人間椅子25周年ライブ盛況「武道館の最高齢記録目指す」

人間椅子が東名阪ワンマンツアー「バンド生活二十五年 ～猟奇の果～」のツアーファイナルとして、昨日1月18日に東京・TSUTAYA O-EASTでライブを開催した。

このツアーは昨年リリースされたアルバム「萬燈籠」のレコ発ツアーが即日完売になったことから、追加公演として企画されたもの。キャパ1000人を超えるTSUTAYA O-EASTは満員のファンで大にぎわいとなった。

ライブは1曲目「新調きゅらきゅきゅ節」から早くもトップギア。観客は腕を振り上げながら「ぶんがちゃっちゃ」とコールし、会場内は一気に熱気を帯びていく。和嶋慎治（G, Vo）はステージ中を跳ね回りながら卓越したギターソロを弾き、鈴木研一（B, Vo）は威嚇するようにのしのしと妖しく歩きまわりながらベースをプレイ。ナカジマノブ（Dr, Vo）の激しくも安定感のあるドラムに乗せて、重厚なメタルサウンドと力強い歌声がこだまする。この日は25周年記念ということもあり、セットリストは「怪人二十面相」「九相図のスキャット」といった最近あまり演奏されていない楽曲を含む新旧織り交ぜたものに。イントロのフレーズが奏でられるたびに会場には大歓声が沸き起こった。

MCでは鈴木が「こんな大きいところでできる器のバンドじゃないので、これは皆さんからのお年玉だと思っています」と集まったファンに向けて感謝。その後も、鈴木の「ステージの真ん中に固まってて、大きなところに慣れてないバンドみたいだ」という言葉に和嶋が「マジソンスクエアガーデンのLed Zeppelinみたい」と返したりと、3人は大きなステージでワンマンができる喜びを何度も口にしていた。

曲中に落語を取り入れた「品川心中」では年金ネタを盛り込んで観客を笑わせ、緊張のため途中で噛んでしまった和嶋が「1000人以上の前で落語をするなんて、よっぽどの大御所の落語家くらい」と笑いながら話す一幕も。「黒百合日記」の演奏前には、曲にちなんで3人がバレンタインデーのエピソードや甘酸っぱい初恋の思い出などをそれぞれ告白するという、ほのぼのしたやりとりも繰り広げられた。

「踊る一寸法師」は鈴木の不気味な高笑いがおどろおどろしいムードを作り出し、まさに「猟奇の果」というこの日のテーマにぴったりな鬼気迫るパフォーマンスに。ナカジマがパワフルなメインボーカルをとる「蜘蛛の糸」では、和嶋と鈴木が1本のマイクを使ってコーラスをする。本編ラストの「針の山」が始まると和嶋は履いていた雪駄を脱ぎ飛ばし、フロアは興奮した観客でもみくちゃになった。

アンコールでは和嶋が「30、40、50、60年と、これからもずっと人間椅子を続けてもよろしいでしょうか!?」「バンド活動を死ぬまでやります！」と宣言。最近のバンドの勢いを受けてレコード会社の予算が上がったと話し、これから新作の制作に入ることをファンに報告した。和嶋がLed Zeppelin「天国への階段」のイントロを爪弾いてからスタートした「地獄風景」では、観客が曲に合わせて三三七拍子を叩き会場が一体に。猟奇的な楽曲でありながらも、25周年記念にふさわしい幸せな空気の中で最初のアンコールは終了した。

その後、観客からの熱烈なダブルアンコールを受けてメンバーが三たびステージに登場。ナカジマは「こないだ友達の怒髪天の武道館に行ってきて、あれは感動した。怒髪天は“最遅”で武道館ライブをやったらしいんだけど、人間椅子は武道館公演の最年長記録を狙います！」と宣言した。さらに鈴木がふんどし姿でステージに現れ、バンドが「BEST FUNDOSHIST AWARD 2013（ベストフンドシスト賞2013）」を受賞したことを報告。爆笑が起こる観客を前に、鈴木がふんどし姿のままで最後に「どっとはらい」を演奏し、ライブの盛り上がりはピークに達した。ライブ後にステージで横一列になって礼をするメンバー3人に、観客から温かい拍手が贈られた。

人間椅子「バンド生活二十五年 ～猟奇の果～」2014年1月18日（土）東京・TSUTAYA O-EAST セットリスト

01. 新調きゅらきゅきゅ節
02. 爆弾行進曲
03. りんごの泪
04. 時間からの影
05. 怪人二十面相
06. 九相図のスキャット
07. ねぷたのもんどりこ
08. 品川心中
09. 黒百合日記
10. 冥土喫茶
11. 踊る一寸法師
12. 相剋の家
13. 蜘蛛の糸
14. 天国に結ぶ恋
15. 針の山
＜アンコール＞
16. 猟奇が街にやってくる
17. 地獄風景
＜ダブルアンコール＞
18. どっとはらい

※記事初出時、本文中の表記に誤りがありました。お詫びして訂正します。