約30万人を動員する今回のツアーは、2月にリリースされたニューアルバム「Butterflies」を携え、今年4月より全国4会場6公演にわたって開催。日産スタジアム公演は16日と17日の2日間行われ、合計で約14万人の観客を動員した。
ライブの開演5分前からはステージ上方にカウントダウンの数字が表示され、7万人のオーディエンスが手拍子しながら開演への期待を高めていく。数字がゼロになり、メンバー4人がステージに登場するとすさまじい歓声が響きわたった。1曲目は「Hello,world!」。オーディエンスの腕に付けられた自動制御のリストバンド型ライト「PIXMOB」がリズムに合わせて明滅し、場内の一体感を急速に高めていった。
「パレード」「K」と畳みかけるように演奏したあと、直井由文(B)は「日産スタジアムのみんな、会いたかったぞ! いつもみんなからパワーをもらってます」と語り、観客たちとの掛け合いを楽しむ。彼の軽妙なMCで7万人を和ませたあとは、「カルマ」の鮮烈なイントロで会場の空気を一変させた。続いて披露されたのは「ファイター」。藤原基央(Vo, G)の切実な歌声が横浜の空に響きわたり、オーディエンスもじっくりと彼らの音に耳を傾けた。
さわやかなサウンドが印象的な「宝石になった日」のあと、藤原は「新しい曲やります」と告げ、観客を大喜びさせる。ここで演奏されたのは、ライブ当日7月17日に初回放送を迎えたTBS系ドラマ「仰げば尊し」の主題歌「アリア」。荘厳なオルガンのイントロで始まり、タイトなリズムに乗せて大切な人との繋がりを描いた歌詞が歌われる。途中には直井と増川弘明(G)、升秀夫(Dr)の力強いコーラスが加わり、楽曲にさらなる彩りを足していた。
中盤のMCでは、直井が「スタジアムでどうしても見たいものがあって……」と、オーディエンスにウェーブをリクエスト。彼の願いに7万人が応え、息の合ったウェーブをスタジアム中で繰り広げ、直井を「すげえ! お前ら最高!」と喜ばせた。そして最新アルバム「Butterflies」から、幻想的な世界へ誘う「流星群」、7万人の力強いハンドクラップが響いた「大我慢大会」を演奏し、観客をさまざまなサウンドで楽しませた。
ここで4人はステージを降り、アリーナを歩いて会場後方のサブステージへ移動する。後方のファンから大歓声を受けた彼らは、アコースティックスタイルで「孤独の合唱」を演奏した。ちょうど日没を迎えたこの時間帯、藤原と増川が奏でるアコースティックギターのリズムに合わせてPIXMOBが美しく輝いた。藤原は薄暗くなった空を見上げながら「このぐらいの暗さになると小中学校の頃を思い出して。友達と夏祭りに行く頃の空に似てるんだよね。何歳になってもこの暗さは切なくなるんだけど、今はこんなにたくさんの人と共有できてます」と、この日集まったオーディエンスに改めて感謝を述べた。続いて披露されたのは「ダンデライオン」。会場中が黄色の光に埋め尽くされ、歌詞の世界をそのまま表現するひとときとなった。
4人がメインステージへ戻り、ライブはいよいよ後半戦へ。「GO」ではバンドのエンブレムを模したコンフェッティが盛大に舞い上がり、ステージの巨大LEDスクリーンに映し出された雄大な自然とあいまって、壮大な世界を作り上げていく。藤原は間奏で感極まったように「聴こえてるか! 横浜!」と叫び、オーディエンスから歓声を浴びる。「supernova」の前には藤原が「声聴かせてください。一緒に歌おう」と呼びかけ、歌詞を「本当に欲しいのは 君と歌った今なんだ」と変えて熱唱。大サビで増川と直井は自身のマイクを客席側に向けてオーディエンスの合唱を促し、藤原はイヤーモニターを外して7万人の合唱に聴き入っていた。
「ray」ではレーザー光線とPIXMOBの光が場内を埋め尽くし、「虹を待つ人」では制御型の光るバルーン・チームラボボールがアリーナを舞う。さまざまな光に照らされながら、4人は心を込めてそれぞれの音を鳴らし続けた。本編最後を飾った曲は「Butterfly」。コンフェッティが上空を舞う中、高揚感に満ちたサウンドが響く。曲のエンディングでは銀テープが宙を舞い、花火が爆発して華やかにラストを彩った。演奏を終えたメンバーは口々に観客への感謝を延べ、ステージを去っていった。
すぐさま始まったアンコールの声と手拍子に応え、4人は再びステージへ。ここで披露されたのはヒット曲「天体観測」。彼らはツアーファイナルを惜しむように、会場内の隅々を見渡しながら丁寧な演奏を繰り広げた。最後はステージ上方に多数の花火が打ち上がり、ツアーの終幕を飾った。演奏を終えた4人は手をつないで頭を下げ、オーディエンスも惜しみない拍手を贈る。直井は「みんな超カッコよかったです!」と観客の盛り上がりを讃え、増川は「すげえ寂しいです。また来てね!」とファンとの再会を誓った。
最後にステージに残った藤原は「今日やってて改めて思ったけど……20年前に最初にライブをやったときは50人くらいしか人がいなくて、そのうち自分たちで呼べたのは10人ぐらいで。そんときも今も、同じ気持ちでステージに立っています」と、結成当初から変わらない心境を吐露。「ライブをやらないとみんなに会えないけど、ライブやってないときはずっと曲を書いています。曲を書いてるときはものすごくみんなのことを考えてるんだよ。君たちに会いたいな、と思いながら紡いでいる音符だったり言葉だったりするんだ。曲も幸せだと思います」と熱く語り、「どうもありがとう。おやすみ!」と挨拶。万雷の拍手に送られ、ステージを後にした。
この日産スタジアム公演で初披露された新曲「アリア」は、本日7月18日(月・祝)にTOKYO FM系で放送の「SCHOOL OF LOCK!」でラジオ初オンエアされる。また、バンドは今年秋にNHK総合で放送されるアニメ「3月のライオン」にオープニングテーマを書き下ろし提供する。この新曲に関する詳細は後日発表予定。
関連する特集・インタビュー
「BUMP OF CHICKEN STADIUM TOUR 2016 "BFLY"」2016年7月17日 日産スタジアム セットリスト
1. Hello,world!
2. パレード
3. K
4. カルマ
5. ファイター
6. 宝石になった日
7. アリア
8. 流星群
9. 大我慢大会
10. 孤独の合唱
11. ダンデライオン
12. GO
13. 車輪の唄
14. supernova
15. ray
16. 虹を待つ人
17. Butterfly
<アンコール>
18. 天体観測
関連商品
リンク
- BUMP OF CHICKEN official website
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
工藤 瑞穂 @mimimizuho
一度でいいから行きたい!
BUMP OF CHICKENスタジアムツアー終了「20年前も今も同じ気持ちでステージに」 - 音楽ナタリー https://t.co/1fyVKacCTk