今回のツアーは「少女時代」というテーマのもと、曲間に寸劇などを交えながらライブを通して1つの物語をつづるというコンセプチュアルな構成。セーラー服のような衣装で登場した吉澤は、まず「未成年の主張」「美少女」で初々しい少女の恋を歌った。チアガールが使うピンクのポンポンを振りながら「恋愛倶楽部」を歌い終えた彼女は、“恋愛倶楽部の1日の活動を終えて部員たちに締めの挨拶をする上級生”を演じたあと、「何が『恋がしたい』だよ……。世の中、愛だの恋だの、そればっか?」とつぶやき、サングラスをかけて不良になりきりながら「ブルーベリーシガレット」を披露。吉澤は曲中、学生カバンからオリオンの砂糖菓子「ブルーベリーシガレット」を取り出してフロアにばら撒いた。
続く「チョベリグ」で彼女はステージから降り、客席を駆け巡りながら熱唱。なぜか「なまこ壁」という曲と関係のない言葉で観客とコール&レスポンスを行い、会場を盛り上げた。また「ケケケ」では、吉澤がステージ上で突然後ろを向いて「あなたたちも踊りなさい!」と叫び、バンドメンバーが一斉に楽器を置いてディスコサウンドに乗せてダンスし始めるという一幕も。しかしにぎやかな“不良パート”が終了すると、「嘉代子ってなんか最近変わったよね?」「調子乗ってるっていうか」「懲らしめてやろうよ(笑)」という学校のクラスメイトたちの話し声が会場に流れ、ライブは突然不穏な雰囲気に変わる。
陰口をテーマにしたファンキーチューン「なかよしグルーヴ」が終わると、物語の舞台が学校から自宅に変わったことを表すように、彼女は制服のような衣装から緑色のドレスにチェンジ。机に突っ伏して泣いていた吉澤は、鉄琴を叩きながら「あぁ だめな子ね わたし同じ失敗をくりかえすことだけが得意みたいなの」と「キルキルキルミ」を歌唱し、また「こころ通わぬ眼の尖った クラスメイトよくわからないルールともおさらば」と「逃飛行少女」を歌いながらテルミンを演奏した。
その後、芝居は吉澤が本を読んでいるシーンに。ライブでこれまで描かれてきたストーリーが、吉澤が読んでいる本の内容だったことが明かされる。「これは私の物語だ」と気付いた彼女は、その読みかけの本に自分が守られていると感じ、「私が結ぶ言葉も、いつか誰かの夜を救うのだろうか」と思いにふけりながら、静かに「ぶらんこ乗り」を歌った。
終盤パートに入ると、「泣き虫ジュゴン」は「泣き虫ジュゴン、どうしてすぐに泣いちゃうの? 私はあなたのことが嫌いです」という内省的な独白から始まり、「ストッキング」は吉澤の小さい頃と思われる「大人になった私へ。立派な魔女になれていますか?」「大人になってもしも迷うときが来たら、自分を信じる魔法を思い出して」という子供の声からスタート。最後に吉澤は、セリフではない自分自身の言葉として観客に「ありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、大切な人の幸せを願って作られた「雪」を歌った。
客席からの温かな拍手を受けてアンコールが始まると、彼女はメンバー紹介として、バンドメンバーのみならずローディやPA、舞台監督といったスタッフのこともキャッチフレーズ付きで紹介。アンコールではTwitterでファンから募集した質問や相談に答える「らりるれ理論」コーナーなども行われた。吉澤はアンコールにて、自分の心臓が自分のことをはやし立てている状況を歌ったという、まだCD化されていない新曲「ひゅー」などを披露。さらにダブルアンコールとして、“思春期の物語”ではなく今の自分自身をストレートに表現した曲「23歳」を、観客の手拍子に合わせてギター1本で弾き語った。
なお5月22日には、アルバム「箒星図鑑」のギター弾き語りスコアブックが発売されることが決定。アルバムに収録されている全13曲の譜面が掲載される。
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え、松田さんすげえ。笑 → 吉澤嘉代子が赤坂BLITZで少女時代を再現、キラキラ&ドロドロな一夜に - 音楽ナタリー http://t.co/J1TqDzP4lD