上坂すみれ、今年は“聖地”で早合点に泣きかけてネットニュースに警戒する

2月11日の建国記念の日、上坂すみれのライブイベント「第二回革ブロ総決起集会 -ファイナル-」が東京・中野サンプラザホールで行われた。

商業施設の中野ブロードウェイや中野サンプラザホールのある東京・中野駅周辺は上坂にとって自身の人格形成に大きく寄与した“聖地”。彼女は昨年の2月11日に、彼女とファン、通称“同志”による集団「革命的ブロードウェイ主義者同盟」の結成1周年を記念した「革命的ブロードウェイ主義者同盟 総決起集会」をその“聖地”サンプラザで開催しており、今回の総決起集会は第2弾。彼女はデビュー発表から丸2年、初めての“聖地興行”から丸1年の時を経た、2015年2月11日、再び中野サンプラザホールのステージを踏むこととなった。

Iron Maiden「Rime of the Ancient Mariner」、聖飢魔II「悪夢の叫び」、Death「Perennial Quest」、System Of A Down「Psycho」などが開場SEとして流れるサンプラザに集まった同志は2200人。ライブ中の諸注意を伝えるアナウンスに「1、2、3」と煽られた彼らが「ダーッ」と拳を突き上げると、ほどなく客席が暗転。ステージに吊られた大型スクリーンには、中野駅からサンプラザに向かう道中、上坂が気を失うと、場面変わって般若の面を手にほの暗い一室で1人佇む彼女を映す煽り映像が流れて2年目の総決起集会はスタートした。

卒塔婆と串刺しの生首が林立するステージに「予感02」が爆音で流れ、般若面のダンサーがハードなステップを踏む中、オリエンタルなデザインのワンピース姿で登場した上坂はライブタイトルをシャウト。“ゲバルトの赤い棒”ことウルトラレッドのサイリウムの光であふれかえる客席を前に大槻ケンヂ作詞、NARASAKI作編曲のクラストコアチューン「パララックス・ビュー」と、和嶋慎治作詞・作曲・編曲のヘヴィメタルナンバー「冥界通信～慕情編～」を一気に叩き込む。

開演前に食べたものを尋ねる同志に「冷めた弁当だよ！」と吐き捨てるなどMCタイムこそ笑いの絶えないものになったが、このライブ序盤の上坂はシリアスモード。ロシア民謡仕立ての「無限マトリョーシカ」やドラムンベースの「SUMIRE #propaganda」を立て続けにパフォーマンスするとステージをあとに。そして無人のステージには再び大型スクリーンが吊り下げられ、9月の集会にも登場した上坂の分身的存在にして架空の1980年代アイドル“めろ坂みみみ”の楽屋の“生中継風”映像が投影された。

カメラを楽屋に招き入れ「こんばん腐乱死体！」とかわいらしく挨拶した、ガウン姿のみみみは、タバコの「エコー」や仁丹が転がる“とっても雑然とした”机の上の様子をレポートし、ニックネーム“みみたそ”をもとに作ったあいうえお作文「み・民主主義はウソばかり」「み・民主主義はウソばかり」「た・耕せ！ 愚民ども」「そ・そんなことよりCD買えよ」をスクリーンを眺める同志とともに唱和。以降も「18人の兄弟を養うため」に当日会場で販売していた「みみたその布」こと、彼女の全身写真がプリントされたタオルを紹介するなど、にこやかに楽屋中継を進めていたみみたそだったが、終盤突如「着替えるっつってんだろ」「空気読めよ」と立腹。カメラを追い出し、お色直しを済ませると、同志諸君の待つホールへと歩を進め“ゲストライブ”を繰り広げた。

「私の意思と打ち合わせ通りに」絵や文字が表示される「土管みたいな」LED電球付きワンピースを着たみみたそは、満面の笑みで「株もスイスフランも落ち込んじゃったから働かないと」と “ゲスト”出演の経緯を明かしつつ、テンポよくステージを構成する。LEDの光をまといながら「甘ったるいチョコレート」など、アニメ「鬼灯の冷徹」で上坂が演じるピーチ・マキ名義の楽曲3曲と、桃井はるこ作詞・作曲、松武秀樹編曲の「テトリアシトリ」を連投したのちには今回の集会が映像化されないことを逆手にとり「版権的に面倒くさくない！」と「上坂さんのなつかしコレクションコーナー」をスタートさせる。

