12月11、12日の2日間、千葉・幕張メッセイベントホールにて「YouTube FanFest」(YTFF)が実施された。5回目にして初の2日間開催となった今年の「YTFF」は1日目に「YouTube FanFest Music」が実施され、コブクロや水曜日のカンパネラなどが出演した。2日目はYouTuberたちがファンの目の前でレッドカーペットを歩く「YouTube FanFest Red Carpet」と、YouTuberがステージでライブなどを披露する「YouTube FanFest Japan」が行われ、両日共に会場の模様はYouTubeで生配信された。この記事では、12日の「YouTube FanFest Red Carpet」と「YouTube FanFest Japan」の様子をレポートすると共に関係者に話を聞き、YouTubeの人気について改めて探っていった。
取材・
人気YouTuberが続々登場
「YouTube FanFest Red Carpet」には「YouTube FanFest Japan」に出演する人気YouTuberたちが集合。水溜りボンド、kemio、和田さん。、SEIKIN、HIKAKIN、みきとP、吉田ちか、マリリン、
「YouTube FanFest Red Carpet」の終了後に行われた「YouTube FanFest Japan」でMCを務めたのは“発想重視の2人組YouTuber”として人気の水溜りボンド。冒頭では音楽動画を除いた2018年のYouTubeトレンド動画ランキングが発表された。
2018年国内トップトレンド動画ランキング(音楽除く)1位 Fischer's-フィッシャーズ- 英語禁止ボウリングがおもしろすぎて全然集中できない件www
2位 HikakinTV 【もはや鏡】アルミホイル2日間ハンマーで叩いたら超ピカピカの鉄球出来たw【ボール】
3位 Fischer's-フィッシャーズ- 絶対に笑ってはいけない8年前のシルクロード
4位 HikakinTV 【ご報告】家族が増えました! 猫飼います!【ヒカキンTV】【ねこcat】
5位 Fischer's-フィッシャーズ- 【水分禁止】大量のきなこ棒でやめれま10やったら素直にお喋り出来ないwww
6位 HikakinTV 【超巨大】アルミホイル250mハンマーで叩きまくったらピカピカ巨大鉄球出来たwww【アルミホイル玉】【ボール】
7位 ボンボンTV 【MV】ボンボンドリーム♪ミュージックビデオ【ボンボンTVオリジナルテーマソング】
8位 水溜りボンド 相方が逮捕されたドッキリがヤバい展開になったww
9位 Fischer's-フィッシャーズ- 細かすぎるモノマネ100連発できるまで終われま100!!
10位 HikakinTV 【大食い】超高級イチゴタワー全部食べれるまで帰れません! 【1粒400円】
トップ10のうち1位の「Fischer's-フィッシャーズ- 英語禁止ボウリングがおもしろすぎて全然集中できない件www」を含む4本にFischer's-フィッシャーズ-がランクイン。HIKAKINも2位の「HikakinTV 【もはや鏡】アルミホイル2日間ハンマーで叩いたら超ピカピカの鉄球出来たw【ボール】」など4本がランクインした。
24チャンネルを表彰
続いて今年登録者数が100万人を突破したチャンネルに、HIKAKINから金の再生ボタンがデザインされた盾が贈呈された。ここではkemio、kobasolo、MasuoTV、Ryuuu TV、SekineRisa、えむれなチャンネル、ふくれな、カリスマブラザーズ、きまぐれクック、恭チャンネル、ぐっちの部屋(ミラクルぐっち)、さぁや、さんこいち、ジョーブログ、釣りよかでしょう。、はじめしゃちょーの畑、はなお、ブライアンチャンネル、ボンボンTV、まあたそ、水溜りボンドの日常、よきき、アバンディーズ、A.I.GAMESが表彰された。A.I.GAMESの表彰を受け、キズナアイが新衣装でVTR出演しバーチャルYouTuberファンたちを沸かせた。40名以上のクリエーターが並ぶ光景を見て、2014年にHikakinTVで登録者数100万人を突破したHIKAKINは「5年前には考えられないようなこと。たくさんのスターが誕生してうれしい」と感慨深げに話した。
イベントではほかにもビューティコンテンツのトレンドを作ったまあたそ、ふくれな、よきき、マリリン、和田さん。や美容系動画が人気の関根、かわにしらによる個性あふれる企画も。終盤の音楽ライブでは、スカイピース、みきとP、Fischer's-フィッシャーズ-がそれぞれの楽曲を披露。みきとPはほかのYouTuberと一夜限りのコラボステージを展開し会場を盛り上げた。そして最後はこの日の全出演者が登壇し、次回の開催を約束しイベントを締めくくった。
「完成されてない所がいい」
