桜井和寿との共作曲に興奮
KANさんと桜井さんが番組を通じて共作した「ガス~雨の週末~」を聴いたときの興奮もはっきりと覚えています。リスナーとして曲が完成していくまでの過程をずっと見守っていましたし、とても愛しい曲です。サビのカッコよさに鳥肌が立ったし、いつかどこかできちんとスタジオ録音して、正式に発売されることを願っていたのですが、残念ながらそれは叶わずとなってしまいました。「ガス~雨の週末~」は、KANさんが「Mr.Childrenの『【es】~ Theme of es ~』のような重厚な感じがする」と言って「ガス」というタイトルを付け、そこに桜井さんがしっかり副題を添えて決まったんですよね。あのラジオ内のやり取りにはしびれました。今思うと、本当にぜいたくな遊びだと感じますし、あの流れで笑いを生み出すユーモアやセンスは、「KANさんさすがやで!」となるポイントだと思います。
KANから受けた影響
この取材のお話をいただいて、KANさんについて思いを巡らせていましたが、隙あらばおちゃらけて人を楽しませようとする精神は、僕がKANさんから影響を受けている部分なのかもしれません。それはプロ雀士としてのサービス精神とも言えるし、僕のようにイケメンでもない、ただの小市民が持てる“精一杯の武器”なのかなと思います。中学時代にKANさんのラジオを夢中に聴いていた中で勝手に親近感を覚え、自分もそういった感覚を育ててきたのかもしれないなと。
KANさんのライブは生で観たことがないんです。なにせ周りにKANさん好きがいなかったものですから、行くタイミングを逸してしまった……それは後悔していますね。思春期の頃、周りにはサザンオールスターズやBOØWY好きが多かったのですが、「KANさんが一番好き」と公言する人は僕のほかにいませんでした。デートでKANさんのライブに女の子を誘うこともできませんでした。「そこはミスチルでしょう!?」となることが自分の中で予想できてしまって……。でも今年11月にKANさんのリスペクトライブが開催されるんですよね(参照:KANの命日ライブにASKA、桜井和寿、佐藤竹善、藤井フミヤ、山崎まさよしら集結)。出演される方々、めちゃくちゃ熱いのでぜひ行きたいと思ってます!
KANの訃報を受けて
KANさんの訃報(参照:KANが61歳で死去、今年3月にメッケル憩室がんを公表)は、ただただびっくりしました。谷村新司さんが亡くなられたときも驚きましたが、「KANさん、そんな年齢だったっけ?」と思いつつ、心にぽっかりと穴が空いたような気持ちでした。実は3月にがんを公表されていたのを知らなかったので、本当に突然の訃報でした。
音楽を聴く環境をデジタル化した際にCDを断捨離していて、作品から離れていた時期があったんです。KANさんの曲はお亡くなりになってからサブスクで解禁されたので(参照:KANのワーナー時代の全作品がサブスク解禁 / KAN「愛は勝つ」サブスク解禁、ポリドール&マーキュリー時代の未配信楽曲も)、しばらく聴いてなくて。そういうのも相まって「KANさん、ごめんなさい」という気持ちになりました。訃報を受けた日はずっとKANさんの作品を聴き直していましたね。それこそ暗い部屋に篭ってウイスキーをロックで飲みながら、YouTubeに上がってる曲を永遠に聴き続けました。
改めて僕なりにKANさんの魅力を考えてみると、作品に出てくる主人公がことごとくカッコ悪いんですよ。クヨクヨしていたり、こんなこと言ったら相手にどう思われるんだろうと怖気付いたり、どこまでも等身大というか。その姿が園田少年と重なるんです。「言えずのI LOVE YOU」は、内に秘めた気持ちをいつまでも伝えられない主人公の姿が描かれているんですが、何度も「わかる!」と共感した覚えがあります。ただ、今聴くとアウトロが長いですね(笑)。「あのね、うんとね」って、そんなにリピートするかね、と。アウトロの長さで言えない気持ちを表現しているんだと思いますけど、以前カラオケで歌った際に、エンディングが長すぎて途中で消された思い出があります(笑)。
