堀詩音（NMB48）が選ぶ理想の代表イレブン

4年に一度のサッカーの祭典「FIFAワールドカップ」が11～12月にカタールで開催される。同大会に出場する日本代表チームの応援企画として、音楽ナタリーではサッカーを愛するアーティストに理想の代表メンバーを妄想してもらう連載企画を展開中。第4回となる今回は、Jリーグ・北海道コンサドーレ札幌の熱心なサポーターとして知られるNMB48の堀詩音に“堀ジャパン”を編成してもらった。

取材・文・撮影 / ナカニシキュウ

堀詩音とサッカー

私は北海道出身なんですけど、小さい頃はまだ日本ハムファイターズが北海道へ移転する前で、プロスポーツチームがコンサドーレ札幌くらいしかなかったんです。だからスポーツといえばサッカー、みたいな感じで。幼稚園の年中くらいのときですかね、おじいちゃんに札幌ドームへ連れていってもらってコンサドーレの試合を観たのが人生初のプロスポーツ観戦になりました。それ以来コンサドーレ一筋で、おじいちゃん、お父さん、私と親子3代で応援しています。私、実はコンサドーレと同い年なんですよ（※1）。これは本当に運命だと思っています。

それと、小学1年生のときにコンサドーレのチアダンスチームに入って、そこから8年間チアをやっていました。NMB48の劇場公演曲にチアダンスを取り入れた振付の曲があるんですけど、その曲ではダンスの先生から「すごくキラッキラしてる」と褒めていただけましたし、自分でも「これは私の曲だ！」くらいの気持ちで自信を持ってやっていましたね。チアをやっていた経験がアイドル活動にも生きていると思います。

NMB48の卒業生になるんですが、磯（佳奈江）ちゃんが熱狂的な鹿島アントラーズのサポーターなので、彼女がいた頃はよくサッカー談義をしてました。私がレッスン場でDAZNとかを観ていると、後ろから覗き込んできたりとか（笑）。県立カシマサッカースタジアムへ観戦に行ったとき、ホームチーム側の売店にしか売っていないスタジアムグルメを磯ちゃんに頼んで買ってきてもらったこともあります。サポーターの間では“密輸”と呼ばれている行為なんですけど、そのときのことをTwitterに載せたらファンの方から「アイドルの密輸現場だ！」と反応していただいたり（笑）。磯ちゃんとは、今でも会うとサッカーの話になりますね。

女性のサッカーファンがまだまだ多くはない印象があるので、もっと興味を持ってもらえたらいいなと思います。特にゴール裏の席はサポーターの熱がすごいので、女性からするとちょっと怖いイメージがどうしてもあるのかな。でも、私も現地で応援するときはゴール裏にいることが多いですし、「熱く盛り上がれるところだよ！」というのはもっと広く知ってもらいたいですね。

※1. 北海道コンサドーレ札幌は、堀の生まれた1996年に東芝堀川町サッカー部を前身として設立された。当初のクラブ名は「コンサドーレ札幌」で、道民を意味する「道産子」の逆さ読みが語源となっている。2016年、創立20周年を機にクラブ名を「北海道コンサドーレ札幌」と改めた。

コンサドーレ勢を中心とした超攻撃的チーム

堀ジャパンのメンバーは、コンサドーレの選手中心で選んでいきたいと思います！ 現実でも選ばれてほしいなという願いも込めて……ただ、私はサッカー経験者ではないので、「このポジションはおかしいんじゃないか」っていうのがけっこう出てくるかもしれないです。詳しい方から「ちゃんとしてくれ！」って言われそう（笑）。こういうの、いつもはお父さんに1回相談することが多いんですけど、今回は相談なしに勝手に決めたから、父にも「どういう戦術じゃ！」って怒られそうな気がします……。

まず絶対に外せないのは、中島大嘉選手（北海道コンサドーレ札幌）ですね。こないだ20歳になったばかりで若いんですけど、今年U-21日本代表にも選ばれた選手で、すごく注目しているんです。「利き足が頭」と言われるくらいヘディングが得意な選手で、走り方も人間離れしているというか（笑）、独特なんですよ。試合後インタビューで「ホテルの部屋にてんとう虫が入り込んでいて、それを見た瞬間に『俺は決められる』と思った」みたいなことを言っちゃうような、ちょっと不思議ちゃんっぽいところもある魅力的な選手です。あと、コンサドーレ時代に実際に代表にも選ばれていた鈴木武蔵選手（ガンバ大阪）と、2018年に1年間だけコンサドーレにいた三好康児選手（アントワープ / ベルギー）も入れたいですね。前線はこの3人でいきたいです。

