PASSPO☆、奥仲卒業で「笑って見送りたい」

PASSPO☆が9月28日に東京・新宿BLAZEにて全国ツアー「PASSPO☆ COUNT UP Tour 2014 中編『めざせ高度10,000超え 私たちなんてったってアイドル』」の東京公演を開催した。

この日はおよそ3カ月ぶりとなる東京での単独公演ということで第1部、2部ともにチケットはソールドアウトを記録。超満員のフロアは開演前から熱気に包まれていた。第1部はメジャーデビュー曲「少女飛行」で幕開けし、2曲目からアップテンポなナンバーの「マテリアルGirl」を投下して早くもフロアのテンションを上げていく。前半はそのまま「Cosmic You」や「BREAK OUT!!」といったナンバーで勢いをつけ、久しぶりの披露となった「Tap My Toe」ではクルーのセクシーなダンスによってパッセンジャー（PASSPO☆ファン）たちは魅了されていった。

また前日に誕生日を迎えた根岸のために彼女の作詞曲でもある「くちゃLOVE」で、パッセンジャーによる生誕祭が実施される。根岸のソロパートにあわせて一斉に担当カラーの白の誘導灯（ペンライト）が掲げられ、根岸やほかのクルーを驚かせた。歌唱後、根岸はパッセンジャーに感謝の気持ちを伝えてこれからもPASSPO☆をがんばっていくことを宣言した。第1部のラストでは新曲の「向日葵」、そして「『I』」が歌唱され、クルーたちは大歓声に包まれながらフライトを終えた。

時間をおいて行われた第2部では、1部では披露されなかった「ViVi夏」や「妄想のハワイ」「ピンクのパラシュート」といったナンバーが序盤から歌唱され、フロアを大きく揺らすほど盛り上げた。そしてアンコールで「Growing Up」が歌い上げられたあと、根岸から「まこっちゃんからお知らせがあります」と奥仲にマイクが渡され、ほかのクルーはステージから一旦退場する。

奥仲にスポットライトが当たると、その異様な雰囲気にパッセンジャーたちはどよめきはじめ、ゆっくりとしゃべり出す奥仲の発言に耳を傾けた。奥仲は「PASSPO☆は5周年を迎えようとしてます。5周年……いろんなことがあったなって振り返ると、楽しいことや悲しいこと、いろいろありました。でも悲しいこともPASSPO☆だから今まで笑ってこれて。PASSPO☆には5年間、私が中学の頃からたくさんのことを教えてもらいました。ここで皆さんに私からご報告があります。私、奥仲麻琴はこのツアーの最終公演をもって卒業します」とグループからの卒業を発表する。続けて奥仲は「私は20歳が過ぎて不安や焦りを強く感じるようになりました。私の夢は役者になることで、そうなるためにがんばってきました。今、正直、この決断が正解なのか不正解なのか私にもわかりません。でも自分の夢はきちんと貫き通したいから。夢は叶うかわからないけど、私は後悔しないように全力でこの先みんなに絶対よかったって言ってもらえるようにがんばろうと思います」と涙ながらに胸の内を語ると、パッセンジャーからの大きな拍手に包まれた。

さらに奥仲は「PASSPO☆にもPASSPO☆の道があって、私にも私の道があって。この決断は初めて自分で決めた大きな決断なんです。その背中を押してくれた家族やマネージャーさん、メンバーには本当に感謝してます。そしてそれを受け止めようとしてくれているパッセンジャーさんにも本当に感謝しています。私は来年1月1日をもって卒業しますが、これからもPASSPO☆を、奥仲麻琴を、それぞれ違う道かもしれませんが応援よろしくお願いします」と感謝の気持ちを語った。これを受けて根岸は「ツアーが始まる前に私たちも聞いて驚きましたが、私たちもまこっちゃんの決意が伝わってきました。まこっちゃんが決めたことが正しいかどうかはこれからのまこっちゃんしだいだと思いますが、彼女なら大丈夫だと思います。1月1日まではPASSPO☆のクルーなので、それまでは楽しくフライトしていきたい。最後は笑って見送りたい。これからもPASSPO☆をよろしくお願いします」とコメント。続いて玉井も「この9人は永遠じゃないから。みんな、毎日をちゃんと生きてくださいね」とパッセンジャーに語りかけ、ラストは全員で「少女飛行」を歌い上げてこの日のフライトを締めくくった。