この日の会場は満員で、特に10代後半から20代が多く、女性の姿が多く見られた。Googleの公式発表によると、2日間の来場者数は合計1万3000人。ライブ配信の最多同時接続者数は1日目が9万1411人、2日目は3万1236人(「YouTube FanFest Japan」のみ)という結果になった。イベント中は一部を除いて観客によるステージ上の写真撮影が許されており、公演中Twitterでは「アイちゃん新衣装でくるあたり最高すぎる」「生で見れて幸せ~」「私の推しカッコよすぎて自慢すぎる!」などのコメントと共にファンによって撮影されたイベントの模様が「#YTFF」を付けて投稿され、一時Twitterのトレンドワードで1位になるほどの盛り上がりとなった。
会場で数組の来場者にYouTuberの魅力を尋ねたところ、「自分たちで企画や動画編集を全部考えて作っている所が応援したくなる」(10代女性)、「芸人さんみたいに完成された笑いじゃないけど、クラスの面白いヤツを見ている感じのゆるさが好き」(10代男性)、「推しとイベントや撮影会で触れ合えて顔を覚えてもらえる。身近な所がいい」(10代女性)と話してくれた。
音楽の分野で注目を集めた1年
「YTFF」の盛況を受けて、音楽ナタリーではYouTubeマーケティング統括部長を務めるGoogleの長谷川泰氏に2018年のYouTubeを振り返っていただいた。まず「YTFF」を2日間開催にした狙いについて伺ったところ、「2018年はYouTubeが音楽に注力した年」であったことが要因だそう。
「YouTubeでは、音楽コンテンツの再生数が非常に伸びています。加えて今年は新たなサービスとして『YouTube Premium』『YouTube Music』を日本でもスタートさせたり、『FUJI ROCK FESTIVAL'18』のライブ配信を行ったりと、音楽に力を入れた年だったと言えます。それでアーティストとYouTuberそれぞれにフォーカスし、日を分けてイベントを展開することにしました」
長谷川氏が話す通り、2018年は特に音楽の分野でYouTubeの存在感が際立った1年と言えそうだ。「FUJI ROCK FESTIVAL'18」のライブ配信や、動画&音楽コンテンツの定額配信サービス「YouTube Premium」のローンチはもちろん、ミュージックビデオのYouTubeでの再生回数が1億回を超えるほどのヒットとなったDA PUMP「U.S.A.」など、枚挙に暇がない。
「『U.S.A.』については、MVや楽曲自体の素晴らしさはもちろん、avex traxさんが公式に本人たちの振付動画を公開したことで、ユーザーが真似をしやすくなったと思われます。“みんなで踊る”ことを推奨したことが爆発的な流行につながりました。そしてフジロックの配信は1000万回以上再生されました。それでもイベントの動員が減ったということはまったくなく、むしろライブ配信を視聴していた人が『来年は絶対に現地に行く』とコメントすることも多くありました」
“学び”のコンテンツが人気
もちろん、2018年のTouTubeを盛り上げたのは音楽コンテンツに止まらない。長谷川氏によると、“学び”のコンテンツが注目度を高めていたそうだ。
「楽器演奏や英会話、元塾講師の方が配信する授業など、“学び”のコンテンツの再生回数が増えていました。ユーザーは“楽しさ”だけではなく、身になるコンテンツを求めているようです。少し変わったものを挙げると、受験生など1人で勉強する人に向けて、ただひたすら自分が勉強をしている姿を公開する勉強動画なども増えています」
実際「YTFF」に登場した吉田ちかの英会話チャンネル「バイリンガール英会話 | Bilingirl Chika」の登録者は128万人に登り、はじめしゃちょーなどの人気YouTuberも勉強動画を配信している。そしてこのような学習コンテンツの流行は日本だけでなく世界的なものと言えるそうだ。
YouTuberたちの今後
動画クリエイターたちの今後に動向に目を向けると、HIKAKINがテレビで活躍していることを皮切りに、YouTube Premiumのオリジナルコンテンツとしてはじめしゃちょーの初主演ドラマ「The Fake Show」が配信されるなど、トップクリエイターを中心に活躍の場を広げている。音楽の分野でも、長谷川氏が「スカイピースとFischer's-フィッシャーズ-は音楽チャートでトップ3に入っています。それで『YTFF』では1日目にも出演してもらいました」と話すほど、YouTuberのアーティスト化も活発化している。
その一方で、テレビで活躍しているお笑い芸人やタレント、ゆるキャラなどのYouTuber化にもますます拍車がかかりそう。長谷川氏は「他メディアを主戦場にしていたタレントがYouTube上で露出を増やしていく動きはもっと進んでいくでしょうね。とは言え、予想できない所でヒットが生まれるのがYouTubeです」と取材を締めくくった。
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リンク
- YouTube FanFest - YouTube
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音楽ナタリー @natalie_mu
YouTubeが音楽に本気になった2018年|「YTFF」レポ&スタッフインタビューから見える現状と未来
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#YTFF