フジファブリック「大成功」で締めくくったホールツアー

フジファブリックが昨日11月29日に東京・NHKホールにて全国ツアー「フジファブリック HALL TOUR 2015 Hello!! BOYS & GIRLS」の最終公演を開催した。

「フジファブリック HALL TOUR 2015 Hello!! BOYS & GIRLS」は6月発売の「BOYS」と、先月リリースされた「GIRLS」という2つのミニアルバムを携えて実施されていたホールツアー。バンドにとって約2年半ぶりのNHKホールでのライブとなった最終公演はサポートメンバーに名越由貴夫（G）、BOBO（Dr）を迎え、温かなムードの中で進行した。

まだ暗転していない場内にSEが流れ始め、白い照明が客席を照らす。そして暗転し、ステージが濃紺色に染められるとメンバーが登場。幻想的な雰囲気の中、バンドは「Green Bird」でライブをスタートさせた。山内総一郎（Vo, G）が「東京ー！」と声を上げ、観客に手を振ってから始まった2曲目「虹」では山内がキーボードの下をくぐり、金澤ダイスケ（Key）の元へ。金澤に自身のギターを手渡し、金澤が戸惑いながらギターを奏でるという場面も。ほかのメンバーはその様子を楽しそうに見守り、金澤も曲が終わると山内に向かって「2曲目でアレはないだろう！」と笑顔を見せていた。

MCでは山内が「BOYS」と「GIRLS」について、「例えば『寂しい』だとか『好き』だとか、湧き上がる感情は自分以外の誰かがいて起こるもの。誰かへの思いって大切なんじゃないかなと思って作った」と解説。そしてバンドはその2枚の収録曲を中心に披露していく。山内の奏でる歪んだギターから始まる「夢みるルーザー」ではビビッドな照明がステージを照らし、加藤慎一（B）が作詞、金澤が作曲を担当した「マボロシの街」では山内が伸びやかに歌唱したのちに「いい曲！」と絶賛。続く「キノウ」ではイントロの加藤のリフにあわせて、メンバーはゆらゆらと体を揺らしながら演奏した。中盤に披露された「若者のすべて」ではシンプルな演奏に乗せた山内の力強いボーカルが広がり、「ECHO」では 山内の渾身のギターソロが高らかに響き渡る。感情むきだしのバンドの演奏に、観客はじっと聴き入った。

その後のMCでは山内が「今年でデビュー11年。志村くんと作ってきた曲を含めてこうやってステージで鳴らせることは幸せだなあって思っています」と感慨深く語った。加えて「ここで白組の衣装を着て（『NHK紅白歌合戦』に）出たいなあ……なんちゃって」と野心をのぞかせたあと、「せっかくなので……」と観客へ着席するよう促す。そして山内、金澤、加藤の3人はアコースティック編成で「ブルー」をしっとり聴かせた。観客を座らせたまま突入したMCでは加藤と山内が、NHKホールにちなんで好きなNHKの番組についてトークを展開。そしてNHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」の話題になると、金澤の合図で突然山内が番組のテーマソングであるkokuaの「Progress」を歌ってみせる一幕も。リラックスしたメンバーの自由なMCに、会場内には和やかなムードが漂った。

サポートメンバー、そして故・志村正彦を含めた全6人のメンバー紹介のあと、ライブは後半戦へ。「バタアシParty Night」「Girl! Girl! Girl!」では山内がギターを置きハンドマイクでステージ上を動き回り、かと思えば「徒然モノクローム」ではアグレッシブにギターをかき鳴らした。終盤では、山内が今回のツアーについて「いろんなことにチャレンジできた」「このツアーは……大成功でございます！」と満足げに語る。そして観客の盛大な合唱が響き渡った「Magic」のあと、バンドは「GIRLS」の1曲目「夜明け前」でしっとりと本編を締めくくった。

アンコールでは、金澤が場内の上手上方に設置しているパイプオルガンの前に登場。彼は「今回は世界一ユルいパイプオルガンを弾いてみたい。みんなにパイプオルガンの魅力を伝えたい」と思いを語る。そしてステージ上の山内、加藤とともに「sing」“NHKホールバージョン”を披露。重厚なパイプオルガンの音色にあわせて、丁寧に繰り出される演奏が広がり、場内には厳かな時間が流れた。金澤、名越、BOBOがステージにそろうと、バンドはさらに「BABY」「銀河」をプレイ。最後に軽快に「LIFE」を演奏し、5人は約2時間半にわたる充実のワンマンライブを笑顔で締めくくった。