「Yui Makino 30 Selection」は、1月19日に30歳の誕生日を迎えた牧野が自身の年齢にちなみ、自己最多となる合計30曲を歌う特別公演。セットリストには、デビュー初期の楽曲から昨年10月に発売された最新アルバム「タビノオト」までのオリジナル楽曲のみならず、ファンから募集したリクエストをもとにセレクトされたカバー曲も多数組み込まれていた。
ストリングスとホーンを含む8人編成のバンドを引き連れて登場した牧野はまず、自身もキーボードを演奏しながらオリジナルナンバー「春待ち風」「幸せのため息」の2曲を披露。牧野は観客の大きな拍手に応えて笑顔で挨拶すると、「今日はカバー曲が中心となっています。ステージ両側のスクリーンに歌詞が出てきますので、ぜひ知ってる曲があったら歌ってください」と観客に呼びかける。彼女の通常公演ではクラシックコーナーが挟まれるなど観客が静かに鑑賞する場面が多いが、牧野は「今日は、やっちまってください!」と、いつもの公演とは違うムードで進行することをあらかじめ宣言した。
ステージ中央のキーボードが袖へと下げられ、牧野がハンドマイクに持ち帰ると、ここから怒濤のカバーコーナーへ。前半は古内東子の「誰より好きなのに」やMy Little Loverの「Hello,again~昔からある場所~」といった1990年代の名曲、AKINOの「創聖のアクエリオン」や坂本真綾の「ループ」などのアニメソングを中心としたセットリストとなっていたが、牧野はここで長年にわたり彼女のステージをサポートしているバンマス、松ケ下宏之(Key, G)のオリジナルナンバーもチョイス。「松ケ下さんの曲は胸を締め付けられるものがたくさんあって。“せつなメーカー”なんです」とソングライターとしての松ケ下の才能を絶賛し、本人の演奏をバックに2004年の楽曲「プラタナス」を披露した。
牧野を含む声優5人のユニット・fragmentsによるテレビアニメ「放課後のプレアデス」のエンディングテーマ「ここから、かなたから」が歌われたところでステージは暗転。薄暗い照明の中、バンドがスパニッシュ調の演奏を奏で、衣装を着替えた牧野がステージに上がるとそのままスパニッシュアレンジのREBECCA「フレンズ」へとなだれ込む。バンドによる独自の編曲もこのコンサートのだいご味で、斉藤和義の「歩いて帰ろう」はボサノバタッチのアレンジが施されていた。後半には牧野がリクエスト投票と共に募集していたアンケート「リクエスト曲にまつわるエピソード」を読み上げる場面も。牧野はファンの思い入れを胸に、手嶌葵の「明日への手紙」や坂本真綾の「ヘミソフィア」を熱唱した。終盤の“春曲メドレー”では松田聖子「制服」、森山直太朗「さくら(独唱)」、花は咲くプロジェクト「花は咲く」など新旧の春の名曲を連発。カバーコーナー最後の広末涼子「MajiでKoiする5秒前」では牧野と観客の「1、2、345!」のかけ声に合わせ、場内に華やかな銀テープが舞った。
本編ラストのオリジナルナンバー「グッバイ・マイ・フレンド」「ワールドツアー」「Cluster」を歌い終えたところで、演奏曲目の合計は27曲。牧野とバンドメンバーがTシャツに着替えて再登場すると、アンコールとしてさらに「ウンディーネ」「もどかしい世界の上で」「星に願うなら」の3曲が披露され、全30曲に到達した。過去最大の曲数を歌い上げた牧野は「(開演前は)ドキドキしていましたけど、皆さんの前で歌わせていただけるのは本当にうれしいことなんだなって。こんなに“楽しい”が前面に出たライブも新鮮だったなと感じました。これからもまた、いろんな公演をやっていきたいと思います」と語った。またこの日は、8月10日に同じく東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで単独公演の開催が決定したことが牧野本人より発表された。詳細は追ってアナウンスされるので、ファンは続報を楽しみにしておこう。
牧野由依「Yui Makino 30 Selection」
2016年3月27日 恵比寿ザ・ガーデンホール セットリスト
01. 春待ち風
02. 幸せのため息
03. 誰より好きなのに(古内東子 / 1996)
04. Hello,again~昔からある場所~(My Little Lover / 1995)
05. あなたに会えてよかった(小泉今日子 / 1991)
06. TOMORROW(岡本真夜 / 1995)
07. プラタナス(松ケ下宏之 / 2004)
08. 創聖のアクエリオン(AKINO / 2005)
09. Little Bird(石川智晶 / 2007)
10. パズル(ROUND TABLE feat. NINO / 2006)
11. ループ(坂本真綾 / 2005)
12. ここから、かなたから(fragments / 2015)
13. フレンズ(REBECCA / 1985)
14. 世界中の誰よりきっと(中山美穂&WANDS / 1992)
15. 空も飛べるはず(スピッツ / 1994)
16. 歩いて帰ろう(斉藤和義 / 1994)
17. 明日への手紙(手嶌葵 / 2016)
18. ヘミソフィア(坂本真綾 / 2002)
19. 制服(松田聖子 / 1982)
20. LOVE LETTER(槇原敬之 / 1996)
21. さくら(独唱)(森山直太朗 / 2003)
22. 花は咲く(花は咲くプロジェクト / 2012)
23. PIECE OF MY WISH(今井美樹 / 1991)
24. MajiでKoiする5秒前(広末涼子 / 1997)
25. グッバイ・マイ・フレンド
26. ワールドツアー
27. Cluster
<アンコール>
28. ウンディーネ
29. もどかしい世界の上で(バラードver.)
30. 星に願うなら
※カッコ内はオリジナルアーティストおよび原曲のリリース年。
牧野由依 単独公演(タイトル未定)
2016年8月10日(水)東京都 恵比寿ザ・ガーデンホール
※詳細は後日発表。
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牧野由依リクエスト公演で広末、真綾、レベッカ、聖子などたっぷり30曲 - 音楽ナタリー https://t.co/kMrr5iRKMT