キニナル君が行く!

キニナル君が行く! 第5回 [バックナンバー]

レコード会社のA&Rってどんな仕事?

Eveやマカロニえんぴつを担当する松崎崇さんに突撃取材!

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ヤッホーみんな! 僕、キニナル君。音楽愛する大学生♪ 将来の夢は音楽でごはんを食べていくことだよ。でも、正直わからないことばかり。だからこの連載を通して、僕が気になった音楽にまつわるさまざまな疑問を専門家の人たちに聞きに行くよ。

突然だけど、キニナル君は白状します。

以前、鈴木竜馬さんに「メジャーデビューするにはA&Rの心を動かすいい曲を作るしかない」ってアドバイスをもらったとき、僕A&Rが何かよくわかってないのにわかったふりをしてました……。知ったかぶりしてごめんなさい! そこで今回はトイズファクトリーでレーベルVIAを主宰していて、マカロニえんぴつEveりりあ。ammoなどのA&Rを務める松崎崇さんに突撃取材したよ!

取材・/ キニナル君 撮影 / 押尾健太郎 イラスト / 柘植文

A&Rってどんな仕事?

──今日はよろしくお願いします! さっそくですが、A&Rってどんなことをする人なんでしょうか?

松崎さんに元気よく挨拶するキニナル君。

松崎さんに元気よく挨拶するキニナル君。

A&Rはアーティスト・アンド・レパートリーの略で、レパートリーは楽曲という意味合いがあって、アーティストと曲をつなげる仕事だよ。アーティストが作る曲を1人でも多くの人に届けるためにアーティストの分身となって、「どういう曲がいいか」「どういうクリエイティブにしたらいいか」「どういうミュージックビデオがいいか」などを複合的に考える仕事だと思ってもらえたらいいかな。

──レパートリーって曲という意味なんですね。1人のアーティストに1人のA&Rが付くんですか?

レーベルによってまちまちで、宣伝担当と制作担当の2人が付く場合もあるよ。宣伝担当はアーティスト担当、通称“アー担”といって、宣伝プランを考える人。制作担当はレコーディング周りの原盤制作を受け持つ人で、制作ディレクターとか原盤ディレクターとも呼ばれているんだ。その呼び名はレーベルによって変わって、アー担とかディレクターという呼び方をする人もいるし、2人ともA&Rって呼ぶ人もいる。トイズファクトリーでは本当にケースバイケースかなあ。

──ナタリーのようなメディアの窓口になるのは、また別のプロモーターと呼ばれる方たちですよね?

そうだね。レコード会社のプロモーターにはそれぞれメディアの担当が振り分けられていて、テレビ担当の人がいたりラジオ担当の人がいたり、雑誌担当やWebメディア担当がいたり。テレビとラジオを同じ人が担当する場合もあって、プロモーターは音源をメディアにプロモーションしていく役割の人たちだよ。

──A&Rがアーティストにまつわる制作や宣伝施策の発信源的な感じで、プロモーターの人がその先に広く届けていく役割ですね。A&Rはアーティストの楽曲制作にどれくらい関わるんですか?

制作って曲ができるまでのすべての過程を指すので、アーティストからデモが送られてきた際に、自分たちでアレンジまで考えたいバンドだったらスタジオを押さえてエンジニアを誰にするかを相談して具体的に詰めていくし、自分でアレンジしないシンガーソングライターであれば「この曲の雰囲気だったらこういうアレンジはどう?」ってリファレンス音源を送って、アーティストとキャッチボールしたうえでアレンジャーを決めることもあるし。歌詞までアドバイスすることもあって、関わり方はそのアーティストによって変わってくるよ。

ひとりよがりの仕事はうまくいかない

──松崎さんはA&Rとしてどんなアーティストを担当しているんですか?

