「アンサンブルの林に佇むよう」Salyu＆小林武史、オーケストラと熱演

Salyuと小林武史がオーケストラとともにコンサート「billboard classics Salyu with 小林武史 PREMIUM SYMPHONIC CONCERT」を10月24日に神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールにて開催した。

兵庫・兵庫県立芸術文化センター 大ホール、東京・Bunkamuraオーチャードホール、ミューザ川崎シンフォニーホールの計3公演が行われたこのコンサート。千秋楽となったこの日は山下一史が指揮者を、東京フィルハーモニー交響楽団がオーケストラ演奏を担った。

最初に「to U」をアレンジした序曲をオーケストラが披露し華々しくコンサートの幕を開けると、ステージにSalyuと小林が登場。Salyuはステージ中央に用意された椅子に腰掛けると、静かなオーケストラの演奏に耳をすませるようにして「VALON-1」を歌い始める。間奏では小林のピアノも加わり、演奏は徐々にダイナミックに。それにあわせてSalyuの歌声も力強くなり、会場には壮大なアンサンブルが広がった。

2曲を歌い終えるとSalyuは「このような舞台を踏めて、大変光栄な思いでいっぱいです」と思いを語った。その後ステージでは小林のピアノで始まった「プラットホーム」や軽快なアレンジが印象的な「THE RAIN」、Salyuが立ち上がって深みのある歌声を聴かせた「アイニユケル」などが披露され、場内は荘厳な雰囲気に包まれた。

20分間の休憩時間を挟み、コンサートは第2部へ。「ミュージカルに憧れていた」というSalyuは「サウンド・オブ・ミュージック」より「The Sound of Music」、「ミス・サイゴン」より「I'd Give My Life For You」という、ミュージカルで知られるナンバーを届けていく。Salyuは手を広げたり、切なげな表情を浮かべたりと情感たっぷりに歌唱。またひときわ高いキーを聴かせたり、ブレスを挟まずロングトーンを聴かせたりと、その歌唱力も惜しみなく見せつけた。Salyuが去ると、小林のリクエストだというドビュッシーの「月の光」をオーケストラが優雅に聴かせ、コンサートは終盤へ。マイナー調の「landmark」が緊迫感あるアレンジで披露され、「有刺鉄線」では細やかな小林のピアノの音色が彩るなど、緩急つけた演奏が観客を魅了する。最後の「風に乗る船」では転調を繰り返し、そのたびに演奏はより一層スケール感を増していった。そして伸びやかな歌声で本編を締めくくったSalyuは、客席をぐるりと見渡し、笑顔でステージをあとにした。

アンコールで再び登場したSalyuは「アンサンブルの林に佇んでるような気持ち」「自然の中で優しい、色とりどりの風を受けているようなヒーリング体験をさせてもらっています」とコンサートの感想を述べる。さらに「歌手活動の中で刺激となり、成長となった」と清々しい表情で語った。幻想的な雰囲気の中で披露された「Lighthouse」のあとは、Salyuのアカペラから始まった「to U」。前半は小林のピアノとSalyuの歌声だけでしっとりと届け、後半にはオーケストラが楽曲を飾る。途中にはSalyuがマイクを遠ざけ、力強い肉声を聴かせる場面も。Salyuは最後に観客からの大喝采を浴び、オーケストラとのコンサートを大成功のうちに終えた。

なおSalyuと小林はライブシリーズ「a brand new concert issue " m i n i m a " - ミニマ - Salyu × 小林武史 - session 1 -」を12月7日と10日に東京・下北沢GARDENにて実施する。