キニナル君が行く!

キニナル君が行く! 第4回 [バックナンバー]

花粉症の歌手って春先にライブして大丈夫? どんな対策してるの?

アレルギーに悩む大槻ケンヂさんに突撃取材!

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はっくしょい! ヤッボーみんな、ボグ、キニナル君……。将来音楽でごはんを食べでいぎだい大学生だよ。それにしてもこの時期は花粉症がつらい……。こんな状態でステージに立つなんて想像できないよ。でもミュージシャンでも花粉症の人はたくさんいるよね。みんなどうしてるんだろう? 気になって夜も眠れなくなったので、自身も花粉症として知られ、この季節にたびたび話題になる“花粉症ソング”「あのさぁ」を発表している大槻ケンヂ筋肉少女帯特撮)さんに突撃取材したよ!

取材・/キニナル君 撮影 / 藤木裕之 イラスト / 柘植文

「あのさぁ」の頃は花粉症じゃなかった

──今日はよろしくお願いします! それにしても花粉症、つらいですよね……。

世の中には2種類の人間しかいないんですよ。“花粉症の人”と“花粉症じゃない人”。花粉症じゃない人はこの大変さをわかってないんだろうなって思う。断絶を感じるよね(笑)。

“花粉症の人”にカテゴライズされる大槻ケンヂさんとキニナル君。

“花粉症の人”にカテゴライズされる大槻ケンヂさんとキニナル君。

──ですね(笑)。

ただ僕はまだましなほうで。重度なミュージシャンを見たことがあるけど、かわいそうだったなあ。完全に声が出てないし、これでステージに立つのは無理だろってくらい。花粉症の薬も飲んでいるから意識がもうろうとしていて。

──大槻さんは薬を飲んだりは?

僕は薬は飲まないようにしてる。でも、そこまでひどくはないよ。本当につらいのは3月後半から2週間くらいだけ。

──あ、けっこう短いですね。いつ頃から花粉症を自覚しました?

覚えているのは東日本大震災のあと。ものすごく目が痒くなって医者に行った記憶があるなあ。

──ということは2011年ですね。あれ? ソロシングル「あのさぁ」をリリースしたのは1995年ですよね。あの曲は花粉症の人にとってのテーマソングだと思うんですけど、発表したときはまだ花粉症じゃなかった?

「君が泣くわけが 花粉症じゃないなら♪」って歌ってる「あのさぁ」ね。確かにあれは花粉症ありきで作ったんだけど、当時仲よかった女の子が花粉症で、この時期いつもぐしゅぐしゅしていたんだよな。それを見て作ったんだったかなあ。呑気に人の花粉症を気にするような曲を作ってるくらいだから、その頃僕はまだ花粉症じゃなかったのかも。

──そうだったんですね……!

花粉症の当事者じゃない人間が作った曲だよね。花粉症の人って昔はそれほど多くなかったでしょ? 花粉症でコンディションの悪さをアピールしてくるのって、マウントを取りにきているのかと思っていたもん。ヘタすると花粉症は都市伝説なんじゃないかと思ってたくらい(笑)。

やりすぎなくらいケアしてるのに……

僕、子供の頃から鼻や喉が弱くて。今はどうなっているかわからないけど、昭和の蓄膿症の治療は恐ろしいもので、細い金属のパイプみたいなものを鼻に入れるんだよ。それで木槌でトントントンって叩いて頬につながる空間に突き通して、消毒液を流して内側に溜まっている膿を出すの。

──想像するだけで痛い……!

麻酔をしてるから実際には痛くないんだけど、おぞましいよね。それを子供の頃週イチのペースで受けてて。あとアデノイドも切除しているんだよね。アデノイドの手術は口の中からメスで切られるんだけど、生涯であんなに痛かったことはない。ゴムチューブで手足を椅子に縛り付けられて。

──今の時代だったら、不適切にもほどがありますね……!

昭和の医療ヤバいよね(笑)。あれは恐ろしかったなあ。

──今は喉や鼻のケアはどんなことをやっているんですか?

「ハナノア」という商品で鼻うがいをしたあとにうがいを3回くらいやって、「龍角散ダイレクト」っていう顆粒タイプのやつを飲んで、「のどぬ~るスプレー」を噴射してるよ。家から外出する前もやるし、ライブ本番前もやってる。

──めちゃくちゃやってますね。

なんだったら本番中のアンコール前のときも。やりすぎて逆によくないんじゃないかってくらい(笑)。「龍角散」は難しくて、色が付いているんだよね。赤と青があるんだけど、間違えて青を飲んじゃうと大変で、舌が真っ青になって毒霧を吐いたあとのグレート・ムタみたいになっちゃう。

──それは大変だ。

僕は今でも副鼻腔炎になりやすくて。副鼻腔炎の治療も、いつも病院を出て近所のルノアールで30分ほど半泣きするくらいの痛さなんだけど、治療を受けるか鼻うがいを続けるしかないって言われたから、鼻うがいをやってるんだ。ほかにも僕は舌痛症という病気があって、舌の先がいつも歯の裏側にあたっている感覚があって痛くなったり熱くなったりするんだけど、それを軽減するために「ミンティア+MASK」を舐めているよ。

──いろいろな対策をしてるんですね。

うん。あとは寝るときはずっとマスクをしてる。コロナとか関係なく、ほぼ1年通して。

──あ、聞いたことあります! ボーカリストの人は喉の乾燥を防ぐためにやるって。

そうそう。僕は歌うま系ボーカルじゃなくてシャウトする系なので喉のケアなんかしてないって思われがちなんだけど、病気不安症なところがあって、ちょっと過剰なくらいやってる。すごく神経質なのに先日もインフルエンザに罹っちゃって全然ダメなんだけど(笑)。むしろケアしてない人のほうが健康だったりするんだよなあ。

周りのボーカリストの喉ケア事情

──周りのボーカリストの方もやっぱりいろいろなケアをしてます?

話を聞くとそれぞれで、何もしないっていう人もいるんだよね。それも1つの考え方で、自己治癒力を上げる方法というか。とあるヘビースモーカーのロックミュージシャンは「俺は喉を鍛えているんだ」って言ってたな。でもあれは依存症だよね。だって喫煙家って冬の寒い雨の日でも外でタバコを吸うでしょ? それは完全におかしいって言いに行きますもん(笑)。君らはニコチン依存症だよって。

嫌煙家の大槻ケンヂさん。

嫌煙家の大槻ケンヂさん。

──食べ物で気を付けていることはありますか? ライブ前は辛いものを食べないとか、炭酸を取らないとか。

いや、それはないなあ。

──フライドチキンのような油モノを取ると喉がなめらかになる人もいるとか。

それがその人にとっては効くんだろうね。僕が聞いたことあるのは、歌う前に乳製品は絶対に取っちゃダメってこと。声帯の繊細な動きを邪魔するんだって。でも結局、花粉症も喉のケアも絶対がないので最終的にはオカルトになっていくんだよね(笑)。ホント人それぞれ。「響声破笛丸」っていう、わりといろんな人が使ってる漢方薬があるんだけど、僕はね、漢方はあまり合わなくて。

──その人がいいと思うものを摂るのが一番なんですね。

あと花粉症のときにいいのは、とにかく黙ること。これが一番だね。喉を使うとダメだからしゃべらないことが大事。

──ステージで歌うのと真逆の行為じゃないですか!(笑)

ホントそう。リハでもほとんど歌わずステージに飛び出して、2時間だけバッと開放するのが理想。なかなか難しいんだけどね。

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声が出なくなっても意外に復活する

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