11月9日、
このライブはあら恋のアルバム「DOCUMENT」のリリースツアーの一環として行われたもの。当日のUNITにはメインフロア隣のバーカウンターにまであふれかえるほどの観客が詰めかけた。
スティーヴ・ライヒ「18人の音楽家のための音楽」が開場SEとして流れる中、池永正二(Track、鍵盤ハーモニカ)、クリテツ(テルミン、Per、鍵盤ハーモニカ)、劔樹人(B)、キム(Dr)の4人のメンバーと、サポートメンバーである
以降5人は「Res」「Conflict」と「DOCUMENT」収録曲の中でも特にダンサブルなトラックを中心に前半戦のセットリストを構成する。「Res」ではクリテツがときに池永の鍵盤ハーモニカとともに開放感あふれるメロディをテルミンで奏で、ときにはパーカッション群を駆使してキムと劔とともにアップリフティングなビートを形成。「Conflict」では中盤、キム、劔、ジャンベを担いだクリテツがタフなループを続けるなか、池永が言葉にならない絶叫を連発し、アグレッシブな同曲にさらなる攻撃性を加えていく。
2008年のアルバム「カラ」収録の「トオクノ」からスタートした中盤戦は、2011年のアルバム「CALLING」の「ワカル」や、川上未映子の同名小説にインスパイアされた「DOCUMENT」収録の「ヘヴン」など、新旧取り混ぜたミディアムチューン中心の展開に。5人は野太くもヌケのいいリズムとノイジーながらもテクニカルなギター、センチメンタルかつメランコリックな鍵盤ハーモニカとテルミンの音色が混じり合う“叙情派轟音ダブバンド”の異名に違わぬプレイを披露。さらに池永が電球が剥き出しになった照明装置をリズムに合わせて振り回し、一心不乱にマラカスを振りながら無手勝流のダンスを繰り広げると、フロアの観客も呼応するかのように思い思いのステップを踏み続けていた。
「Fire Glove」「Out」というヘヴィなダブナンバーに続くライブ終盤の5人はアッパーチューンを連射する。「テン」ではドラムセットに向かって両手をかざした池永に煽られたかのようにキムがハードなドラムソロを打ち鳴らし、イントロが始まるや大歓声が巻き起こった「前日」ではやはり彼の挙動に合わせてオータケがハードなギターソロをプレイ。続けて池永はクリテツ、劔に向かって両手をかざし、彼らのテルミンとベースを大きくフィーチャーする。そして池永の大ジャンプからスタートした「ラセン」ではクリテツがステージ最前線まで歩を進め、激しくジャンベを打ち鳴らしながらフロアを挑発するかのように手招きを繰り返し、オータケは同曲の最大の見せ場である超長尺のギターソロをギターを投げ出さんばかりの勢いでエモーショナルにプレイした。
鬼気迫るプレイに観客が踊り狂う中、メンバーがライブ本編最後にプレイしたのは「DOCUMENT」のラストナンバー「Fly」。ステージ後方のカーテンが開き、姿を現した巨大スクリーンに同曲のビデオクリップが投影されると、飛翔を願うかのような美しい映像に合わせて同曲をメランコリックに、しかしどこまでも力強くプレイした。
直後に巻き起こったアンコールに応えた5人は、再びスクリーンにビデオクリップを投影しながら「Back」をプレイ。少年少女が手に手を取りながら街を歩く姿を逆再生で追った、まさにライブが終焉を迎えることを告げるかのような映像に乗せ、リズミカルなビートと優しげなハミングが印象的な同曲で超満員のUNITを踊らせた。そして池永はメンバーとともにステージを去るも、ダブルアンコールを求める観客の前に再び登場。ライブ中は曲間に「どうも」「ありがとう」とつぶやくのみでほぼノーMCで通してきた彼だが、ここでは苦笑いを浮かべながら「今日はもう出し切ったから」とひと言。「どうもありがとう。来年もよろしく」とこの日のステージを締めくくった。
あらかじめ決められた恋人たちへ「Dubbing 06」
2013年11月9日(土)東京都 代官山UNIT セットリスト
01. カナタ
02. Res
03. Nothing
04. Conflict
05. トオクノ
06. ワカル
07. クロ
08. ヘヴン
09. shadow
10. Fire Glove
11. Out
12. テン
13. 前日
14. ラセン
15. Fly
<アンコール>
16. Back
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音楽ナタリー @natalie_mu
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