EGO-WRAPPIN'中納良恵に聞く、旅と音楽のこと

長引くコロナ禍を受けて野外フェスも軒並み中止となり、多くの音楽ファンが楽しみを失ってしまった2020年の夏。読者の中に毎年恒例の旅行やキャンプといった行楽を断念した人も多いはず。音楽ナタリーでは読者にひと時の脳内旅行を楽しんでもらうべく、旅好きとして知られるアーティストへのアンケート取材をもとに「2020年の夏休み」と題した夏限定の連載企画を展開中。今回はEGO-WRAPPIN'の中納良恵に登場してもらった。彼女が選曲したプレイリストも併せて楽しんでほしい。

今まで旅した外国、および国内の印象深かった地域は？

海外

メキシコ、モロッコ、スペイン、スリランカ

国内

青森県、鹿児島県、沖縄の宮古島

その中で最も印象深かった場所は？

スリランカ　Galle（ゴール）

旅の醍醐味は現地の人との触れ合いだ。
信仰心の強い仏教徒で人に施すことがモットーなスリランカ人
そして自然　アーユルヴェーダ　スパイス　紅茶　遺跡　宝石　建築
興味深いものに溢れ掻き立てられる場所がスリランカにはたくさんあります。
自然に溢れているため地形も山あり谷ありと高低差があり
町から町への距離が地図で見るよりもはるかに遠く
計画立てたスケジュールは移動Busyで結果慌ただしい旅となりました。
中部のキャンディと言う場所から南に位置するヤーラと言う場所を目指し
私たちは山あいの激しい道のりをバンで揺られ疲れ果て
やっとたどり着いたヤーラの宿のおじさんが
とてつもなく優しくて思い出しただけで胸がキューーッと掴まれます。
ヤーラのサファリを観光して翌日の朝にはゴールに移動したいと欲張ったはいいものの
田舎なので移動手段がバスしかなく　また疲れそうだなと思い
タクシーを調達して欲しいと宿のおじさんに尋ねたら
「私がちゃんとあなた達を送り届けます。私はこの道のプロだから！」とタクシー運転手でもガイドでもないのに
片言の英語で目をキラキラと輝かせてくれたのが今でも忘れられません。
長い距離にもかかわらず安い賃金を提示してくれて
素敵な景色に出会えば　降りて案内してくれて
そしてゴールについて　まだ宿を予約していなっかた私たちのために
満室だらけで断られ続けても一軒一軒、一緒に周り宿を探してくれました。
「SORRY! SORRY!!」と謝る私たちに笑顔で「私はこの道のプロだから！」と胸を張って歩く後ろ姿が　とても美しく尊く
仕事に暮らしに自分に誇りを持ちながら
相手のことを思いやれる優しさに
強さと豊かさを教えられました。

コロナ禍で荒んだ気持ちを写真を見返してまた
心を撫でてもらえたような気がします。
旅はやっぱり素晴らしい。

今から1週間、仕事や日常から完全に解放されて自由に旅行できるとしたら、どこに行ってどんなふうに過ごしてみたいですか？

そんなスリランカの写真を見返していたら
もう一度行きたくなりました。
次はゆっくりピンポイントで
ヤーラのおじさんの宿に泊まって
ジェフリーバワのホテルにも泊まって
ゴールの海に入って　
アーユルヴェーダで身体を整えたいです。
行ったことのない国なら
ジョージア（グルジア）に行って
食とワインと自然を堪能したい。

プレイリスト「2020年の夏休み」Selected by 中納良恵

01. Never See / OTTA
02. Strangers in Danger / シネイド・オブライエン
03. Water Me Down（Pamcy Remix） / ヴァガボン
04. Ceasors / Pinty
05. China Be Better / アート・ファインマン
06. How Are You Getting Home? / Sparks
07. We Had Good Time / ブリオン
08. Baby I'm Yours feat. Irfane / ブレイクボット
09. Eleven Days (feat. Cyndi Lauper) / デヴィッド・バーン、ファットボーイ・スリム
10. Every 1's a Winner / Hot Chocolate

中納良恵（EGO-WRAPPIN'）

1996年に森雅樹（G）と共にEGO-WRAPPIN'結成。多様なジャンルを消化した独自の音楽性で活動初期から人気を集め、2016年に結成20周年を迎えた。中納は2007年に「ソレイユ」、2015年に「窓景」という2枚のソロアルバムを発表している。9月5日に東京・日比谷野外大音楽堂でEGO-WRAPPIN’恒例のワンマンライブ「Dance, Dance, Dance」を開催。なお今年はイベント初となる有料制のライブ配信も実施される。