今回の作品は、前作にゲスト参加していたキーボードの吉田正幸(ex. 羅針盤)が曲作りの段階から加わり、盟友の頭士奈生樹(ex. 非常階段、螺旋階段、IDIOT O'CLOCK)も全面参加。アナログレコーディングを基本として6カ月かけて録音された13曲が、71分間にわたって収録される。ドラムとベースは重みを増しており、渚にてらしい感触はそのままに、これまでになくタフでダイナミックなサウンドに仕上げられている。
柴山伸二(Vo, G)はこの作品について「渚にて結成から約20年、バンド固有のアンサンブルの感覚(部族感、と置き換えてもいい)とメンバー間のバランスの緊密さという点で、ピンク・フロイド(神秘~雲の影)とザ・バンド(ビッグ・ピンク~ステージ・フライト)の境地に今、ようやく辿り着いた、という実感がある。異議は認めない」と述べている。
渚にて「遠泳」収録曲
01. 遠泳
02. まだ夜
03. 残像
04. ことりのゆめ
05. そっくりモグラ
06. 水草
07. フジオ
08. 遠雷
09. けものみち
10. 海にゆく
11. あいのほとり
12. 暗く青い星
13. ひかる ふたつ
柴山伸二(Vo, G)コメント「『遠泳』から永遠に」
2年前から始めたワンマンライブのためのリハーサルにバンド史上かつてない長時間を費やしたのを契機として、新曲のテンポと構成を決める段階から4人で作り込んできたのが、6年ぶりの新作「遠泳」だ。
前作「よすが」ではゲスト的な参加だった鍵盤の吉田正幸が、今回はヘッド・アレンジの段階から関わるようになった点も今回のポイントだ。
ニッキー・ホプキンス並に卓越したオブリガートのセンスを持つ吉田君の存在は羅針盤解散以降、あべの銀座商店街と共に再開発の波に埋もれるにはあまりに惜しいとずっと思っていた。
そういう意味では長年の念願のプロダクションが、ついに実現できたような気がする。
もちろん今回も孤高のギタリスト頭士奈生樹が参加、世界最高硬度のハーケンを要所要所で打ち込んでくれた。
いっそう重く鮮やかに鈍色の輪郭を描く竹田雅子のスネアドラムを破断強度無制限のカラビナだとすれば、深くアンサンブルの間隙をえぐり込む山田隆司の極太なベースラインは部族の命を確保するザイルだ。
音楽の秘密は、すべて世へぶちまけられるだろう。「遠泳」から永遠に。
世の中はまだ音楽を必要としている。少なくともオレは。まだ。
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竹内美保 @sakeuchi317
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