のっちはゲームがしたい! 第2回 [バックナンバー]
「FGO」の開発現場に潜入!多くのマスターを夢中にする理由を探ってきました
第2部開発ディレクター・カノウヨシキさんと推しサーヴァントについてトーク
2020年5月4日 20:00 529
自分が自分であることを全肯定してくれる物語なんですよ
のっち 実は私、「FGO」は1回トライしたけどやめてるんです。
カノウ ローンチのときですか?
のっち はい。CMがカッコよくて「やってみよう!」と思ったものの、それまでの「Fate」シリーズを知らない状態だったのでわからないことだらけで。「聖杯って何?」「えっ? このクー・フーリンって人、同じ顔したこっちのクー・フーリンとは別人なの?」みたいな。戦闘も難しくて、そっと閉じました……それを経ての出戻り勢なんですけど、また始めたきっかけが2016年の終わりの……。
カノウ あ、「終局特異点」の頃ですね。
のっち そうなんです。坂本真綾さんが歌う第1部の主題歌「色彩」がiTunes Storeのランキングでトップのほうに入ってて、まずはその曲が好きになって。調べたら「色彩」の歌詞を踏襲してゲーム終盤のストーリーが書かれたという話を見たので、「そんなゲーム、絶対面白いだろ」と期待して2017年1月に再開したんです。
カノウ ちょうど僕がこの会社に入ったくらいの時期ですね。その頃、ここに入って最初の仕事として「Fate/Grand Order Gutentag Omen(FGOGO)」っていう4月1日限定のアプリを作ったんですよ。
のっち それやりました(笑)。「たった1日のためにアプリまで作る熱意ってなんなんだ!」って笑いましたよ。あのアプリはまだスマホに残してあります。再開してからも、最初の頃はFateシリーズを知らずにやってたんですけど、それでもやっぱり面白かったですね。あの物語を駆け抜けた感覚っていうのは得難い体験でした。
カノウ 最初は僕もいちユーザーとして「FGO」をプレイしていたので、その引き込まれる感覚はわかります。
のっち そのあとで、友達に「Fate/stay night」と「Fate/Zero」くらいは観ておいたほうがいいって言われて、アニメを観てなんとなく設定とかを理解し始めた感じです。
カノウ 確かに「Fate/Zero」が好きっていう声はよく聞きますし、「Fate」の世界観が伝わりやすいかなと思います。
のっち 私は「FGO」の好きなところはたくさんあるけど、魅力を1つ挙げるなら“ストーリーの面白さ”ですよね。私はゲームをするときは、たいてい自分が主人公になった気持ちで冒険してるんですけど、中でも「FGO」は自分が自分であることを全肯定してくれる物語なんですよ。「自分がマスターでいられることの喜びを感じられる」っていうのが新しくて。
カノウ 主人公の魔術師的な能力は、サーヴァントのマスターとして特別秀でているわけではないんですよね。その強い思いによって周りの人やサーヴァントたちを動かしている……それこそがマスターの能力なんだ、というふうに描かれています。特別な力を持っていないからこそ、ユーザーの皆さんが身近な存在として感情移入できるのかなというのは感じますね。
のっち まさにそれです! 「何も持ってない自分のままでいい。生きててよかった」って気持ちになる。
カノウ 僕はディレクターとして、できないことはできないって言うんですよ。“僕がやるべきこと”というのは自分の中で決めていて、それ以外のことは全部周りのメンバーに助けてもらうんです。なので、例え本人が何も持っていなくても、メンバーに助けてもらいながら何かを作り上げられる人というのは重要だなというのは実感としてあります。
のっち そう思います。だから、私も助けてもらえる人でありたい(笑)。
僕の開発も、坂本真綾さんの「逆光」と共に始まった感覚があるんです
カノウ 実は僕、広島出身で。
のっち ええっ! いつ頃から知ってたんですか?
カノウ 僕が上京したのが2000年なので、それくらいの時期ですね。メジャーデビューされてからも広島弁を使ってらっしゃったし、すごい親近感が湧くなって思ってました。
のっち うれしい! 2000年に東京に来て、今の会社に入る前はどんなことをしてたんですか?
