ライブハウスができるまで 第4回 [バックナンバー]

ほぼ完成、しかし新型コロナの影響でオープン延期

2人の店長が自粛期間に思うこと

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無料でDJイベントができる箱

LIVE HAUSではオープンに先駆けて店のステイトメントを表明しており、その施策の1つとして“箱代0円を目指す”と掲げた。 実際に23:00~29:00のクラブタイムにDJのみのイベントをする場合、ホールレンタル料を無料に設定している。つまり主催者は無料でイベントを行うことができるのだ。そのほかのレンタルプランも2万円から。破格と言える内容だ。

スガナミ ステイトメントについて話すと、大前提として新型コロナウイルスの問題が出る前に作ったものです。あれからだいぶ状況が変わってしまいましたので、もしも今ステイトメントを作ったら内容は違ったものになっていたかもしれません。新型コロナの件を抜きにして話すと、まず大仏くんとの共通認識として「箱代がアーティストの負担にならないように」というのがありました。だからホールレンタル料は相場よりもかなり安く設定していて、さらにドリンクの売り上げに応じて箱代を相殺できるシステムにしています。要は箱代という最低保証を設けつつ、ドリンクさえ売ってくれればそのお金も返しますよってこと。うちは平日の夜だと箱代が2万円だから、1000円のチケットで集客が20人あればペイできるし、50人来れば主催者に3万円の売り上げが入る。ただ、こちらも人件費をなるべく抑えなければならないので、基本的にはイベントの担当者、バースタッフ、PAの3人というミニマムな編成で回していきます。だから受け付けだけは主催側にやってもらうことにしていて。もちろん人件費をいただければこちらで用意しますけど、主催者によっては少しでもコストを抑えたいって人もいると思うんですよ。そういう選択肢があってもいいかなと。

大仏 小箱の発想ですよね。小さいクラブのイベントは知り合いで回してることが多いから、箱代は取らずに集客に応じてギャランティを決めるとか、お酒をオーダーしてもらえるような雰囲気を作ってくださいっていう。基本的にドリンクで売り上げを立てていくっていうスタイルです。

下北沢THREEで使用されていたドリンクメニューの看板。

下北沢THREEで使用されていたドリンクメニューの看板。

“人によっては入場無料”の理由

さらにステイトメントには、未成年者と海外からの旅行者はドリンク代のみで入場できることも打ち出されていた。いわば“人によっては入場無料”という独特な施策だが、そこにはこんな意図がある。

スガナミ 狙いとしては、若い子たちがゲームセンターやカラオケなどに行くような感覚で、「ソフトドリンク代だけで入れるから、LIVE HAUS行ってみる?」というのが増えたらいいなと思って。

大仏 特にライブハウスって出演者を目的に行く場所だったりするので、飛び込み客が少ないんですよね。

スガナミ そう。そのもともとゼロだったところにアプローチしたい。それに18~20歳くらいの頃って感性を伸ばす時期でもあるじゃないですか。でもお金は持っていない。僕は18歳で上京してきたけど、当時を振り返ってみても、行きたいライブを金銭的な問題で諦めることが多かった。だからこそLIVE HAUSみたいな箱があったらなと思うんですよね。年齢的にもいろんなことを体験して吸収する時期だし、うちに遊びに来て「バンドって楽しそうだな」「DJやってみたいな」と思ってもらえたら最高です。

大仏 若い子たちがライブハウスやクラブカルチャーに触れるきっかけを提供できたらいいですよね。海外からの旅行者について話すと、向こうのクラブってエントランスフリーのところが多いんです。それもあって日本のクラブにもフラッと入ってくるけど、入場料がかかることを伝えると帰ってしまうことも多々あって。

スガナミ そのパターンは本当に多いよね。そういう人たちって奇跡のタイミングでいらしているだけなので、それが入場料云々で入れないというのは単純にもったいない。若い子にしても外国人観光客の方にしても、もともと来る可能性自体がゼロだったわけだから、そこはドリンク代だけで入場してもらって、かつイベントを楽しんでもらえたら出演するアーティストやDJもうれしいと思うんですよね。

左からスガナミユウ、宮川大仏。

左からスガナミユウ、宮川大仏。

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前年の売上実績がないと給付金も申請できない

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