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アイドルのセカンドキャリアを考える 第1回 [バックナンバー]

元SKE48・柴田阿弥が語る、アイドル卒業後の人生(聞き手:レナ)

大切なのはどれだけ選択肢を増やせるか

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好きを仕事にするのか、得意を仕事にするのか


レナ SKE48はキャスターやリポーターになられる卒業生が多いですけど、同時期に活動していたほかのメンバーはどういったセカンドキャリアを歩まれていますか?

柴田 結婚した子もいるし、普通に一般企業で働いてる子もいますね。あとは女優や音楽活動とか、現役で残ってる子もいますけど、半分くらいは芸能界を引退していると思います。

レナ 私と同時期に活動していたアイドルも半分くらいは引退しました。これからの時代、女性が結婚しても仕事を続けられる職場環境が整っていくと思うんですよ。だから私は今の現役アイドルの子たちに、しっかりとしたセカンドキャリアを歩んでほしいと思っていて。アイドル時代にやっておいたほうがいいと思うことは何かありますか?

柴田 アイドル時代は目の前のことを一生懸命やったほうがいいと思います。もちろん不安だと思うんですけど、先のことは誰にもわからないわけじゃないですか。だからこそ、まずは一生懸命にアイドルをやる。あとはアイドルを卒業した子はみんな言うんですけど、辞めるタイミングは絶対に降ってきますから(笑)。
柴田阿弥

柴田阿弥


レナ 降ってくる!

柴田 うん、一生懸命やってたら降ってくると思います。確かにアイドルは不安なことやしんどいことも多いけど、やるからには全力じゃないと後悔が残ると思うんです。全力でやったのなら自分が望む結果が出なくても納得できるというか。私、アイドルに戻りたいと思ったことないんですよ。

レナ それは全力でアイドルをやり切ったということですよね。私はアイドルとして10年間活動して後悔はないんですけど、もう少し大人たちと会話ができたらよかったなって思うんです。20歳でデビューしてがむしゃらに活動してきたんですけど、20代中盤くらいにその後の人生というか、セカンドキャリアについてなんとなく考えるようになっても、そういう話をできる空気じゃなくて。

柴田 辞めないほうが事務所はうれしいですもんね。

レナ 最終的に解散する半年前に会社を畳みますって言われて(笑)。

柴田 え、大変でしたね!?

レナ もう少しなんとかしてほしいなとは思いました(笑)。貯蓄がないままグループを卒業するアイドルも少なくないと思うんですよ。セカンドキャリアを歩むにあたって、大学に通い直すのにも資金面ですごく苦労してしまう。だから運営の方々にはアイドルの子たちを1人の人間として扱ってほしいなと思っていて。

柴田 うんうん。

レナ その中でも柴田さんは理想の形でセカンドキャリアを切り開いているイメージがあって。今、将来について悩んでいるアイドルたちに何かアドバイスなどいただけたらと思います。

柴田 好きを仕事にするのか、得意を仕事にするのかっていう二択があると思うんですけど、アイドルは好きを仕事にしてる人が多いと思うんですね。でも“アイドルが得意な人”ってひと握りなんですよ。だから現役アイドルの子たちには全力で活動に取り組みつつ、「もしかしたらアイドル以外に自分には人よりも努力せずに多くの結果を残せる仕事があるかもしれない」っていうのを頭の片隅に入れてほしいんです。

レナ なるほど。
柴田阿弥

柴田阿弥


柴田 私の場合、アイドルは好きだった仕事で、アナウンサーはたぶん向いてる仕事だと思うんです。人生で大切なのはどれだけ選択肢を増やせるかだと思うから、アイドル活動が忙しいのはわかるけど学校にはちゃんと行ったほうがいい。アイドルを辞めたあとの人生のほうが長いので、アイドルだけで燃え尽きないようにしてほしいです。しんどいことも多いけどちゃんと学校に通ったり、親御さんと将来のことを話し合ったりするのが大事かなと。

レナ 家族が一番身近で自分の得意不得意を見極めてくれる存在ですもんね。柴田さんもご両親と話し合いはしたんですか?

柴田 向き不向きみたいなのは自分で働いてみて感じたことですね。親からは「アイドルを辞めたあとの人生のほうが長いんだから」と大学に行くようには言われていました。もちろん大学に入ることがすべてだとは思わないですけど、中学、高校くらいまでは行ったほうがいいのかなと思います。アイドル活動をしていると、どうしても社会との距離が生まれてしまうんですよ。学校に行って友達と話したり、コミュニケーションを取るのはアイドル活動にも生きてくると思うので。

レナ アイドルとして働きつつ大学という外の世界に触れる中で、何かそれぞれの違いみたいなものを感じたことはありますか?