カノウ SEGAにプログラマーとして入社して15年くらい働いていました。最初はドリームキャストのゲームを担当して、それからアーケードゲーム、例えば「アウトラン2SP」というドライブゲームとか、「アフターバーナークライマックス」という飛行機ゲーム、「ボーダーブレイク」という3Dアクション対戦ゲームとかを作りました。でもスマートフォンのアプリを作ってみたくなって、40歳になる前に一度チャレンジしてみようということで転職したんです。「今しかない」って(笑)。で、実は、まだこの会社に入ると決める前に、塩川(洋介。現FGO PROJECTクリエイティブプロデューサー)から話をされたんですよ。
のっち カノウさんが「FGO」のディレクターに就任する前のディレクターさんですよね。
カノウ そうです。その際に、塩川がホワイトボードにでっかく会社の組織図を書き始めて、そのてっぺんあたりを指差して「カノウさんはこのへん」って(笑)。
のっち うわー(笑)。
カノウ 「ディレクターは僕が今やってるんで、そのすぐ下のへん。でも将来的には……ここ?」みたいな話をされて、「これ、入社するって言ったほうがいいんだろうか?」って、すごいプレッシャーで(笑)。僕としてはプロジェクトマネージャーという、全体の進捗を管理する仕事をやりたいと思ってたので、「FGOGO」ではプロジェクトマネージャーを任せてもらったんですが、4月の終わりに「やっぱり『FGO』のディレクターをやってほしいんですよね」って言われて、あの話は本気だったんだなと……(笑)。
のっち さすがに考えますよね、こんな大きいタイトルを担当するって(笑)。
カノウ SEGAを退職したあとだし、せっかくそんな機会をもらえるならやろうと決意したんですけど、僕がそのとき思ったのは、のっちさんが先ほどおっしゃった「このゲームの魅力はやっぱりストーリー」というように、サーヴァントたちを華やかに彩っているのはやっぱりストーリーだと思うんです。だからそのストーリーを、よりしっかりユーザーの皆さんに体験してもらえるようなゲームにしようとディレクターになる際に決意しました。
のっち カノウさんがディレクターになった第2部は2018年にスタートしましたよね。
カノウ 実はその前、2017年の12月26日0:00に、第2部のプロローグというのを突如スタートさせたんです。
のっち うん、よく覚えてます。ドキドキの年末でしたよ。
カノウ あの頃、開発の指揮をとっていたのは僕で。
のっち フォー! やるうー! あ、すいません……(笑)。
カノウ ははは(笑)。あのプロローグをクリアしていって最後まで行くと、アニメーションと一緒に坂本真綾さんの「逆光」が流れるんですけど、プロローグをリリースしたときはオフィスで「逆光」を大音量で流しながら、待機してたメンバーたちと一緒に「やりきった……!」って感慨に浸ってたんです。
のっち 私は真綾さんの「逆光」を聴きながら「第2部ってこういうお話になるのかな」って思ってました。
カノウ 第2部のストーリーはあの曲と共に始まるけど、僕の開発もあの曲と共に始まったなという感覚があるんですよ。
私がレベル100になるまで聖杯を使い続けたサーヴァント
のっち FGOはキャラクターのレベルがマックスになったところからさらにレベルを上げることができる「聖杯」っていうアイテムがあるんですけど、聖杯を使うのってそのキャラへの愛情表現なんですよね。で、私がレベル100になるまで聖杯を使い続けたのは今のところギル(ギルガメッシュ)だけで。
カノウ なるほど、のっちさんが一番好きなのはギルなんですね。どういうところが好きなんですか?
のっち 最初はキャラクターどうこうでなく「強いから」だったんですよ。全体攻撃ができるし火力もあるから、いつでも戦いに連れて行けて。そのあとでアニメを観たら「やっぱカッケーな……」ってなったという。常に頬杖をついていてほしい……(笑)。
カノウ ほかにはどんなサーヴァントが好きですか?
のっち エレシュキガルですね。こないだのアニメ(「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」)にも出てきましたけど、あれはズルいですよ。
カノウ ズルい?(笑)
のっち まだ実装されていなかったのに、「また次に会えるときがあったら、もっといい出会い方してたかもね」みたいなことを言って……立ち姿とか見た目も好きだし、宝具も素晴らしいです。
カノウ エレシュキガルは実装した瞬間からものすごい人気でしたね。
のっち メインストーリーでも活躍してるから、みんなの思い入れも強そうです。
カノウ ちなみに僕、エレシュキガルをリリースした直後に10連の聖晶石召喚を回したら、1騎目でエレシュキガルが出て、みんなから疑惑の目で見られたんですよ(笑)。
のっち 「カノウさん、なんか仕込んだでしょ?」って(笑)。見た目だけで言えば、私が一番好きなのはジャンヌ・オルタなんですよ。水着ジャンヌ・オルタのほうしか持ってないんですけど。あとは新宿のアーチャー! カッコいいですよね。
カノウ 先日Webで、質問に答えると理想の男性サーヴァントがわかるという企画をやったんですけど……。
のっち あー! 相性診断みたいなやつですよね?
カノウ そうそう。それをやったら僕、新宿のアーチャーって診断されたんです(笑)。
のっち あはは(笑)。黒幕感。
カノウ 当たってるってみんなに言われるんですけど、自分では「黒幕かなあ……?」って(笑)。
ゲーム制作に疲れて帰ってきて、ゲームに癒やされる
のっち カノウさんはプライベートではどんなゲームをするんですか?
カノウ 開発者はみんなそうだと思いますけど、新作アプリはやっぱり軒並み触りますよね。長くプレイするわけじゃないけど、チュートリアルから遊んでみて「あ、なるほど。確かにここの表現はいいね」みたいなことを参考にしてます。で、家に帰ったらNintendo Switchで気分転換してますね。ゲーム制作に疲れて帰ってきて、ゲームに癒やされるという(笑)。
のっち やっぱりそうなんだ(笑)。
カノウ 「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は本当に癒しなんですよ。うちのリビングには“人をダメにするソファ”が置いてあって、帰宅したらそこに座ってゼルダをやってます。でも実はまだクリアしてないんですよ。
のっち あ! 私もまだしてないんです!
カノウ 最後だけ残して全部の祠を周って、ミッションを1つずつやりながら……。
のっち すごい……じっくり楽しんでますね(笑)。
カノウ 今日はバクダン矢をいっぱい集めよう、みたいな。そろそろ2の発売日が決まると思うので、発売されたら1をクリアしようと思います(笑)。
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楽しく読んでいたら次回は…?!のっちさんがセガに?!
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