ピチカート・ファイヴのアルバム「カップルズ」と「ベリッシマ」のアナログ盤復刻を記念したスペシャルイベントが、昨日8月18日に東京・タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIOで開催。元メンバーの
「カップルズ」は1987年、「ベリッシマ」は1988年に発表されたアルバム。オリジナル盤はどちらも中古レコード市場で高額取引されるプレミアアイテムと化していた。復刻盤は小西監修のもと最新リマスタリングが施され、世界の名だたるアーティストから信頼を集めるアメリカのマスタリングエンジニア、バーニー・グランドマンがカッティングを担当した。タワーレコード渋谷店では8月24日の一般発売に先駆け、8月10日より先行販売されている。今回のイベントには、いち早く復刻盤を入手した人が招待された。
またタワーレコード渋谷店では、かつて長門氏が店主を務めた伝説のレコード店「パイドパイパーハウス」を再現した期間限定ショップ「PIED PIPER HOUSE in TOWER RECORDS SHIBUYA」が7月中旬より展開されている。1970年代にシュガー・ベイブ、ティン・パン・アレーのマネージャーとして活躍した長門氏は、その後「パイドパイパーハウス」の店主として働く一方で、当時の常連客だった小西が始めたバンド、ピチカート・ファイヴにいち早く目を付けデビューへと導いた。トークショーでは本人たちの口から当時の貴重なエピソードが明かされた。
1970年代のミニコミ誌「POP-sicle」(ポプシクル)を愛読し、その執筆者として長門氏の存在を知ったという小西。大学入学を機に北海道・札幌から東京へと移り住んだ小西は、パイドパイパーハウスに足繁く通っていた。長門氏は当時の小西を物語るエピソードとして、1枚のレコードを取り出す。それはThe Turtles「Happy Together」などを手がけたアメリカの作曲家、ゲイリー・ボナーのアルバム。これは長門氏が「POP-sicle」誌面で「未発表作品」と書いていたアルバムだが、実際にはレコードが存在し、これを持っていた小西は長門氏へプレゼントしたという。
「ピチカートのデモを最初に聴いてもらったのは長門さん」とピチカート結成当時のエピソードを明かした小西。デモを聴いた長門氏はそのセンスをいたく気に入り、自身が立ち上げるレーベルからのリリースを考えたが、小西は同時期に細野晴臣と運命的な出会いを果たし、結局は細野のレーベル・NON-STANDARDからデビューすることとなった。長門氏はその後、ピチカートがCBS・ソニーに所属した時期にマネージャーを務めている。今回再発された2枚のアルバムはその時期の作品だ。
シュガー・ベイブの才能にいち早く気付き、「シュガー・ベイブ以来入れ込んでるバンド」と当時のピチカートを大プッシュしていた長門氏。「たまたま才能ある人が隣にいただけ」と長門氏は謙遜したが、トークのMCを務めたタワーレコード・行達也氏はその「引き寄せる才能」を「銅像を作ってもいいレベルですよ」と絶賛する。小西も「銅像、いいですねえ」とそれに同調した。現在、長門氏が自らカウンターに立つPIED PIPER HOUSE in TOWER RECORDS SHIBUYAには、かつてのパイドパイパーハウスにも並んでいたような海外の隠れた名盤から、長門氏が目を付けた日本の才能あふれる若いアーティストの作品まで、こじんまりとしたスペースの中にぎっしりと詰まっている。
イベントの最後には、長門氏が自ら撮影したピチカートの秘蔵ライブ映像が上映された。このライブは「カップルズ」が発表された1987年の暮れに行われたクリスマスパーティの模様。小西は「僕にとってこの2枚(「カップルズ」「ベリッシマ」)は、つらいレコードなんです。とにかく売れなかったから」と当時を振り返ったが、長門氏は「(世の中の評価が)遅いんだよ」と、のちに国内外のポップスファンから高い評価を集めることとなったこの2作品を改めて称賛した。
PIED PIPER HOUSE in TOWER RECORDS SHIBUYAでは現在、長門氏が私物として保管していた「カップルズ」「ベリッシマ」発売当時のフライヤーなど貴重な資料を展示中。なお今回のアナログ2作品はソニー・ミュージックダイレクトが立ち上げたレーベル「GREAT TRACKS」の第1弾作品としてリリースされたもので、アナログ盤のほかCDもBlu-spec CD2規格で同時発売される。GREAT TRACKSからは今後も続々と新たな作品がリリースされる予定だ。
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