北海道・江別 蔦屋書店で行われた「Pale Blue Melt」の様子。

五感で味わう米津玄師の音楽

「Pale Blue Melt」の旅が幻のツアーファイナルの地・北海道で完結

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こだわり詰まった三位一体のジェラート

現地の空気を伝える前に「Pale Blue Melt」で提供されているジェラートを紹介したい。離婚から始まる恋を描いたTBS系金曜ドラマ「リコカツ」の主題歌として書き下ろされた楽曲「Pale Blue」をモチーフにしたジェラート「Pale Blue」は、その名の通りペールブルーのカラーが印象的。開発者への取材によると、曲名からペールブルーの色味にすることは決まっていたものの、楽曲のイメージにぴたりとハマる青色を表現することに苦戦し、試行錯誤の末、今回提供されたジェラートになったという。

Pale Blue

Pale Blue

ポップアップストアで提供されている「Pale Blue」のジェラートは、チャイナブルーというカクテルをベースにしたちょっぴりビターな味わいのソルベ。チャイナブルーは、スピリッツにオレンジの果皮の苦味と青い着色料を加えたブルーキュラソー、ライチのリキュール、グレープフルーツを混ぜたロングカクテルで、ジェラートの開発者が楽曲の歌詞世界に大人の恋愛を感じたことから、カクテルの要素を取り入れるというアイデアが浮かんだという。チャイナブルーはどちらかというと甘いカクテルだが、ビターな味わいを演出するべくマルガリータの要素をプラス。マルガリータはテキーラにオレンジからできたホワイトキュラソーを加え、ライムを絞った、ドライな味わいのショートカクテルだ。もちろんジェラートはノンアルコールだが、全体に混ぜ込まれたグレープフルーツの果肉が、フレッシュなフルーツを使ったモクテル的な雰囲気をより感じさせる。

「Pale Blue」ロゴの入ったカップは記念に持ち帰る人の姿も。

「Pale Blue」ロゴの入ったカップは記念に持ち帰る人の姿も。

「ゆめうつつ」と「死神」は白と黒という対象的な見た目だが、どちらも北海道産の生乳を使ったミルクベースのジェラート。「ゆめうつつ」は米津もたびたび出演し、有働由美子キャスターからのインタビューを受けている日本テレビ系情報番組「news zero」のテーマ曲として書き下ろされた楽曲で、“夢と現実の間を反復する”というテーマで制作されたことを受け開発されたジェラートは、ミルクアイスにバニラビーンズをふんだんにちりばめ、カラメリゼをフレークにして混ぜ込んだカスタードブリュレ風の仕上がりだ。なめらかで濃厚なアイスは口の中でスッと溶け、バニラビーンズのざらりとした舌触りとカラメルのカリカリとした歯ざわりが楽しい。漆黒のビジュアルがインパクトのある「死神」は、濃厚な黒ごまアイス。楽曲のモチーフが同名の落語の演目だったことから、和テイストとなった「死神」は、煎った黒ごまをぜいたくに使った香ばしい味わいだ。黒ごまアイスとは言え、これだけ黒色のアイスはなかなかないが、今回は真っ黒な竹炭パウダーで死神を彷彿とさせる黒色が表現された。

めずらしいブルーのコーンも人気。

めずらしいブルーのコーンも人気。

ジェラートは珍しいブルーのコーンか、「Pale Blue」ロゴ入りのオリジナルカップで提供された。香ばしくサクサクと軽い食感のブルーのコーンも円山ジェラートが開発した特注品だ。店頭では記念に持ち帰れるオリジナルカップと写真映えするブルーのコーンのどちらを選ぶかで悩む来場者も多く見られた。サイズはシングル、ダブル、トリプルから選べるが、全種類を乗せたトリプルを注文する来場者がほとんど。今回の3種はソルベとミルクという一見相容れない組み合わせだが、糖度をそろえたことにより、最後まで全種類をおいしく食べられるまさに三位一体なジェラートとなっている。

終着点で見たもの

「Pale Blue Melt」の終着点となった江別 蔦屋書店は、広大な土地に赤レンガ造りの「食」「知」「暮らし」の3棟がそびえ立つ大型店舗で、もちろん「Pale Blue Melt」のポップアップストアは食の棟の前にオープンした。ペールブルー色が目印のフードワゴンには、ジェラートが描かれたミラーパネルや「Pale Blue」のジャケットイラストが飾られている。ジェラートを注文した人は、食の棟と知の棟の隙間に設けられた飲食スペースへ。ここでは「Pale Blue」の収録曲を聴きながらジェラートを味わうことができる。時間予約制のため飲食スペースは常にゆとりのある人数が利用しており、テーブルは人が立ち去るたびにスタッフが消毒。オープンエアの安心できる場所で「Pale Blue Melt」を食べたあとは、飲食スペースの奥に設置された巨大なジェラートカップを模したフォトブースに足を運び記念撮影をしている来場者の姿も見られた。

北海道・江別 蔦屋書店で展開されたフォトブース。

北海道・江別 蔦屋書店で展開されたフォトブース。

知の棟では、REISSUE FURNITUREの第1弾アイテムである「Room Perfume」の展示、試香コーナーも展開された。吹き抜けの天井まである巨大な本棚の間を通り階段を登ると、5つの「Room Perfume」のボトルが展示されている。回転する台座に乗り、ガラスケースに入れられたクリスタル型の「Room Perfume」は宝石のような輝きを放っていた。また試香コーナーの反対側にはシングル「Pale Blue」や4thアルバム「BOOTLEG」、5thアルバム「STRAY SHEEP」のCD、書籍「かいじゅうずかん」などが陳列されており、好きな香りの楽曲が入った作品を購入することが可能。楽曲から派生したアイテムをきっかけに、まだ聴いたことのない楽曲と出会える場にもなっていた。

北海道・江別 蔦屋書店 知の棟の中心に展示された「Room Perfume」。

北海道・江別 蔦屋書店 知の棟の中心に展示された「Room Perfume」。

コロナ禍において音楽をライブで直接体感することがままならない状況になった2021年。味覚や嗅覚、触覚で音楽を体感できる「Pale Blue Melt」は、ステイホームで鈍った五感が刺激される貴重な機会となったのではないだろうか。昨年のオンラインゲーム「FORTNITE」を舞台にしたライブイベントでは、仮想空間上での集いによるメタバース体験をさせてくれた米津。新たなチャレンジとなった「Pale Blue Melt」を終えた彼は自身のSNSに思いを綴った。

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音楽ナタリー @natalie_mu

米津玄師のシングル「Pale Blue」をモチーフにしたジェラートを販売するポップアップストア「#PaleBlue_Melt」が昨日10月3日に北海道・江別 蔦屋書店にて終了。米津のコロナ禍における新しい“音楽”の届け方を探るべく、編集部はファイナルの地を訪れた。
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