アーティストとファンのコミュニケーションの形を、SNSの観点から探るこの連載。第3回ではTikTokを中心に若者から絶大な人気を誇るシンガーソングライター・
りりあ。は昨年秋にTikTokやYouTubeなどで弾き語りのカバー動画を公開し始めると、すぐさま“天使の歌声”と話題に。TikTokのフォロワーは毎月10万人単位で増えていき、現在は100万人を突破している。また5月に配信リリースした初のオリジナルソング「浮気されたけどまだ好きって曲。」は、事務所もレコード会社にも所属していないインディペンデントなアーティストながらLINE MUSICでウイークリーランキング1位を獲得。YouTubeでも750万回以上再生されるなど大きな反響を集めた。その後もテレビの情報番組に登場したり、配信フェス「a-nation online 2020」に出演したりと活躍の場を広げている彼女だが、「メジャーデビューは考えていない」という。彼女がどういうスタンスで音楽やSNSに向き合っているのか話を聞いた。
取材・
自己満足で始めた動画投稿
──まず、りりあ。さんが音楽を始めたのはどういうきっかけでしたか?
コレサワさんの弾き語りを見て始めました。4、5年前です。
──コレサワさんのどういうところが好きになったんでしょう?
顔出ししてないというのもあるんですけど、恋愛ソングが多くて、等身大でやられているところに憧れました。
──楽器もそこから始めたんでしょうか。
そうですね。演奏できる楽器はギターだけです。独学で、誰にも教わらずに、YouTubeとかを観たりして練習しました。いまだに弾けないコードもあるんですけど、ほぼYouTubeに助けられています。
──動画の投稿を始めたのはいつ頃ですか?
弾き語りを始めたのは4年半くらい前で、TikTokには去年の10月、YouTubeには11月に投稿を始めました。
──きっかけとしてはどんな思いがあったんでしょうか? 「やってみようかな」くらいの軽い感じだった?
ただの自己満足で上げ始めました。本当に何も考えてなかったです(笑)。
──最初はカバー曲を投稿していたんですよね。弾き語りを聴いてくれる人、動画を観てくれる人が増えたきっかけになった動画はありましたか?
何の動画がきっかけという感じでもないんですけれど、最初から観てくれる人はいて。でもTikTokでバズったのは、12月に投稿したうじたまいさんの「独りうた ~September調子はどうだい~」のカバーがきっかけだったと思います。それからほかの動画もたくさん聴いてもらったり、アカウントをフォローしてもらったりするようになりました。
──なぜバズったのか、ご自身で理由は何か思い当たることはありますか?
何も(笑)。TikTokの中で流行っている曲を弾き語りするようにしていたんですけど、それも関係ないだろうし。わからないです。
──弾き語りでカバーしているほかの方の動画を観たりして研究しました?
してないです。私が始めた頃は、そもそもTikTokで弾き語りしている人があまりいなくて。踊ったりしている人のほうが多かったので、そういう動画で使われている曲を弾き語りしていました。
オリジナル曲のきっかけはファンの声
──去年の12月からTikTokのフォロワーが増えていったとのことですが、その頃の感覚ってどんな感じだったんでしょうか?
うれしかったですね。「すごい! ママ見て!」みたいな感じで大騒ぎでした。そもそもTikTokには「デールと間違えられたチップ」という動画を最初に投稿したんです。それがけっこうバズって1万人くらいフォロワーさんがついてくれて、その流れで弾き語り動画の投稿も始めました。そしたら毎日フォロワーが増えていって、うじたまいさんのカバーをきっかけに急激に増えて。もとはと言えばチップとデールのおかげです(笑)。
──オリジナルの曲を作ろうしたきっかけは?
ずっとカバーをやっていたら、オリジナル曲を聴きたいと言ってくださる方が多くなってきて、それがきっかけで作りました。
──「浮気されたけどまだ好きって曲。」はどのようにしてできた曲でしょうか?
曲は友達との会話から作りました。浮気というテーマに関しては、それで悩んでいる人が多かったり、いろんな方から相談されたりすることが多くて。タイトルに関してはインパクトのある名前にしようと思って付けました。
──友達とのLINEの会話をもとに曲を作るような感じ?
そうですね。恋愛相談というよりただ愚痴を聞いている感じですけど(笑)。
──自分が何か歌いたいメッセージを書くというよりも、ほかの人との会話からアイデアが生まれることのほうが多いのでしょうか。
本当にそこからしかなくて。あとはたまにInstagramでどんな曲を聴きたいかを募集して、そこから作ることも多いです。「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」もそうやって書きました。「こんな曲が聴きたい」と言ってくれるということは、共感してもらいやすいということなので、それを聴いて喜んでもらえることがうれしくて。自分の気持ちよりは、皆さんの意見をいっぱいもらって作っています。
「浮気」の曲の反響
──「浮気されたけどまだ好きって曲。」をサブスクリプションサービスで配信リリースしたのはどういうきっかけだったんでしょうか?
YouTubeに上げていたらファンの方に「サブスクでも聴きたい」と言っていただくことが多くて、それが一番大きな理由です。配信する予定はなかったし、そもそも個人で出せると思ってなかったので。TuneCore Japanというサービスを使えば個人でも配信できると知って、それで出すことにしました。
──TuneCore Japanはどうやって知ったんですか?
あれくんという男の子に教えてもらいました。去年の12月にあれくんの「ばーか。」という曲を遊びで一緒に録ったんです。
──あれくんとの出会いが大きかったんですね。
大きいです。あれくんとはTikTokを始める前にTwitterでつながっていて、そこから「『ばーか。』を一緒に歌いませんか」って言ってもらって。うれしかったです。
──「浮気されたけどまだ好きって曲。」の反響はどういう感じでした? ランキングに入るとか、予測してました?
聴きたいと言ってくれた数人に向けて軽い気持ちで上げたので。予測も何もないです(笑)。今もびっくりしています。自分のことじゃないみたいな感じです。
今もまだ趣味だと思っている
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kobeni /海外雑貨ショップCordelia @kobeni
うちの子りりあさん好きですね
10代って小学生も含みます
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