フランス語で「最初の」を意味する言葉「プルミエ」をタイトルに冠したこの日の公演は、2012年にアーティストデビューした悠木初のワンマンライブ。彼女は物語性の高い楽曲群を発表してきた自身ならではの演出で、円形劇場であるアンフィシアターを彩った。
ステージ最奥に真っ白なスクリーンが張られただけの超満員のアンフィシアターにまず現れたのは、ベッドに横になる少女とロッキングチェアに揺られながらその様子を見守る老婆。アブストラクトなオープニングSEを子守唄に老婆が少女を寝かしつけると、オープニングナンバー「ハコニワソレイユ」のイントロが流れ出す。そして高さ十数メートルはあろうかという天井から太陽や月のパネルが静かに降下。続いて白のドレスに身を包んだ悠木が空中から吊るされながら登場し、オーディエンスの驚嘆の声が響く中、“少女の夢”の時間の幕を開けた。
その後も「回転木馬としっぽのうた」で、黒猫、白猫、三毛猫などに扮した6人の女性ダンサーとともにワルツのリズムに乗せて歌い踊るなど、ステージ上では夢ともうつつともつかない不思議な世界が展開される。どこまでも陽性でラブリーなメロディと、狂気をはらんだゴシックなメロディとが交錯する「Baby Dolly Alice」で彼女は、手にしたアリス人形への愛を歌い上げたかと思えば、曰く「アリスのその後のお話」である「サンクチュアリ・アリス」ではそのアリス人形をステージ中央の池に見立てた奈落へと放り投げてしまう。
また「アール デコラージュ ラミラージュ」では大柄なドラァグクイーンがオープニングの悠木よろしくフライングしながら登場。上空の“彼女”がステージ上の悠木と白仮面のダンサーたちを盛り上げると、悠木はチョウのハネをパッチワークしたかのようなド派手なドレスを身にまとい、そのドラァグクイーンやダンサーとともに「迷宮舞踏会」でダンスパーティを繰り広げる。さらには「ダスティー!ダスティーストマック」のイントロが流れるや「おや? 誰か呼んでいるよ」「みんなのところに行ってみようかな」とダンサーを引き連れ客席を行進。オーディエンスを大いに盛り上げた。
そして「Angelique Sky」のアウトロと重なるように目覚まし時計の音が鳴り響いたところでライブは最終盤に。スクリーンにマリオネットのような悠木が映し出され、その“悠木”が目を覚まし、着替えを済ませ、外へと繰り出すと、ステージ上の悠木はこれまでとは一転。「ハイ! ハイ!」と客席を煽りつつ、アップリフティングでエレクトリックなスウィングジャズ「クピドゥレビュー」と、新居昭乃&保刈久明プロデュースによる四つ打ちポップ「ポポン…ポン!」を連投し、大歓声の中「そろそろおさらばしなきゃいけない」と夢の時間を締めくくった。
しかし「好きな魚はサバ」「いつもロリータを着ている」となぜか嘘のプロフィールを交えつつダンサー陣とドラァグクイーンを紹介した悠木が「バイバイ」とステージを去っても、客席からはいつまでも鳴り止まないアンコールが。その声を受け「みんなお待たせー!」と笑顔で帰還した彼女は「『プルミエ!』、意外と静かに始まり静かに終わりました」『せっかく星(オリジナルペンライト)を買ったのに使いどころないよ』って思ったんじゃないの?」「準備はいいですか?」とオーディエンスを再び煽って「ジェットコースターと空の色」「時計観覧車」という2つのロックチューンを連投。まさに“夢”から覚めたかのようなパフォーマンスを繰り広げた。さらにダブルアンコール「I Can Fly!」では再びフライング。ステージから無数の銀テープが発射され、上空からは星形の紙吹雪が舞い散る中「やりきった!」「また皆さんと夢の世界でお会いできることを祈ってバイバイ」と改めてオーディエンスに手を振った。
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悠木碧 Concert 2015 プルミエ!
2015年4月19日 舞浜アンフィシアター セットリスト
2015年4月19日 舞浜アンフィシアター セットリスト
01. ハコニワソレイユ
02. 回転木馬としっぽのうた
03. ビジュメニア
04. Baby Dolly Alice
05. サンクチュアリ・アリス
06. アール デコラージュ ラミラージュ
07. ソラミミPiZZiCATO
08. SWEET HOME
09. twinkAtrick
10. 迷宮舞踏会
11. ダスティー!ダスティーストマック
12. ロッキングチェアー揺れて
13. Angelique Sky
14. クピドゥレビュー
15. ポポン…ポン!
<アンコール>
16. ジェットコースターと空の色
17. 時計観覧車
18. I Can Fly!
※記事初出時、曲名に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
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