再生数急上昇ソング定点観測 (2024年10月4週目) [バックナンバー]
こっちのけんと「もういいよ」はどうしてタヌキ? / Ado作詞作曲「初夏」の心の叫びに救われる人が続々
今、盛り上がり始めている曲 / これから盛り上がりそうな曲について詳しく解説
2024年10月25日 18:30 1
YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで10月11日から10月17日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。
文
まずはこの週の初登場曲の振り返りから
今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、5位に
Snow Man「One」ミュージックビデオ
11位にはCreepy Nuts「オトノケ」の歌詞を英訳したリリックビデオが登場した。こちらはテレビアニメ「ダンダダン」のオープニングテーマとして書き下ろされた楽曲だ。メロディアスなトラックの上で、「ダンダダン ダンダダン」とリズミカルに歌い上げるフックが心地いい。なお10月18日には同曲のMVが公開されており、3日間で英訳リリックビデオの再生数を上回った。この勢いで来週はMVが上位にランクインするだろう。
Creepy Nuts「オトノケ」ミュージックビデオ
13位は
XG「IYKYK」ミュージックビデオ
17位にはJENNIE(
JENNIE「Mantra」ミュージックビデオ
18位には
SEVENTEEN「LOVE, MONEY, FAME(feat. DJ Khaled)」ミュージックビデオ
今期注目を浴びているアニメの主題歌や韓国の人気グループの楽曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップした。
こっちのけんと「もういいよ」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場21位
5月に公開された「はいよろこんで」の総再生回数が130億回を突破し、一躍時の人となったこっちけんと。そんな彼が約5カ月ぶりとなる新曲「もういいよ」を発表した。
MVの概要欄には「この曲は軽蔑や飽和、解放の意味がある『もういいよ』という言葉を主軸に最近の考えを込めました。三種のチーズ的な感じです。生きてると誰しも『人前スイッチ』みたいな設定がきっとあって、それは一種の進化ではあるけど進歩ではないと言いたいなと思い制作いたしました」という彼のコメントが掲載されている。「腫れぼったいな / 『もういいよ』」「きみの尺・匙・価値観 / 『もういいよ』」「だから言ってしまいなよ / 『もういいよ』」と歌われているように、この曲で彼は周りの目や意見に対して「もういいよ」と拒絶し、自分らしく生きることを訴えているように感じられる。
MVはかわいらしいタッチの主人公と、ダークな雰囲気をまとった映像のコントラストが魅力的だ。おそらく、マイクを持ってステージで歌う女の子は“人の前で見せている姿”、そしてそれに化けているタヌキは“本当の姿”を表しているのではないだろうか。タヌキのキャラクターについてはそのほかにも、YouTubeのコメント欄で「キツネは裏表なく誰に対してもハッキリ性格が悪い人って暗喩があるけど、タヌキは表では優しくておとぼけさんな優しい人なのに裏では狡賢く腹黒い人って暗喩があるんだよな」などの考察が盛り上がっている。
デザイナーになりたいだけなのに…【わたし照らして】
なお「もういいよ」は日本テレビ公式SNSショートドラマ「毎日はにかむ僕たちは。」とコラボレーションしている。楽曲のコンセプトをもとにしたドラマがTikTokとYouTubeで公開されており、ドラマと音楽がどのような相乗効果を生んでいるのか、ぜひご覧いただきたい。
Kanaria「BRAIN」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場28位
「BRAIN」は11月1日から東京・Space Galleria(アニメイト池袋本店8F)で開催されるイラストレーター・LAMの個展 「千客万雷」のテーマソングとして、Kanariaが書き下ろした新曲だ。
LAMは「BRAIN」をはじめ「Dec.」「デーモンロード」など、KanariaのMVイラストを数々手がけており、プライベートでも連絡を取り合うほど、公私ともに深い関係。そんな2人の出会いは4年前にさかのぼる。トラックメイカー・PSYQUIのファンであるKanariaは、PSYQUIが2020年に発表した「Eyes on me feat. Such」がLAMの個展「目と雷」のテーマソングだったことからLAMの存在を知った。そしてそのイラストに惹かれたKanariaが楽曲のイラストを描いてもらえるように打診したことで両者の関係が始まったそうだ。
【お絵描き配信】LAMさんが絵を描いてくれます - Kanaria
10月12日に配信されたYouTubeライブ「【お絵描き配信】LAMさんが絵を描いてくれます - Kanaria」の中で、Kanariaは「テーマソングで(LAMの存在を)知った僕が、今回テーマソングを書くことになるっていうね」と感慨深げに話している。
「BRAIN」はジャジーなピアノが心地よいミドルテンポのサウンドに、吐息まじりのビブラートが耳に残る妖艶な歌声が重なった、大人な雰囲気の楽曲。ちなみに、これまでKanariaのMVは1枚絵のものが多く、動きがあるのはまばたきなど細かい表情の変化のみだったが、今回は歩いたり踊ったりと大きく動いている姿を楽しめるアニメーションとなっている。
Ado「初夏」
※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場33位
「初夏」は10月24日にリリースされた、
編曲を担当したのはアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」の劇中に登場するバンド・結束バンドの楽曲を数多く手がける三井律郎。三井はX(Twitter)で「この曲を聴いたことでしか得られない『感情』や『浮かんでくる景色』がある、とアレンジ中ずっと感じておりました。 とても大好きな曲です。 大切に編曲させて頂きました」とポスト。YouTubeのコメント欄では「あまりに辛い歌詞で『いい曲だった』、って軽々しく言っていいのか分からないけど、少なくともこの曲で救われる思いがしたのは自分だけではないはず。この曲を作って歌ってくれてありがとうございます」「今生きることが辛くて苦しい時に、この歌に出会えました。私だけじゃないんだって救われたような気がします」など、心の叫びを表したような刹那的な歌声と、歌詞の強いメッセージに共感する声が多く上がっている。
Ado「桜日和とタイムマシン with 初音ミク」ミュージックビデオ
また、10月24日には「桜日和とタイムマシン with 初音ミク」のMVも公開されている。「初夏」とは対照的に優しく包み込むAdoの歌声を堪能できるので、合わせてチェックしてほしい。
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- 真貝聡
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ライター / インタビュアー。雑誌やWebで執筆するほか、MOROHA「其ノ灯、暮ラシ」、BiSH「SHAPE OF LOVE」、PEDRO「SKYFISH GIRL-THE MOVIE-」といったドキュメンタリー映像作品や、テレビ特番「Mrs. GREEN APPLE ~Review of エデンの園~」にインタビュアーとして参加している。
音楽ナタリー @natalie_mu
今週は…
🔸#こっちのけんと「#もういいよ」はどうしてタヌキ?
🔸#Kanaria「#BRAIN」を生んだ4年前の出会い
🔸#Ado 作詞作曲「#初夏」の心の叫びに救われる人が続々
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今盛り上がり始めている曲について解説する連載
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