みみたそ曰く、これは上坂がかつて歌ったキャラクターソングを自身がカバーするという企画のはずだったのだが、1曲目こそ上坂も参加する、アニメ「中二病でも恋がしたい！」内ユニット・Black Raison d'etreの「INSIDE IDENTITY」だったものの、2曲目には意外な1曲が。さるイベントで楽曲の主の1人、声優・大橋彩香と上坂がデュエットしたことを理由に、みみたそが「ファンタジスタドール」のテーマソング「今よ！ファンタジスタドール」を歌い出すと、同志もこれに追随。上坂の総決起集会で「これ、上坂さん歌ってないんじゃね？」という楽曲を2200人が熱唱する不思議な光景が繰り広げられた。

みみたそが去ったステージに、レーシーな白のドレスと巻き髪姿で登場した上坂は「FLYERS」などを「なんかドラマチックっぽく」歌うと、総決起集会本編の最終盤を定番3曲で構成する。コンバットスーツに星マークのマスク姿のダンサー陣を引き連れ「♪行進 行進 我らと行進」と1階席を行脚した「我らと我らの道を」のあとには、デビューシングル「七つの海よりキミの海」と2ndシングル「げんし、女子は、たいようだった。」を2200人と大合唱。「ありがとうございました」と笑顔でステージをあとにした。

同志諸君が熱いアンコールを送っていると、どこからともなく「アンコールありがとうございます！」との声が鳴り響き、ステージ上のスクリーンには買い物カゴを手に2階席最奥で笑顔を見せる上坂の姿。「しつこくやりますよ」と宣言した彼女は、昨年の総決起集会でも行った、自身セレクトのアイテムをばら撒く「おみやげ配付コーナー」を今年も実施。まずは手始めに近くの同志にハルク・ホーガンのフィギュア3体セットの空き箱のみを手渡した。

その後彼女は2階席で「ファッションセンスがアレ」な同志にライブTシャツを、「敗残兵っぽい人」に「ギブ・ミー・チョコレート」のメッセージとともに板チョコ型のキーホルダーをプレゼント。また男女2人連れの同志に「恋人？ 恋人？」としつこく尋ね「イチャイチャしなさいよ！」と「200円で買った」指輪を贈る。さらに1階席に場所を移せば「天龍（源一郎）に似ているあなた」にホーガンのフィギュアを、手書きのウォーズマンのお面を付けた同志にキン肉マンの下敷きを配り歩き、上坂を眼前にした感激のあまり泣き出す女性同志には握手とともにポケモングッズを手渡した。

プレゼントをすべて配り終えステージに戻った上坂は、総決起集会のサブタイトルが「ファイナル」であることに触れ「最後かもしれない」と意味深なひと言。「『これが上坂さんの姿を見た最後だった』ってことになるかもしれない……」とダメを押し「閻魔大王に訊いてごらん」「我旗の元へ集いたまえ」「来たれ！暁の同志」とアッパーチューンを3連射する。そして「みなさん本当にありがとう」「有終の美を飾るため噛みしめて言いましょう」と自身と同志のスローガン「生産！」「団結！」「反抑圧！」を2200人と三唱し、「ロクでもないことが書いてある」色とりどりのテープが噴射される中、トランジスタメガホン片手に「革命的ブロードウェイ主義者同盟」を歌うと、「今日まで本当にありがとう！」「同志諸君また会う日まで」「解散！」と舞台袖へと姿を消してしまった。

そのあまりの展開に客席からどよめきと「もう1回！」コールが巻き起こると、ステージ上にスクリーンが再々降下。「2020年の東京オリンピック開催を前に行われる都心部の再開発に伴い、中野サンプラザが再整備される」との報道を受け、今回の総決起集会を「ファイナル」と銘打ったものの、実は来年もサンプラザは存続することと、2016年2月11、12日に同所で2DAYSライブを開催することと、4月にファンクラブが発足することがアナウンスされ「何が『解散！』だ、ボケー！」と叫ぶ上坂が再びステージに現れる。

大歓声の中、アンコールの言葉はサプライズ。早合点から「ファイナル」と銘打ってしまったがゆえの苦肉の策だったことを明かした彼女は「愉快なクズどもの集い『上坂さんと同志諸君』をこれからもよろしくお願いします」と深々と一礼。これに同志諸君の温かい拍手が集まったところで総決起集会は大団円。「ここでいいことを言うべきなんだけど、言ったら泣いちゃう」「泣いたらまたネットニュースに書かれるから、いいことは言わない」と笑顔を見せた上坂は、2200人とロシア語で“万歳”を意味する「Ура！」を三唱。改めてこの日の総決起集会を「解散」させた。

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