判決、死刑！聖飢魔II魔界へ帰還「戦い続けるヒントは諸君たちが握っている」

聖飢魔IIの大黒ミサ（ライブ）「聖飢魔II ～地球デビュー30周年記念・期間限定再集結・大黒ミサ FINAL～ 地獄の再審請求『上告』」が2月20日に東京・日本武道館で開催された。

2015年に地球デビュー30周年を迎え、期間限定で再集結を果たした聖飢魔II。同年9月からは全国ツアー「『全席死刑』TOUR」「『続・全席死刑』TOUR」、そして2月に日本武道館公演「地獄の再審請求『控訴』『上告』」を行った。この記事では今回の再集結最後の大黒ミサとなった「地獄の再審請求『上告』」の模様をレポートする。

聖飢魔II創始者であるダミアン浜田陛下によるナレーションが終わると、構成員（メンバー）たちが1人ひとりステージに入場。まずは「聖飢魔II ミサ曲 第II番『創世紀』」で黒ミサを開始した。「地獄の皇太子」の演奏を終えるとデーモン閣下（Vo）は「グハハハハハハハ！ いいテンションじゃねえか！」「今日も諸君たちが喜ぶようなものをいろいろと取り寄せている。まあせいぜい楽しみに……」と信者（ファン）たちを歓迎した。

デーモン閣下がMCを展開していると、ステージにはりんごが用意される。彼はこれを手に取り「いい色だねー！」「やっぱり紅玉が一番いいよ」とコメント。ところがMCでは「青森県南部地方および岩手県地方において、紅玉のことを満紅（まんこう）と呼ぶんだ！」「紅玉のことをなんと呼んでいるんだー！」と際どいアジテーションを開始。合間には「紅という字の訓読みは 『くれない』だー！」とX JAPANを彷彿とさせる小ネタも挟まれた。「アダムの林檎」演奏後には構成員たちがライブ中口にしたりんごの抽選会が実施され、番号が呼ばれるたびに会場には歓声が飛び交った。

「蝋人形の館」の冒頭ではデーモン閣下が英語で語りを行い、ゼノン石川和尚（B）がそれを日本語に訳していき、途中では「少女の悲鳴にも似た叫び声が聞こえるとか」を「年頃のご婦人の悲鳴にも似た叫び声が聞こえるとか」と言い変え信者たちの笑いを誘った。また「悪魔組曲 作品666番 変ニ短調」では信者たちによる美しいコーラスワークが展開される中、デーモン閣下は三点倒立をしながら歌う「天地逆転唱法」を披露。大熱狂のうちに第1部を終えた。

「GO AHEAD!」でスタートした第2部では、デーモン閣下が大きな斧を持って登場。彼は能楽を思わせるすり足でステージ左右端へと歩いていき、信者たちにアピールしていった。「OVERTURE ～ WINNER!」終了後のMCでは、これまでステージ後方で演奏していたライデン湯澤殿下（Dr）がステージ中をダッシュし、うれしそうな様子で感謝を述べる。さらに「BRAND NEW SONG」の後には、デーモン閣下が「161曲ある聖飢魔IIの楽曲が163曲になりそうなんだ」と新曲をリリースすることを発表。彼は「なんで解散してから新曲出すんだよ！ 順番間違ってるよ！」と自虐的に語りつつも、客席からは喜びの声が後を絶たなかった。

「ミサの雰囲気に慣れていない奴がいる！ そんな奴は！」「殺せー！」「死刑ー！」というコールを挟み披露された「BAD AGAIN ～美しき反逆～」では、怪人松崎様（Key）による美しいピアノサウンドが会場を包み込んだ。最後のMCでデーモン閣下は「世の中には大多数になじめない、マイノリティな人がいる。我々はそんなマイノリティな諸君たちへの、未来の道しるべや逆転の方法を提示してきた集団だったのかもしれない」「諸君たちはまだまだ戦っていくつもりはあるのか？ どうやったら、まだ我々に戦わせることができるのか。そのヒントは諸君たち自身が握っているわけだ」「早くそのヒントをつかまないとどこかにいってしまうかもしれない……早く行け……見失わないうちに！」とアジテート。その言葉に涙を浮かべる信者の姿も多く見られた。

最後の「EL DORADO」ではルーク篁参謀（G）とジェイル大橋代官（G）が向き合い、息ぴったりのギタープレイを展開。演奏を終えると構成員たちはゆっくりと移動し、ステージ前方に一列に並んだ。おもむろにデーモン閣下は両手を掲げ、力を込めるとステージ後方の門が開く。そして1人ずつ門をくぐっていき、全構成員がステージを去るとゆっくりと閉門。公演タイトルにあわせステージには“再審結果”として「判決」「死刑！」と字幕が投影され、約半年にわたる聖飢魔IIの再集結活動は幕を下ろした。