12月20日と21日に東京・新宿LOFTにてライブイベント「ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー」が開催された。
2013年12月にインディーズレーベル・ナゴムレコード出身のアーティストが大勢出演し反響を呼んだ「ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー」。今年も東京では10月に開催されたほか、12月には2日間にわたり公演が行われた。この記事では12月開催の2公演のうち20日の模様をレポートする。
この日の1番手は木魚。彼らはフロントアクトとして開演時刻15分前にライブをスタートさせた。オーディエンスの入場が一段落すると会場が暗転。ステージの幕が開くとカイシュウ(G)とニャンコ(B)がスタンバイしており「木魚のジ・エンド」の演奏を始める。しばらく楽曲が進行すると、客席からツネヲ(Vo)とハッチャキ(Per)が登場。2人はゆっくりとステージに上がり、黙々と演奏を続けていった。途中ツネヲは観客に“梅干しコール”を催促し、「なんか声小さくね?」「あと10分続くぞ」「あと2回!」と何度も煽った。MCに入ると「こんばんは……えっ、こんばんはって挨拶したんだけど?」とさらに煽るようなトークを展開。「来年はまた初心に返って32周年記念ライブとかやる予定なんですけど、渋谷のeggmanの昼の部あたりからコツコツと始めようと思う」と来年に向けての活動を話し、オーディエンスに「僕こそありがとう」と礼を言う場面も見られた。2曲目の「ラブ・木魚」ではファンとのコール&レスポンスも行われ、短時間ながら観客に強いインパクトを与えステージをあとにした。
続いてはザ・プーチンズがパフォーマンスを披露。はじめにプーチン大統領の画像がプロジェクターで映し出され、街角マチオ(Vo, G, Steelpan)がプーチン大統領の声を演じるトークコーナーが始まった。一段落すると幕が開き、今度はマチオが新宿LOFTのPAスタッフを演じるコントがスタートする。「なんか(今日のイベントに)1組変なバンドいません? 僕正直あの人たち苦手なんですよ」「あいつらのマイク、この店で一番臭いやつにしておきます」と自虐的な語りを続けていくと街角マチコ(Vo, Theremin)がステージに登場し、テルミンでドビュッシーの「月の光」を演奏する。そのまま休みなく「マイクチェックII」が会場に流れ、2人の軽快なダンスやマチオによるスティールパンの演奏が繰り広げられた。MCでは歌舞伎町の活気について話し始めるも、徐々にマチコの“バカップル”に対する意見へと話題が変わっていき、楽曲「バカップル」の演奏へとつなげられた。途中マチオが最前列にいた観客に近づき、「カップルですか?」「お嬢ちゃん、こちらのナイスな男性に向かって『金髪豚野郎』と言ってください」と絡む一幕も。そして楽曲「デンパデンパ」のあとには、ふたたびマチオ演じるプーチン大統領のトークが行われライブを終えた。
次に登場したNo Lie-SenseはKERAと鈴木慶一、サポートギターの伏見蛍の3人編成で演奏を開始。ステージ毎に編成を変えるこのユニット、この日は最少編成とのこと。彼らは「けっけらけ」「僕らはみんな意味がない」と続けて披露していく。MCでは8月の東京・夢の島陸上競技場にて行われた「WORLD HAPPINESS 2014」に出演時、天気が大荒れだったことを話題にした。「人数はいたけど(雨の影響で楽器の音が)鳴ってないという」「これ(楽譜を入れたファイル)ごと飛んでっちゃったよね」と当日を振り返った。この日も外では大雨が降っており、KERAが「慶一さん(が原因)でしょ?」「浅草でやったときも台風でね……」と鈴木をいじる。さらに「『WORLD HAPPINESS』だって俺達が終わったとたん降り止んで、のうのうと電気グルーヴが……」「雨用の曲とか作ればいいんだよね。THE MODSみたいに!」と悪天候トークが途切れることなく展開されていく。その後鈴木が「おしゃべりの合間に音楽をやってるって感じになってしまいますね、こんなことしてると」と気を引き締め、オリジナル曲のほかにフランキー堺「君も出世ができる」やエリック・アイドル「Always Look on the Bright Side of Life」のカバーを演奏した。さらに12月に行われたムーンライダーズのライブや鈴木の母親についてのMCも挟まれ、楽曲もトークも盛りだくさんの内容でファンを楽しませた。
4番目の
この日のトリを務めた初期「有頂天」セッションはKERA(Vo)のほかに本城トシアキ(G / 筋肉少女帯)、茶々丸(B)、ハッチャキ(Dr / 木魚)、杉山圭一(Key / ケラ&ザ・シンセサイザーズ)の4名が演奏隊として参加。彼らは「七色シャックリ」や曲の途中で茶々丸がリードボーカルを務める「おすもうさんの唄」といったナゴムレコード所属期に制作された楽曲を次々と披露していく。懐かしのメンバーが集まり、MCではKERAも「何とも言えない気分です」とコメント。「おすもうさんの唄」が「ヤマハポピュラーソングコンテスト」で審査員特別賞に選ばれたことや、かつてテレビ東京で放送されていた音楽番組「踊れバンバン」に出演した際のエピソードなど、当時の思い出をメンバーとともに振り返っていく。そしてKERAが「去年(演奏した)曲も恥ずかしかったんですけど、もっと禁断のところまで踏み込もう」と紹介し、「赤いゲタの女の子」を演奏。さらに途中ドラマーがみのすけ(Dr, G)に入れ替わるとともに、ゲストとしてモモヨ(Vo / LIZARD)が登場。デビューライブの1曲目で有頂天がカバーしていたLIZARDの楽曲「宣戦布告」をモモヨとともに披露するという、夢の競演が実現した。「愛のまるやけ」のあとに行われたアンコールでは貴重なナンバー「ライブハウス」「ニワトリ」の2曲も演奏され、この日の公演が締めくくられた。
なお次回の「ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー」は4月3日に東京・新宿LOFTにて開催。当日はケラ&ザ・シンセサイザーズらが出演する。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー
2014年12月20日 新宿LOFT セットリスト
木魚
01. 木魚のジ・エンド
02. ラブ・木魚
ザ・プーチンズ
01. 月の光
02. マイクチェックII
03. バカップル
04. デンパデンパ
No Lie-Sense
01. けっけらけ
02. 僕らはみんな意味がない
03. 鉄道少年
04. だるい人
05. DEAD OR ALIVE(FINE, FINE)
06. イート・チョコレート・イート
07. 大通りはメインストリート
08. 君も出世ができる
09. Always Look on the Bright Side of Life
キノコホテル
01. エレキでスイム
02. 真っ赤なゼリー
03. 肉体と天使
04. Fの巡回
05. 恋の蟻地獄
06. キノコノトリコ
07. ばら・ばら
初期「有頂天」セッション
01. 七色シャックリ
02. 牛乳ゴックン
03. おすもうさんの唄
04. 赤いゲタの女の子
05. シュルシュルシュール
06. もっとサティスファイド
07. 宣戦布告 ※ゲスト:モモヨ(Vo / LIZARD)
08. 千の病を持つ男
09. 愛のまるやけ
<アンコール>
10. ライブハウス
11. ニワトリ
ケラリーノ・サンドロヴィッチ・ミューヂック・アワー
2015年4月3日(金)東京都 新宿LOFT
<出演者>
ケラ&ザ・シンセサイザーズ / and more
リンク
- ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) | Twitter
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本城聡章 @toshiakihonjo
『LIZARDモモヨと夢の競演、KERAミューヂック・アワー1日目』
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