「贅婿[ぜいせい]~ムコ殿は天才策士~」|凄腕ビジネスマンが布商の婿養子に転生!? ムコ殿が古代中国で成り上がる痛快歴史ドラマ マンガ家・河井克夫がイラスト描き下ろし

中国ドラマ「贅婿[ぜいせい]~ムコ殿は天才策士~」が4月4日よりチャンネル銀河で日本初放送される。中国の配信サイトで再生回数65億回超えを果たした本作の主人公は、現代から古代に転生したやり手ビジネスマン・寧毅(ニン・イー)。劇中では跡目争いに揺れる布商の婿養子となった寧毅が、現代で培った知識やビジネスセンスを存分に発揮しライバルたちに一泡吹かせていく。

映画ナタリーでは本作の魅力を紐解くべく「ニャ夢ウェイ」や「ラーゲリ 収容所から来た遺書」のコミカライズなどで知られるマンガ家の河井克夫による描き下ろしイラストをお届け。見どころコラムも掲載している。

文 / 沢井メグ(コラム)

河井克夫が「贅婿[ぜいせい]~ムコ殿は天才策士~」の魅力を描き下ろし!

河井克夫イラストコラム
河井克夫イラストコラム
河井克夫イラストコラム
河井克夫イラストコラム
河井克夫(カワイカツオ)
1969年4月16日生まれ、愛知県出身。1995年にマンガ雑誌ガロでデビュー。以来、メジャー・マイナー問わず、さまざまな媒体で作品を発表している。主な作品に「女の生きかたシリーズ」「クリスチーナZ」、松尾スズキとの共著「ニャ夢ウェイ」シリーズ、「久生十蘭漫画集 予言・姦」「うつ病九段」「ラーゲリ 収容所から来た遺書」(刊行予定)など。俳優としても活動しており出演作に映画「恋の門」やNHK連続テレビ小説「半分、青い。」などがある。

再生回数驚異の65億回超え!
痛快歴史ドラマ「贅婿」の魅力を徹底解説

現代のデキる男が古代ビジネス界で大暴れ!スカッとすること間違いなしの成功譚

2021年、中国の動画配信プラットフォームで再生回数が驚異の65億回超え、同年の大ヒット時代劇となったのがこの「贅婿[ぜいせい]~ムコ殿は天才策士~」だ。

物語は凄腕ビジネスマンが、現代の記憶を持ったまま武朝の寧毅(ニン・イー)なる人物に転生するところから始まる。寧毅は後継者争いに揺れる布商・蘇家の贅婿(ぜいせい / 入り婿)だった。

この入り婿の境遇が想像以上に過酷。見下され、発言権もなく、親戚の集まりにすら出られない。しかも妻・蘇檀児(スー・タンアル)とは愛なき契約結婚。だが寧毅は腐ることなく、持ち前の知識と機転で次々と檀児の店に訪れる難題を解決していく。

例えば、新商品に「共同購入による割引」と「予約販売」を導入し見事に売りさばき、ライバルの策略により絹の仕入れが困難になったなら、絹が先物である点を利用して空売りを仕掛け、ライバル店を破産に追い込んだ。そのほかポイントカードの導入やフランチャイズ経営など、現代のビジネス知識を駆使し、ライバルたちをスカッとコテンパンにやっつけていくのだ。その爽快感はドラマ「半沢直樹」に通じるものがある。

……と聞くと「ビジネスや中国文化の知識がないと楽しめないのでは?」と思ってしまうが、まったくの心配無用。ビジネスは寧毅が「こういうことなんだ」と檀児たちに説明する。寧毅の説明は中国で「小学生でもわかる解説」と好評だ。古代の中国文化は周囲の人物が「ムコ殿! 忘れちゃったんですか!?」なんてノリで教えてくれる。必要な情報は、物語を追っていれば自然と入ってくるので、視聴者は真っ白な気持ちで見られるのだ。寧毅の「中身は現代人」という設定が、実にいい仕事をしている。

また、古代と現代の感覚の違いが一種のコミカルさにもなっているのも面白い。1話につき2~3回は笑えるポイントがあるが、特に印象深いのが婿イビリへの返しだ。変にドロドロにならないのは、現代的なウィットに富む寧毅のキャラがなせるわざである。