「だいじょうぶ I'M ALL RIGHT」も女の子に振られた男の心情が歌われているんですけど、ある程度経験を積んだ僕からすると「もうダメじゃん」と感じてしまう。「ぼくの本当の恋はふられてからはじまる」という歌詞があるけど、完全に「そこから逆転はないでしょ」という感じで。「REGRETS」はメロディがすごく好きなんですが、主人公がなんとも女々しい奴なんですよ。「言いそびれていたことがまだまだあった」と前置きして「本当は補欠だったLittle League」とか「君と会う前の彼女とのPhotograph」って言うんだけれど、彼女にとって“言いそびれたこと”は、どうでもいいことなんですよね。もう終わったことなので。「けやき通りがいろづく頃」の歌詞にも厨二感が存分に漂っている。そんな部分が“等身大の僕を歌っている”と思わせてくれるんです。
KANの曲を好きそうなMリーガー
この連載に登場しているKONAMI麻雀格闘倶楽部の滝沢和典さん(参照:滝沢和典が語るDragon Ash)は、赤坂ドリブンズが「Mリーグ」初代チャンピオンになった際に開催したディナーショーにゲスト出演していただき、エレキギターを弾いてもらいました。音楽の話もしましたが、ジャンルの方向性は別世界な印象だったので、「僕はアコギを弾きながらストリートライブを……」なんて取り留めのない話を。U-NEXT Piratesの小林剛さんもカラオケ好きで有名ですが、KANさんの話をするって感じではないかなあ。剛さんは徳永英明さんや小田和正さんのような、きれいな高音の声で魅了する歌が好きなイメージですね。KANさんの曲を好きそうなMリーガーですか? 僕がKANさんでオススメしたいのは、やっぱり初期、中期のバラードなんですけど、「いいね」って反応してくれるのは陰キャ寄りの人だと思います(笑)。(タブレットで「Mリーグ」選手一覧表を見ながら)EX風林火山の松ヶ瀬隆弥、セガサミーフェニックスの醍醐大さんかなあ。特に醍醐さんとは、音楽の趣味が合う気がします。
赤坂ドリブンズのチームメイトである浅見真紀とはよく一緒にカラオケに行くので、彼女が知らなくても「1曲だけ歌いたい曲、歌っていい?」って言えますね。実際、浅見の前でKANさんの曲を歌った記憶がありますし、「いい曲だね」と反応してくれました。渡辺太もカラオケが好きですけど、彼は最近の流行り曲が好きなんですよ。いつかドリブラー(赤坂ドリブンズファンの呼称)の前でKANさんの歌を披露してみたいけれど、僕の好きな曲をファンの皆さんが知らないから難しいんです。知らない曲で魅せるには、相当の歌唱力がないといけないですから。ただ、KANさんが亡くなったあと、改めて「愛は勝つ」を聴き直していい曲だなって思いました(笑)。ずっと避けてきたんですけど、今なら「愛は勝つ」が歌える気がします。
プロフィール
園田賢
1980年生まれ、兵庫県出身。2003年に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格し、第28期後期会員としてプロ雀士となる。2018年に発足した麻雀プロリーグ戦「Mリーグ」で赤坂ドリブンズからドラフト1位指名を受ける。赤坂ドリブンズは同年「Mリーグ」初代チャンピオンに輝いた。鳴きを駆使し、状況に応じた変幻自在の雀風から「麻雀賢者」「魔法使い」などの異名を持つ。
園田賢 (YouTube『その研』始めました) (@sonodaken) / X
その研 -園田賢の麻雀研究所- - YouTube
バックナンバー
KANのほかの記事
タグ
園田賢 (YouTube『その研』始めました) @sonodaken
大好きなKANさんについて取材して頂きました!KANさんのアー写を模した写真もたくさん撮ってもらいました。ぜひご一読ください🙏!! https://t.co/jRX55rsuq9 https://t.co/kTcLcdRFEH