。
My Hair is Bad「ホームランツアー 2016」
2016年9月23日 LIQUIDROOM セットリスト
01. 戦争を知らない大人たち
02. 月に群雲
03. 18歳よ
04. ドラマみたいだ
05. 赤信号で止まること
06. 愛ゆえに
07. 悪口たち
08. まだ、ほどけて
09. 告白
10. クリサンセマム
11. アフターアワー
12. ディアウェンディ
13. 元彼氏として
14. マイハッピーウェディング
15. フロムナウオン
16. 卒業
17. 真赤
18. 彼氏として
19. 悪い癖
20. 恋人ができたんだ
21. 最愛の果て
22. 夏が過ぎてく
<アンコール>
23. 優しさの行方
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