「この選手をみんなに知ってほしい」ということで言うと、菅大輝選手（北海道コンサドーレ札幌）と福森晃斗選手（北海道コンサドーレ札幌）を世界に見つけてほしい。菅選手は「菅キャノン」と言われるくらいのすごい左足のキックがありまして、豪快なシュートを決めてくれます。FW（フォワード）もDF（ディフェンダー）もどこでもできるんですけど、とりあえず三好選手の下（左サイドハーフ）に置きました。その菅選手の下（左サイドバック）には、絶対に福森選手を入れたくて。Jリーグを代表するフリーキックの名手で、札幌サポーターが誇りに思っている選手なんです。コーナーキックのときも期待値がすごく上がりますし、ちょっと外せないかなって。右サイドバックはどうしましょう……田中駿汰選手（北海道コンサドーレ札幌）でもいいですか？ その田中選手の前（右サイドハーフ）には、金子拓郎選手（北海道コンサドーレ札幌）がいいかな。ドリブル力と得点力が魅力の選手です。

GK（ゴールキーパー）は文句なしに菅野孝憲選手（北海道コンサドーレ札幌）で決まりなんですけど……だんだん、代表選考というよりコンサドーレのスタメンを普通に選んでるみたいになってきましたね（笑）。センターバックは札幌じゃない人のほうがいいかな。例えば対戦相手で「この人、嫌だな」と思う選手だと……元セレッソ大阪の瀬古歩夢選手（グラスホッパー / スイス）が嫌でしたね。いつも札幌の攻撃を潰されて「やめてー」って思ってました（笑）。東京オリンピックでも活躍してましたし、ここは瀬古選手にしましょう！ この中に急に瀬古選手が入ってくるの、謎すぎますかね？（笑） もう1人は、これまたコンサドーレと関係ないですけど吉田麻也選手（シャルケ04 / ドイツ）を入れたくなってきました。コンサドーレの選手にいい刺激を与えてくれそう。

これで10人決まりましたね？ あと1人、一番重要な真ん中に入れる人が全然決まらない（笑）。誰にしよう……中盤で一番好きな選手は、札幌時代に私の推しメンだったチャナティップ選手（川崎フロンターレ）なんですけど、日本代表チームだから日本人じゃないとダメですもんね。もし現役じゃなくてもいいなら、野々村芳和さんを入れても面白いかなと思うんですけど。今Jリーグのチェアマンをやってらっしゃる方で、選手としてコンサドーレにいたこともある方なんですが……さすがにはしゃぎすぎですかね。じゃあ野々村さんはチームの盛り上げ役としてベンチにいてもらいましょう（笑）。あ、小野伸二選手（北海道コンサドーレ札幌）はアリですか？ 全然いいですよね。中盤の真ん中は小野選手にします！

やっと11人そろった（笑）。戦い方としては、超攻撃的にやりたいです。一番の期待は中島選手なので、とにかくボールを取ったらまず中島選手に集めて、どんどんシュートを打ってもらう。小野選手や吉田選手に後ろからうまく指導していただきつつ、彼が仕留められなかったとしても三好選手や武蔵選手、菅キャノンが決めてくれると思います。このメンバーでカタール大会を戦うとしたら、目標はもちろん優勝です！ やっぱり、やるからには優勝を目指してもらわないと。ベンチには野々村さんもいらっしゃいますし、無敵かなと思いますね。堀ジャパンの公式テーマソングにはNMB48の「てっぺんとったんで！」を採用しようと思っております！

サブには対戦したくない選手を

サブメンバーは、なるべく札幌以外の選手を選ぼうかな（笑）。コンサドーレがやられた印象のある選手を中心に選んでいきたいと思います。まずGKは、ガンバ大阪の一森純選手。今年5月頭のガンバ対札幌のリーグ戦に出ていて、失礼ながら私はそのとき初めてプレーを見たんです。もうことごとく一森選手にチャンスを潰されて、「今日はGKにやられたな」という印象の試合だったんですよ。結果は0-0の引き分けだったと思うんですけど。あとは、オリンピックでの活躍が印象的だった湘南ベルマーレの谷晃生選手もメンバーに入れたいですね。