現場のA&Rとして直接的にアーティストに関わっているのはEve、マカロニえんぴつ、りりあ。、あと最近だとammoっていう大阪の3ピースロックバンド。Eveはレーベルだけの関わりではなくライブ制作もマネジメント会社と一緒にやっているよ。Eveのライブは映像演出がすごく重要で、バックに流す映像にミュージックビデオを使う場合はレーベルが窓口だったりもするから、レーベルがライブ制作まで関わっていると制作が進めやすいんだ。

──そういうパターンもあるんですね……!

Eveの場合レーベルとしては3人体制で、制作担当と宣伝担当がそれぞれいて、僕は両方にブリッジして会社の窓口的な役割を担当をしているんだ。やっぱりひとりよがりで進める仕事ってうまくいかないんだよね。ちゃんと役割分担を決めてそれぞれが最大限の力を発揮したほうが相乗効果でうまくいくなと思って。

──Eveさんと言えばテレビアニメ「呪術廻戦」第1クールのオープニングテーマ「廻廻奇譚」が大ヒットしましたが、どんな宣伝施策をやったんですか?

曲がよかったからヒットしたわけで、宣伝施策で売れたわけではないけど、施策の中でも印象的だったのはテレビに初めて登場させてもらったことかな。2021年12月に放送された「NHK MUSIC SPECIAL Eve」という番組で、Eveは顔出ししないアーティストなのでNHKのスタッフの方が熱量を持ってスタジオのセットとか見え方を全部調整してくれて。いいものを作りたいというNHKの皆さんの協力とEveの最高のパフォーマンスが合致して、忘れられない思い出になった。結果的に新たな層への広がりにつながったと思うし、A&Rとしてとてもやりがいがあったよ。

──最高のアウトプットになるよう一丸となって取り組んだんですね!

仕事には熱量が大事だと実感するキニナル君。

仕事には熱量が大事だと実感するキニナル君。

まさにそう。あと、あのときは1つの曲をいろんなバリエーションで広げていくことをやってみたかったので、ライブフィルムバージョンのMVを作ったよ。アニメとのマッシュアップのMVがすごい勢いで再生されていたから、「呪術廻戦」という作品経由で「廻廻奇譚」に出会ってくれたお客さんに、“Eveというアーティスト”に興味を持ってもらいたくて急遽みんなで話し合って制作したんだ。

廻廻奇譚 - Eve MV(Live Film ver)

──EveさんはYouTubeのチャンネル登録者数が493万人いて、米津玄師さん、YOASOBIのAyaseさんに次いで国内ミュージシャンの中で第3位ですよね(キニナル君調べ。2024年6月現在)。はっきり言って、すごすぎます……!

日本で3番目の登録者数を誇るチャンネルを僕らで作ることは絶対にできなくて、あれは本人がすごいよ。音楽をアニメーション映像で表現する能力が人並みはずれていて、毎回自ら素晴らしい映像ディレクターをアサインして制作をしているんだ。その結果が今の登録者数につながっているよ。

──とはいえその中で松崎さんはどういうサポートを?

Eveのやりたいことを僕らがどう調整していくかがすごく重要。本人が理想とするMVを作るためには何をやらないといけないかを逆算して、それを1つずつクリアしていってるよ。

──YouTubeで公開されているMVには英語や韓国語、簡体語、繁体語で字幕を付けていて、それで海外の人にもリーチできていますよね。英語のコメントも多いですし。

アニメーションは国境を超えられるので、Eveはそこをすごく意識してやっている。今年は初めてアジアツアーをやるので(※取材は4月下旬に実施)、もっともっと海外のお客さんにEveの魅力に気付いてもらうためにスタッフのみんなでがんばろうと思っているよ。

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レーベルの仕事としてMVがとにかく大事

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VIA @via_label

【#VIAレーベル】

factoryS/ VIA主催
松崎崇(@__electrock__)のインタビューが
音楽ナタリー (@natalie_mu ) にて公開されました!

音楽業界の仕事A&Rとは...!?
ぜひご覧ください!
https://t.co/ASA6GFUAIe

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