柴田 うーん、なんでそんなにすぐ泣くんだろうとは思ったことがあります。

レナ それはアイドルのほうが?

柴田 そう。泣いてても何も変わらないのにって。今思うと逃げ場がない状況でメンタル的にギリギリだったのかなと理解できるんですけどね。精神的に不安定な年齢の子も多いので、なおさら親御さんや周囲との話し合いは大切なのかなと。

レナ そうですね。ちなみに柴田さんは社会に出て難しさを感じたことはありますか?

柴田 あります、あります。最初はミスをすることも多かったですし、「私、こんな漢字も読めなかったんだ」みたいな。あと、アイドルで集まるとどうしても狭い会話になるので、だからこそ一般の友達や家族と話したり、外の世界に触れる機会は多いほうがいいと思いますね。

1人だからこそ感じられる充実感

レナ 最後に、今のお仕事をしていてどんなときに充実感を感じますか?

柴田 今日もレナさんにお会いして、こうやってじっくり話ができて充実しています。昔は大勢の中の1人だったから、自分で何かを成し遂げた感は総選挙(「AKB48選抜総選挙」)のときくらいしかなかったんですよ。今は1人で仕事をしているから、その分責任感を感じることが多くて。うまくいってもいかなくても自分の責任だから、生きてるなと思えるし、すごくやりがいを感じるんです。

レナ 大所帯を知ったからこそわかるんでしょうね。働くうえで心がけていることはありますか?

柴田 なるべく楽しんで仕事したほうがうまくいく気がします。けっこう追い込まれやすくて不安症だったりするんですけどね。あとは楽しいだけじゃなくて、事前にめちゃめちゃ準備をするのは心がけてます。私は仕事は8割くらい準備で決まると思っているので。

左から柴田阿弥、レナ。

左から柴田阿弥、レナ。

レナの取材後記

レナ

レナ

今回は柴田阿弥さんに“アイドルのセカンドキャリア”についてお話をお聞きしました。
その中で彼女が考えるアイドルの在り方、人生との向き合い方に心を打たれました。

私はアイドル時代、自分にも厳しく、他人にも厳しい人間でした。
アイドルはこうあるべきだと真面目に、いや馬鹿正直に……。
それが正しいアイドル像だと信じていた。
アイドルグループ=自分だと思い、勝手に自分を犠牲にしていたのかもしれません。
だって自己犠牲は気持ちいいものですもんね。

当時の事務所のスタッフさんには、
「アイドルをもう少し1人の人間だと思って扱ってほしい」と思っていました。
そうではなく、まずは自分自身が自分の人生を大切にすること。
それがセカンドキャリアを考える時間を作ったり、自分と見つめ合う時間を作る第一歩なのではないのでしょうか。

今を楽しむ。
心が躍るほうへ
自分の人生を大切に。

柴田阿弥

セント・フォース所属のフリーアナウンサー / キャスター。2010年から2016年までSKE48のメンバーとして活躍し、「AKB48選抜総選挙」では選抜メンバー圏内の15位に2回ランクインした。SKE48卒業後はフリーアナウンサー / キャスターに転身。現在はテレビ朝日系「EXITのラリージャパン応援宣言」、ABEMA「ABEMAヒルズ」「ABEMA Prime」、文化放送「シャングリラ」といった番組に出演している。
柴田阿弥 | 株式会社 セント・フォース
柴田阿弥 (@_shibata_aya) | Twitter
柴田阿弥 (@ayashibata0401) ・Instagram

レナ

2007年にデビューした女性アイドルユニット・バニラビーンズの元メンバー。バニラビーンズはスウェディッシュポップを意識したサウンドとレトロなビジュアルで渋谷系ファンなどから高評価を得る一方で「ガラス張りトラック生活」などの風変わりな活動でも注目を集めた。2018年9月にラストシングル「going my way」をリリースし、10月のライブをもって解散。バニラビーンズ解散後は、トークスキルを生かしてMC・タレント業をメインに活躍しており、“多摩川のおんな”としてボートレース多摩川の選手インタビュー、生配信の番組進行を担当している。
レナ(多摩川のおんな) (@VB_Rena) | Twitter
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