DFの控えには、長友佑都選手（FC東京）を入れたいです。私が10代のときから代表で活躍されている方ですし、Jリーグに復帰されるときも「おおー」と思いましたから。札幌サポとしては、FC東京との対戦にあんまりいいイメージがないんですよ。鹿島、東京、川崎フロンターレあたりにはあんまり勝てるイメージが持てなくて……それで言うと、元FC東京の永井謙佑選手（名古屋グランパス）も出てきた瞬間「嫌やー！ 出てこないでー！」と思ってしまう選手（笑）。その永井選手をFWの控えに入れておいて、途中交代で相手を嫌がらせてもらいましょう。FC東京つながりで言うと、久保建英選手（レアル・ソシエダ / スペイン）も欲しいですね。こないだ久保選手が代表初ゴールを決めた試合（6月10日に行われたキリンチャレンジカップ・日本代表対ガーナ代表戦）も観てたんですけど、なんだか自分のことのようにうれしくなっちゃいました。

中盤にはすでに野々村さんというレジェンドがいらっしゃるので安泰ですが（笑）、湘南からガンバに行った齊藤未月選手もぜひ招集したいです。いつだか、ものすごくきれいなロングシュートを決めた映像を観たことがあって、思わずTwitterでいいねしそうになったんですよ。別にしてもいいんですけど（笑）、コンサドーレ以外の選手には基本的にいいねしないように気を付けていまして……。

自分をサッカー選手に例えると？

去年まで札幌にいた、元イングランド代表のジェイ選手ですかね。すごく心を動かされたというか、感動した発言があったんですよ。ジェイ選手はベテランと呼ばれる年齢になってから札幌に移籍してきて、チームの中ではアニキみたいな感じだったんですね。もちろん試合にはバリバリ出てましたし、得点もたくさん取ってたんですけど。そのジェイ選手があるとき「年齢はただの数字です」ということを言っていて、その言葉にすごく励まされたというか、ハッとさせられたところがあったんですよね。

私は今26歳で、NMB48では最年長なんですよ。世間的には「まだまだ若いよ」と言ってもらえる年齢ではあるんですけど、やっぱりアイドルグループにいると決して若くはないんです。下には干支がひと回り以上違う子もいるし、だんだん自分の年齢をコンプレックスのように感じ始めているところもあったというか、「もうちょっと若かったらなあ」と思ったりもしてたんですけど……そんなときにジェイ選手のその言葉を聞いて、「そうか、私もそういうふうに捉えられるようになればいいんだ」とすごく思ったんです。若い子たちに「26歳の堀さんがあれだけがんばってパフォーマンスしているんだから、自分もがんばらないと」みたいに、刺激を与えられる存在になれたらいいなと今は思っていますし、ジェイ選手の言葉を胸に刻んで活動しています。だから、「自分を例えるならジェイ選手です」と言うよりは、「ジェイ選手のようでありたい」のほうが近いですね。

たぶん私は、先頭に立って点を取りに行くタイプでは全然ないです（笑）。一歩下がったところからみんなを見て、いざというときに助言をしてあげたい性格なので。サッカーのポジションで言うなら、FWではなくGKタイプかもしれないですね。グループ内での立ち位置としては、先輩と後輩の間に入ってコミュニケーションを取る架け橋のような役割が多い気がします。あれ？ それってGKではなく、ボランチ（※2）の役割ですかね……？（笑）

※2. ディフェンスラインの前方にポジションを取る守備的MF（ミッドフィールダー）のこと。ポルトガル語で「ハンドル」を意味する語で、攻守のバランスを取りながら試合をコントロールする役割が求められる。

※カッコ内の所属クラブは2022年9月2日（金）12:00時点

堀詩音

1996年5月生まれ。北海道出身。NMB48チームM所属。2015年5月、「第2回AKB48グループ ドラフト会議」にて、NMB48・チームMに2巡目に指名され、2016年8月に正規メンバーへの昇格が発表された。2017年8月、NMB48 3rdアルバム「難波愛～今、思うこと～」のリード曲「まさかシンガポール」で初選抜メンバーに選ばれた。NMB48は9月21日に27thシングルをリリース。9月27～30日に大阪・グランキューブ大阪にて「NMB48 12th Anniversary Live」を開催する。
NMB48公式サイト
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