ヒトリエ、ツアー千秋楽はレーザー飛び交う“宇宙戦争”に

ヒトリエが1月17日に東京・赤坂BLITZにて全国ワンマンツアー「WONDER and WANDER」の最終公演を行った。

このツアーは11月リリースの1stフルアルバム「WONDER and WONDER」のリリースを記念して行われたもの。彼らは「終着点」「インパーフェクション」とアルバムの1、2曲目を立て続けに披露してツアーの最終公演をスタートさせた。無数のレーザーが飛び交い、ステージ後方の壁面や空中がカラフルなネオンカラーで照らされる中、バンドは序盤からハイテンションなパフォーマンスと卓越した演奏テクニックを武器に会場の熱気を瞬く間に上昇させていく。wowaka（Vo, G）が過去にボーカロイド楽曲として発表した人気曲「ワールズエンド・ダンスホール」ではミラーボールを使った演出も加わり、きらびやかな光景が広がった。

MCでシノダ（G, Cho）は「今日のツアーファイナルは満員だぜ、バカ野郎！ 本当にありがとう！」と彼なりの愛情表現で感謝の気持ちを爆発させた。続けて「るらるら」では落ち着いた雰囲気から始まり、アッパーなサビになるなど緩急自在のアンサンブルが届けられ、「NONSENSE」ではイガラシ（B）、ゆーまお（Dr）のリズム隊が重厚なサウンドでボトムを支える中、wowakaとシノダが向き合いながらギターをかき鳴らして即興のノイズ合戦を展開する一幕も見られた。五拍子の変則的なリズムをベースにしたナンバー「5カウントハロー」では矢継ぎ早に言葉を並べるwowaka独特の歌いまわしや、シノダのアグレッシブなギタープレイが冴えわたった。

ライブの中盤、wowakaはミディアムチューン「癖」でアコースティックギターを抱えてエモーショナルな歌声を響かせ、「なぜなぜ」ではハンドマイクで観客に近づいて歌唱した。MCではアルバム制作中に曲作りが難航したが、メンバーやスタッフの力があったからアルバムを完成させることができたということを語ったのちに「難しいことは考えずに、一緒に踊ってくれたら僕はうれしい」と淡々とした口調で真っ直ぐな心情を吐露。そして「このバンドで初めて作った僕たちの大事な曲です」と一言添えてから「カラノワレモノ」を情感豊かに歌い上げた。その後シノダがレーザーが飛び交う場内の様子を「宇宙戦争みたい」と例え、「ライブも後半戦！ “宇宙戦争”に勝つ準備はできてるか！」と煽ってライブ後半に望んだ。

続けてバンドは「アイマイ・アンドミー」「ever ever ever」「踊るマネキン、唄う阿呆」という2014年2月発表の1stミニアルバム「イマジナリー・モノフィクション」の収録曲を連発。「踊るマネキン、唄う阿呆」ではイガラシのスラッピングが楽曲に躍動感を与え、フロアに激しいモッシュを生み出していた。勢いを保ったままメンバーは本編最後に高速BPMで畳み掛ける強烈なロックチューン「センスレス・ワンダー」を叩き込んでステージをあとにした。

アンコールで再びステージに登場したメンバーは、観客からの呼びかけにも気さくに答えるなどフレンドリーなトークを展開。その後しっとりしたナンバー「泡色の街」ではスペーシーなアンサンブルにあわせ、wowakaが訴えかけるような歌声を聞かせて観客を魅了した。さらにシノダの口から7月に東名阪のCLUB QUATTROを巡るワンマンツアーの開催が発表されたのち、4人はラストスパートとばかりに「サブリミナル・ワンステップ」「ローリンガール」を連発。会場のボルテージを再度高め、熱狂のままにツアーファイナルを締めくくった。なおwowakaはTOKYO FMで放送されたヒトリエのレギュラー番組「RADIO WONDER」の最終回で宣言した公約「眼鏡を投げる」を退場する間際に実行。公約通り自身の眼鏡を客席に投げ入れてステージを去っていった。