アイドルのセカンドキャリアを考える 第1回 [バックナンバー]
元SKE48・柴田阿弥が語る、アイドル卒業後の人生(聞き手:レナ)
大切なのはどれだけ選択肢を増やせるか
2022年2月3日 18:00 11
悩んだときは面白そうな方へ
レナ 柴田さんの過去のインタビューを読んでいると、SKE在籍時からリポーターのお仕事をやりたいと話されていて。当時から辞めたあとのことも考えていたんですか?
柴田 そういうふうに将来のことを考え始めたのは、SKEに入って5年目の頃ですね。
レナ それまでは将来のことは考えていなかった?
柴田 全然です。というか4年目までは選抜にも入っていなかったので、先のことを考えられる身分でもないと思っていて。
レナ なるほど。5年という期間は節目でもあるんですかね。だいたいどのアーティストも、デビューから5年目くらいに最初のベストアルバムが出るようなイメージがあって。私がいたユニットの規模だと「これはレコード会社に切られるタイミングなのかな」みたいな(笑)。たぶん5年というのは、周りのスタッフさんたちとしてもアイドル寿命の区切りを付けるか付けないかっていう期間というか。
柴田 確かに、人生においても5年、10年と考えるとひと区切りかもしれないですね。
レナ 柴田さんは5年目に将来のことを考え始めたんですね。
柴田 ちょうどその頃に大学の子たちの就職活動が始まったんです。その様子を近くで見ていたから、自然と卒業後のことを考えるようになったのかも。あと、自分の中で一番いいときにアイドルを辞めたいっていうのはあったんですよ。“一番いいとき”というのは人それぞれだと思うんですけど、私の場合は23歳のタイミングだったんです。
レナ もともとアナウンサー学校に通っていたりしたんですか?
柴田 いえ、通ってないんです(笑)。辞めることを決めてから知り合いの方にいくつか事務所を紹介していただいて、その中で一番雰囲気がいいなと思ったのが今所属しているセント・フォースの社長だったんですよ。
レナ それは会社の雰囲気ということですか?
柴田 いえ、完全に社長の雰囲気が一番よかったんです。芸能事務所の社長さんはイケイケ系の方とかさまざまなんですけど、一番信頼できると思えたのが今の事務所の社長なんです。
レナ セント・フォースを紹介してもらえたのは柴田さんの人脈もあるんですか?
柴田 人脈というのもあれですけど、運よく知り合いの方がいたという感じですね。
レナ そういう人脈作りはとても大事ですよね。私はずっと自分が所属するグループを卒業するまでは外部の方と一切やり取りしちゃダメだと思っていて。
柴田 わかります、わかります。
レナ でも自分の将来のことを考えると、すごい方々とお仕事させていただいてるわけだから人脈を広げないとみたいな。卒業後に所属する事務所選びも大切ですもんね。柴田さんが現在所属しているセント・フォースは、フリーアナウンサーが多く所属する芸能事務所です。
柴田 そう、「私、アナウンサーになるんだ」と思いました(笑)。
レナ アナウンサー、キャスター志望でセント・フォースに入ったんじゃないんですか?
柴田 全然、後付けなんですよ(笑)。セント・フォースじゃなかったら、たぶんフリーアナウンサーにはなってないですね。
レナ そんなノリでできるものなんですか?
柴田 はい。そこもノリというか、運がいいんだと思います。私は悩んだときは自分が面白そうだなと思った方向に進んだほうがいいと思っているので。
レナ なるほど。それはSKEのオーディションを受けた17歳の頃から一貫してますね。
柴田 ある意味、人生はノリです(笑)。とは言いつつ、その選択をする手前まですごく悩むんですけどね。考え抜いて決めた道なら、自分がこれだって思うところに行ったほうが後悔しない気がするんです。例えばセント・フォースに入って今のようなお仕事ができていなくても、あのとき「一番いい事務所は絶対にここだ」と思ったわけだから後悔してないと思う。
レナ いい事務所に出会いましたね。やっぱり自分が腐っていなければいい事務所、スタッフと巡り合えるんですかね。
柴田 こればっかりは縁ですよね。やっぱり信頼できる人に紹介していただくのが一番だと思います。芸能界には変な人もたくさんいるので(笑)。ただ、ちゃんとした人を見極めるのは難しいから、少しでも「ん?」と思ったら着いて行かないほうがいいし、そのためにもいろんな人に会ったほうがいいと思います。
生まれ変わってもアイドルになりたい
レナ 世の中的に、アイドルは一生の仕事じゃないというか、刹那的な存在だというイメージを持たれていると思うんです。そのあたりはどうお考えですか?
柴田 私は生まれ変わってもアイドルになりたいし、SKE48に入りたいんですよ。アイドルのおかげで学校に行けたし、たくさん元気をもらったから、刹那的な存在であったとしても、とても尊敬しています。今は柏木由紀さんみたいに30歳になっても続けている方がいるので、アイドルの在り方も少しずつ変わってきているのかなって。
レナ おっしゃる通り、柏木さんのように30歳になっても現役で活躍する方が増えてきていて。アイドルの活動期間が延びている印象はあります。
柴田 柏木さんはファンの方からしたらうれしいんじゃないんですか。アイドルに自分の青春を重ねているファンもいるから、変わらず活躍してくれるっていうのはいいですよね。
レナ そうですね。アイドルの活動期間が延びてきているからこそ、ファンの方々も意識を変えていかなきゃいけない時代でもありますよね。アイドルの結婚、出産にヘイトを向けるんじゃなくて、向き合わなきゃいけないというか。
柴田 そうですね。それでも無理だというファンの方は批判するんじゃなくて、推せるアイドルを別に見つけるのがいいかもしれませんね。
アイドル時代に得たもの
レナ フリーアナウンサー、キャスターというお仕事に就いて、アイドル時代に培った能力が生かされる部分はありますか?
柴田 今のお仕事だと歌やダンスは当然しないですけど、緊張したりビビったりが全然ないんですよ。ビビったほうがいい場面もあるとは思うんですけど(笑)。
レナ アイドル時代に大きなステージに立ってますもんね。
柴田 あの頃は大人数の中の1人として出てたから、ほかのメンバーに助けてもらうこともありましたけど、やっぱり度胸は付いたのかなって思います。
レナ 現役時代、一番緊張したステージは?
柴田 SKEのコンサートでピアノを弾かないといけないときがあって、稽古場にカンヅメになって徹夜で練習したのであれは緊張しましたね。でも、SKEのときは大勢の中の1人なので、正直そんなに緊張しないんですよ。どちらからと言うと「がんばって目立たなきゃ」という気持ちが強かったので。でも、さすがに初めてセンターを務めたときは緊張しました(笑)。
レナ 大勢の中で自分の前には誰もいないってことですもんね。
柴田 それまで周りのメンバーを見て振りを覚えたりしていたので、前に誰もいないのかと思うとそれだけで緊張してきて。常にセンターに立つ子はこんなに大変なのかと身を持って感じました。当時はうらやましいとしか思ってなかったけど、毎回これかと考えたら大変だなって。
好きを仕事にするのか、得意を仕事にするのか
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