番組終了を迎えるEテレ「シャキーン!」の音楽面を掘り下げる (後編) [バックナンバー]
参加者のラインナップはまるで音楽フェス、月替りの歌コーナーから生まれた名曲たちの誕生秘話
各楽曲の制作エピソード、中村佳穂や馬喰町バンドとの出会いなど
2022年3月20日 17:00 127
今年3月をもって放送終了となるNHK Eテレの早朝の子供向け番組、「シャキーン!」の音楽面を軸にして掘り下げるこの短期連載。前編では「サウンドファイターズ」などの人気コーナーを担当した和賀博史ディレクターと、番組の音楽制作を担当したサキタハヂメ氏へのインタビューを掲載したが、後編では月替りの歌のコーナー「シャキーン!ミュージック」を担当していた制作会社・ディレクションズの村井敦氏に、このコーナーから生まれた多数の名曲に関する話を聞く。
取材・
“遊び心のある、実験的な曲”が多く流れた理由
「シャキーン!ミュージック」は、インディシーンの注目株からベテランまで幅広い世代のアーティストたちが、書き下ろしの曲を提供したり歌唱や演奏に参加したりしていることでも有名だ。今年3月にリリースされた、このコーナーでオンエアされてきた楽曲を集めたコンピレーションアルバム「目覚めろ」では、
一応は「朝の子供向け番組」とされている「シャキーン!」ながら、いわゆるキッズソングや童謡などとは一線を画したこういった選曲は、意図してのものなのだろうか。村井氏にメールをすると、このような回答が返ってきた。
「毎年7、8曲の月歌を作っていく中で、子供たちにもっと多様な音楽や価値観を知ってもらいたいと考え、今の形になっていきました。コーナー映像やMVでは旬のクリエイターを起用してきていたので、音楽でも同じことをやろうと進めてきた結果だと思います」
番組開始当初はサキタ氏が「シャキーン!ミュージック」の楽曲の多くを手がけていたが、バンドなどが楽曲を提供する流れが2014年あたりから徐々に始まった。これについて村井氏は「興味深く面白い音楽をやっているアーティストがたくさんいるので、子供たちに紹介したかった」と説明する。
「自分が担当していた頃は『今、何を、誰が、どう歌うか?』という、ポップミュージックでいう“同時代性”を大切にしていたので、そこにハマるアーティストを選んでいるうちに自然とそうなっていったのだと思います。あとは、Eテレというチャンネルの懐の深さですかね。有名無名にかかわらず『いいものはいい』が通用するEテレの気質が、さまざまなアーティストを起用できた一番の要因かもしれません」
2018年11月発売の2ndアルバム「AINOU」が各所で絶賛され、2021年には細田守監督作「竜とそばかすの姫」で主演を務めるとともにメインテーマや劇中歌を歌唱したり、「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たしたりと、今や人気アーティストとなった
「中村佳穂ちゃんは大学の後輩ですね(ついでに言うとHomecomingsも)。確か2015年だったと思いますが、母校に新設された新しい学科の授業のプロモーション映像を作る仕事で、十数年ぶりに行ったキャンパスで佳穂ちゃんと知り合いました。新校舎には佐久間正英さんが監修されためちゃめちゃ立派なレコーディングスタジオがあるんですけど、そこにグランドピアノが設置されていたので、『出演者の
毎朝オンエアされる番組ゆえ、月替りの曲である「シャキーン!ミュージック」は1カ月間変化がないまま連日流れることになる。それによって子供たちに飽きられてしまうのが嫌で、いろいろな試行錯誤をした結果、遊び心のある実験的な曲が多く流れることになった。曽我部恵一の「どっか」は“場所”をテーマにした曲で、場所によって曲の感じ方が変わる面白さを表現するため、6つの異なるシチュエーションでフィールドレコーディングが行われた。
「『どっか』は個人的に大好きだったLa Blogotheque『Take Away Shows』へのオマージュが見事にハマった企画だったと思います。当時登戸で起こった、通学バス待ちの小学生たちが巻き込まれた悲しい事件から、楽曲のテーマは『場所が持つ意味』でいこうと考えていました。曽我部さんの弾き語りをさまざまな場所で聴かせることで、映像はもちろん、音や声、印象や感じ方の違いを体感できる立体的な楽曲に仕上がったと思います。日替わりで違うバージョンを放送できたのもデイリー番組ならではの仕掛けですよね。番組15分間、曽我部恵一しか出てこない『“どっか”スペシャル』はとても反響がありました」
同じように子供たちに飽きられないため、「サイコロを振って出た目によって佐藤良成(ハンバート ハンバート)、
「『歌って、歌詞が決まってて面白くないな』と思って企画したのが始まりです。『偶然に身を任せる』をテーマに、岩見十夢と共通のコード進行、Aメロとサビの歌詞だけを作って。仲のいいアーティストや、一緒にやってみたかったアーティストに声をかけて、歌詞は意味が生まれないように“あいうえお作文”で散文的に書いてもらいました。番組内ではまったく明かさなかったんですが、本当にレコーディングスタジオでサイコロを振って歌詞の順番を決めたんです。同じ目が出てもOKというルールにしていたので、ハンバート良成さんが6の目を4回連続で出したときは『ろくろっ首に追いかけられた』と繰り返し歌う羽目に。あのときは笑いが止まりませんでした。映像もそれぞれの歌詞に合わせて撮ってもらったので、毎日変化する月歌に仕上げることができました。これもデイリー番組だからできる演出だったと思います」
番組から生まれたロックバンド、ザ・ぶどうかんズ
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【TV📺】
番組終了してしまう(残念)
Eテレ シャキーン!最後みんな大集合して、放送していた数々の名曲を演奏します。記事は出会いのことを話してくれてる🚃
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シャキーン!ザ・ライブ
3/21〜3/24
AM 6:40〜7:00ごろ
私もバンドやらソロやら出ています。よろしくお願いします
_________ https://t.co/iZ160JjdzU