「Vtuber楽曲大賞2021」の会場の様子。

投票総数1万4600人、「Vtuber楽曲大賞」で振り返る2021年のバーチャルシーン

今年も大手が上位独占、その一方で「Vtuberという垣根はこれからなくなっていくかもしれない」と期待も

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Vtuber楽曲大賞 MV部門

  1. コントレイル / 葛葉
  2. Viking / le jouet
  3. Stellar Stellar / 星街すいせい
  4. ラストソング / 不破湊
  5. Geminids / ChroNoiR
  6. エンターテイナー / Rain Drops
  7. ウラノミト / 月ノ美兎
  8. はんぶんこ / 三枝明那
  9. オリジナリティ欠乏症 / 夢追翔
  10. 全力ブーメラン / こじらせハラスメント
  11. Unison / Yunomi×宝鐘マリン
  12. 自分勝手Dazzling / 星街すいせい
  13. インターネットは最悪 / こじらせハラスメント
  14. PIERCE / 加賀美ハヤト
  15. トレモロムーン / 加賀美ハヤト feat. buzzG
  16. Beast / 天開司
  17. Bluerose / 星街すいせい
  18. Palette / 常闇トワ
  19. 君になりたいから / 緑仙
  20. フリコドウル / HIMEHINA
  21. GHOST / 星街すいせい
  22. 八月の蛍 / HACHI
  23. キリカ / HIMEHINA
  24. キセキ結び / ホロライブ4期生(天音かなた、桐生ココ、角巻わため、常闇トワ、姫森ルーナ)
  25. セントポーリア / 天開司
  26. 初恋 / 戌亥とこ
  27. Red / 森カリオペ
  28. 6月のプレリュード / 町田ちま
  29. Baddest / 樋口楓
  30. ミスターエンド / MonsterZ MATE

楽曲部門とMV部門で葛葉の「コントレイル」が2冠を達成。トップ10は星街すいせいを除いてすべてにじさんじのライバーとなった。

3位に「Stellar Stellar」をランクインさせた星街すいせいについては、10月の東京・チームスマイル・豊洲PITでのソロワンマンライブで配信を担当していた飯寄氏が「花譜さん以降、音楽に向き合ったライブ活動をしているのがすいせいさんでした」と、2021年の活動を回想。登壇者たちは「Stellar Stellar」のMVについて「実写と混ぜたVtuberのMVはチープになりがちなのに、ちゃんとした映像表現をしている」と語り合い、ふじき氏は「実写合成のMVは情報量が多く過剰な演出に感じてしまうことも多いのですが、やりたいことのピントがここまで絞れているのは引き算の美学を感じます」と指摘した。

実写に近付けた「Stellar Stellar」とは対象的に、月ノ美兎「ウラノミト」のMVは3DCGで構成。登壇者たちはMVを観ながら「月ノ美兎は踊りがうまい」「背伸びしていない、ちゃんと月ノ美兎のダンスをしている」と口々に彼女のダンスを褒めていた。また、展開の多い楽曲とカット数の多い映像についてキャン氏が「音的にも映像的にも手数が多い。ここ1年で、にじさんじのモデリング技術、見せ方、ステージの作り方などがあからさまにクオリティアップしている」と指摘すると、ふじき氏は「甘えがなく、VTuber自体を初見の人が観ても映像作品として面白いものになってるのでは」と納得。自身の5選にもこの曲をセレクトしているclocknote.は「Vtuberってトゥーンレンダリング(3DCGにおいてイラスト風にレンダリングすること)をするけど、多くは完全なトゥーンではないんです。このトゥーン過ぎない質感は、Vtuberの映像表現としてたどり着いた1つの正解だと思う」とMVのクオリティを絶賛し、月ノ自身についても「2D Vtuberの先駆けの1人として歴史を作った人が、今も最前線に出てこんな素晴らしいものを作り続けてくれてるって、すごくいいこと。月ノさんが先頭に立っているのは、にじさんじのメンバーにとってもポジティブな影響があるのではないかと思う」と話していた。

なお、キャン氏は自身の5選について説明する中で、普段3Dライブを観ていないような中高生が2021年にP丸様。「シル・ヴ・プレジデント」で盛り上がっていたことについて「アバターネイティブ世代が初めて触れたアバターがP丸様。だったのかもしれない」と言及し、「Vtuber楽曲なのか否かはわからないけど、P丸様。はバーチャルアバターをまとった表現活動としては真ん中だった」と指摘。2021年のシーンを「去年は知らないものが出てきた感じがあんまりなかったけど、今年は『これってなんなんだろう』という気持ちが味わえた」と振り返り、すとぷりやさまざまな歌い手など、Vtuberではないが3Dアバターを使って近い表現をしているアーティストたちの活躍に「Vtuberという垣根はこれからなくなっていくかもしれない」と期待を寄せていた。

登壇者による5選

TAKUYA the bringer

「今日どの5曲を選ぶのか、2021年1月からずっと考えていたんですが、振り返って頭の中に残っている曲にしました。選ばせていただいたポイントは、『この人の曲はこう』というパブリックイメージがある中で、アーティスト自身のパンチ力が全力で出ているものを基準にしています」

DJ WILDPARTY

「CDで出ている曲は、よすぎて絶対選んじゃうから、そういう曲じゃなくてライバーが自主的に制作している音源の中で、自分が好きなものを選びました」

clocknote.

「この5選は自分の人間性が出ていると思います。Vtuber黎明期に出会い、たくさんの感銘を受けた方々に今も支えられて生きているなと感じます」

森山ド・ロ

「業界ではまだニッチな音楽ジャンルを取り上げたいなという気持ちで選びました。でも、今年はなんだかんだ言って可不の年だったなと思います」

飯寄雄麻

「『Vtuber楽曲大賞には記録の意味がある』と主催の方も言っていましたが、『ランキングには入らないけど、その年の楽曲として記録しておいたほうがいい』という曲はいくつもあると思います。『Vtuber楽曲大賞』が“楽曲大賞”というよりも“ファン投票”に近くなってきているという事実はありますが、私は音楽にフォーカスしている人のほうが好きなので、そういう意味で選んだ5曲になります」

ふじき

「メジャーリリースされているもの、自主制作のもの関係なくいい曲が多くて選ぶのが難しかったので、体験に基づくことで選ぶしかないなと考えました。コロナ禍で人とのつながりが絶たれていた去年から、今年になって『ひさびさに会えたね』みたいなことになったから、現場や配信での体験が曲への思い入れに紐付いていると思います」

キャン

「今年の夏くらいに『果たしてこのカルチャーのことが本当に好きなのか?』と悩んだ期間があって、そのときに『そもそもこのカルチャーの何が好きだったんだっけ……?』と考えて、自分が好きなのは『バーチャルアバターをまとうことによる可能性の拡張』だと思い出したんです。『朝日』『革命ヴァーチャルリアリティ』『シル・ヴ・プレジデント』の3曲はそれぞれ、2022年以降のバーチャルアバターによる表現の可能性を感じられる作品だなと感じました」

※記事初出時より画像を1枚削除しました。

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