取材・
2018年に始まっていた香りの演出
楽曲制作のみならず、ジャケットイラストやミュージックビデオなど、視覚でも楽曲の世界を表現してきた米津玄師。2018、2019年に行った千葉・幕張公演では、代表曲「Lemon」を披露する際に会場に“レモン”の香りを漂わせるという凝った演出を行い、聴覚、視覚だけではなく嗅覚でも楽曲の世界を表現してみせた。
来場者を驚かせた“香り”の演出は、2021年6月発売のシングル「Pale Blue」へと引き継がれた。「Pale Blue」では購入者特典として楽曲をイメージしたオリジナルの香りを閉じ込めた「Pale Blueフレグランス」を用意。米津がひさしぶりにラブソングと真っ向から向き合い制作した楽曲「Pale Blue」の“香り”をカードに閉じ込めてファンのもとへと届けた。楽曲を立体的に表現する企画はこれにとどまらず、米津は8月にインテリアグッズを展開するブランド・REISSUE FURNITUREを設立。ブランド第1弾アイテムとして「Pale Blue」を含む5曲の“香り”を表現した「Room Perfume」を制作した。空間を香り付ける「Room Perfume」は「Lemon」「Flamingo」「海の幽霊」「馬と鹿」「Pale Blue」の5種類。どれも楽曲の奥深さを感じさせる複雑な香りで、クリスタルを模したフォルムも視覚を刺激してくれる。
実は「Flamingo」の香りの演出は、2018年にも行われていた。2018年10月にシングル「Flamingo / TEENAGE RIOT」の発売を記念して開催された展示イベント「F / T 秘密基地」の会場でも、「Flamingo」のエリアでは甘い香りが漂っていたのだ。3年も前から始まっていた香りの演出が、コロナ禍で外出自粛を余儀なくされた2021年、それぞれが暮らす場所へと届けられることとなった。
幻のアリーナツアーをたどる
五感のうち、聴覚、視覚、嗅覚、そして触覚もグッズの肌触りなどで体験させてくれた米津。2021年の夏は、楽曲の世界を味覚で表現する企画「Pale Blue Melt」を始動させた。この企画ではシングル「Pale Blue」に収録された「Pale Blue」「ゆめうつつ」「死神」の3曲を北海道の有名ジェラート店・円山ジェラート協力のもと、オリジナルフレーバーのジェラートを開発。もちろん味は米津が監修し、ぜいたくな味わいの3種のジェラートが完成した。
「Pale Blue Melt」は、8月28日に東京で始まったポップアップストアと通販で展開。ポップアップストアは6都市7会場で実施された。ペールブルーカラーのフードワゴンで実施されたポップアップストアには、事前予約した人のみが来場可能。屋外という開放された場所で人数を制限し、感染対策を行いながらジェラートが提供され、商品の販売に加えオリジナルカップを模したフォトスポットや「Room Perfume」の展示、試香も同時に行われた。「Pale Blue Melt」ポップアップストアは10月3日に北海道・江別 蔦屋書店での展開を最後に終了。各地のファンに愛された「Pale Blue Melt」のポップアップストアは、夏の終わりとともに幕を閉じた。
話は遡るが、「Pale Blue Melt」ポップアップストアのスケジュールが発表されたとき、見覚えのある都市が並んでいることに気付いた人も多かったのではないだろうか。過去の米津のスケジュールを確認すると、このポップアップストアは彼が2020年に志半ばで延期したのち、やむなく中止となったアリーナツアー「米津玄師 2020 TOUR / HYPE」の振替公演のスケジュールをベースに回っていたのだ。このツアーはもともと2020年4月に北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーるで幕を下ろす予定だったが、延期日程が2020年10月に設定されていた。一部異なるスケジュールはあるものの、おおよそアリーナツアーの日程で「Pale Blue」の楽曲たちがジェラートとして全国に届けられたのだった。
こだわり詰まった三位一体のジェラート
音楽ナタリー @natalie_mu
米津玄師のシングル「Pale Blue」をモチーフにしたジェラートを販売するポップアップストア「#PaleBlue_Melt」が昨日10月3日に北海道・江別 蔦屋書店にて終了。米津のコロナ禍における新しい“音楽”の届け方を探るべく、編集部はファイナルの地を訪れた。
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