楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第13回は1月20日に初の東京・日本武道館公演を控える
構成
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
Snarky Puppy「What About Me?」(冒頭~)
のびやかなギターに対して16裏でアクセントを取りつつ、リズムの輪郭を見せながら加速感を表現しています。次セクションではビートを一気に引き締めてもいいし、そのままのノリで勢いをつけていってもいい。先へのワクワク感が高まるイントロです。
Snarky Puppy - What About Me?(We Like It Here)
Incognito「Love Born In Flames」(冒頭~)
とてもシンプルなフィルインから始まる楽曲ですが、重厚感あるスネアによって一気に楽曲へ引き込まれます。サウンドメイクが素晴らしく、ベースと絡みつくキックに全体のグルーヴを作るハイハット。シェイカーと合わさり独特なノリが癖になります。
“Love Born In Flames” by Incognito(Featuring Imaani & Stuart Zender)
Incognito「Hold On To Me」(0:09~)
ベースのフレーズを汲んだ16分音符4つ目のスネアと、そのあとに来る16分裏キックが見事なグルーヴを奏でています。ハイハットの装飾もグルーヴに一役買っていて、どっしりと構えているけれども洗練されている。シンプルに聴こえてもいざプレイしてみると難しいビートです。
Incognito「Hold On To Me」
The RH Factor「Forget Regret」(0:26~)
1発目のスネアの破壊力がえげつないです。このスネアのサウンドメイクもピッチ、粒立ち、サスティーンどれをとっても本当によくて、曲中後半では、ぶっ叩いているのでぜひ一聴してほしいです。リフの緊張感を一瞬で引き上げたあと、すぐにクローズドリムへ行くところも憎い。
The RH Factor「Forget Regret」
Darryl Reeves「Retrograde」(0:36~)
サックスのテーマに入るところなのですが、テーマの最初から止めるんかい!という。いやらしさ全開のフィルにやられます。スネア2打のあと16分音符1拍目を休符にビートへ復帰するところもおしゃれで、サラッとやっていますがグルーヴに効いています。
Darryl Reeves「Retrograde」
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
楽曲によっては心地いいグルーヴの中で聴いてもらいたいものもあるので一概にとは言えませんが、わざと楽曲中にわざと変なフィルを入れることはあります。楽曲を聴いてもらう中で引っかかりを作ることって大事だなと感じてまして、使い方によってはより楽曲の世界に引き込むことができると思っています。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマーや最近気になるドラマー
スティーヴ・ジョーダンです。グルーヴって本当に針の穴を通すほどシビアで、例えばバックビートの位置がほんの少しずれるだけで全体のグルーヴを損ねてしまう。スティーヴ・ジョーダンからはそんなビートの奥深さを学びました。最近気になっているドラマーはアダム・ダイチです。ファンク系のビートがカッコいいのですが、特にゴーストノートで作り出すグルーヴがカッコいいです。
益田英知
R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆるジャンルからの影響を昇華した独自の音楽を提示する5人組バンド・Kroiのドラマー。2018年2月にInstagramを通じてKroiを結成し、2021年6月にアルバム「LENS」でポニーキャニオン内のレーベル・IRORI Recordsからメジャーデビューを果たす。その後も精力的にリリースとライブを重ねており、2024年1月17日にテレビアニメ「ぶっちぎり?!」のオープニングテーマ「Sesame」を発表する。また1月20日には初の東京・日本武道館公演の開催を控えている。
Kroi
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ヨウ @gnutempa
益田さんの音楽の話が好きです
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