ナタリーでは終演後、奥仲、森、玉井にこの日のフライトの感想を聞いた。

奥仲麻琴コメント

5年間PASSPO☆としてやってきたんですけど、卒業というこんなに大きな決断をしたのが初めてで。不安とか後悔もあるんですけど、人生なんで失敗とか恐れずいかないとダメだと思うんです。PASPPO☆としては1月1日以降いられないけど、それ以降もパッセンジャーさんにはまた違う一面で私を見てもらえたらなと思います。
まだ12カ所くらいツアーもあって、最後に9人の姿をみんなに見せられるのが私としてはうれしくて、タイミングとしてはよかったかなと。卒業についてはけっこう前から考えていて、相談を続けてきて。でも結局は自分で決めることだし、芸能界を引退するわけじゃないからまたみんなには会えると思います。
PASSPO☆にいた5年は本当に濃くて。1月1日過ぎるときっとかけがえのないものになってると思います。1月1日、全部の曲をやるってことで、一番最後に試練がきたなと思いますが、みんなに笑顔や幸せを届けたいです。

森詩織コメント

今日のフライトについては、前回新潟と石川でやったときにすごい盛り上がったので、そのときのテンションを忘れないで今日もやったんですけど、やっぱりすごい盛り上がって。うちらしだいでフライトってどうにでもなっちゃうんだなって改めて気付けました。あと8月にけっこうイベントに出演して鍛えられたかなと。アウェイのところでもやって、そこでハートも鍛えられました。
まこっちゃんのことは聞いたとき、薄々気付いていてやっぱりかって思って。そのとき私は止めなかったです。むしろ止めるっていうよりは背中を押してあげた方がいいかなって。芸能界を辞めるわけじゃないし、彼女自身やりたいこともあったので、今回の決断は悩んだと思うけどすごいなって思いました。私なら今卒業する決断はできないと思うし。
むっしゅ（佐久間夏帆）が卒業したときも後ろ向きになるより前向きになって考えた方がいいことがあったので。これからはまこっちゃんのぶんを誰かが埋めるくらいがんばらないとダメだと思います。彼女がいなくなってから「PASSPO☆落ちたな」って言われるのは絶対に嫌なんで、新たな気持ちで1月1日以降はがんばっていきたいと思います。

玉井杏奈コメント

東京での公演は1月1日までないので朝から気合い入ってました。まこっちゃんの卒業の話を聞いてから今日まで、意外とパッセンジャーの顔を見るのがつらくて。うちらには卒業するって言ったけど今日が来るまでは公表してないんだからもう卒業するって言わなくていいんじゃないかとさえ思いました（笑）。
実は私はまこっちゃんの気を変えさせようと1人で暗躍してたんです（笑）。だってやだもん。こんなに卒業とか入れ替わりがないグループってある意味貴重だし、9人にしかわからないこともあるんですよ。だからけっこうショックはあって、まこっちゃんには「本当に辞めるの？ 反対はしないけど、もうちょっと考えてみようか？」って何度も話しかけたりしてね（笑）。
フライトの前はいつもぐっすり寝られたのに昨日だけはまったく寝られなくて、自分の中でもすごく大きな問題だったんだなって、改めて気付かされて。お互い末っ子気質だから似てるところもあって、でもまこっちゃんは真面目な話をできる貴重なメンバーでもありました。
素直に卒業は嫌だって思いました。背中を押すとか、ともにがんばろうとか言いますけど、そんなの当たり前だから。メンバーとして。
でももうみんなの前で言っちゃったから、あと3カ月の間でまこっちゃんがどれだけ楽しめるかを考えていきます。パッセンジャーもきっとそれを求めてるはず。だから私はいっぱいまこっちゃんを楽しませます。1月1日は最高の日になりますよ。