契約結婚から相棒へ、初々しい恋模様にほっこり

さて、作品では寧毅と檀児の関係も見どころのひとつだ。当初、檀児は花嫁衣装の試着すらしないほど寧毅に関心がなかったが、2人で何度も店の危機を乗り越える中で、「相棒」と呼べる関係が築かれていく。いつしか本物の夫婦へ……と物語は進むが、すぐに恋愛関係にならない展開が新鮮だ。

端から見るといいムードなのに、寧毅と檀児は恋心に無自覚である模様。2人の仲は一進一退で、見ている方はじれったくてたまらない。ハラハラする物語の中で、淡い2人の心模様は一服の清涼剤と言えるだろう。ラブ史劇とはまた違った魅力がある。

「慶余年」ファンも沸いた! ちりばめられた遊び心

左からグオ・チーリン演じる寧毅、ソン・イー演じる蘇檀児。

そんな寧毅役の郭麒麟(グオ・チーリン)と檀児役の宋軼(ソン・イー)は、ドラマ「慶余年」で共演歴がある。「慶余年」で2人が演じたのは金勘定をさせれば右に出る者はいない青年・范思轍(ファン・スージョー)とその姉・范若若(ファン・ルオルオ)。この名コンビが「贅婿」で主役カップルとして復活した際は、「慶余年」ファンを沸かせたものである。

左からチャン・ルオユン演じる江浩辰、グオ・チーリン演じる寧毅。

「贅婿」と「慶余年」の共通点はこれだけではない。まず転生前の寧毅を演じたのが、「慶余年」の主人公・范閑(ファン・シエン)役の張若昀(チャン・ルオユン)。その范閑も「現代の記憶を持ったまま転生」という設定だったことから、中国のファンから「寧毅=范閑+范思轍」と言われることもしばしばだ。

そのほか「贅婿」には幾人もの「慶余年」主要キャストが名を連ねている。中国では「『慶余年』のスピンオフかと思った」という愛あるツッコミや、「『慶余年』俳優を探せ!」と盛り上がりを見せた。「慶余年」を視聴済みの方はぜひ「贅婿」に何人のキャストがどんな役で出演しているか探してみてほしい。反対に「贅婿」から「慶余年」を見ても面白い発見があるだろう。

爽快、笑い、ほっこり、「慶余年」とのクロスオーバー。そして中盤以降ではいち布商のお話が国をめぐる壮大な物語に展開していく。1作で何度楽しませてくれるのか。それが「贅婿」の魅力なのだ。

ドラマ「贅婿[ぜいせい]~ムコ殿は天才策士~」
チャンネル銀河 2022年4月4日(月)スタート 毎週月曜~金曜 23:00~24:00ほか
※スカパー!1、2話無料放送
ストーリー

友人に裏切られ、何者かに頭を殴られた大手企業の幹部・江浩辰(ジャン・ハオチェン)。彼が目を覚ますとそこは武王朝で寧毅(ニン・イー)という青年に生まれ変わっていた。借金のカタで跡目争いに揺れる布商の婿養子“贅婿(ぜいせい)”となったことを知らされた寧毅は「妻が家業を継ぐ証の実印を手に入れれば借金と婚姻は帳消しとなる」という契約を婚約者の蘇檀児(スー・タンアル)と取り交わす。結婚式当日から横恋慕する烏啓豪(ウー・チーハオ)や蘇檀児に代わって家業を継ぐことをもくろむ叔父親子から数々の嫌がらせを受ける寧毅と檀児。しかし転生前は“超絶デキるビジネスマン”だった寧毅は現代で培った知識やビジネスセンスを存分に発揮し、夫婦で協力しながらライバルたちに一泡吹かせていく。こうして正式に家督を継ぐことを認められた檀児だったが、それは同時に寧毅との婚姻解消を意味していた。

スタッフ / キャスト

監督:ドン・コー(鄧科)

脚本:チン・ウェン(秦雯)

出演:グオ・チーリン(郭麒麟)、ソン・イー(宋軼)、ジャン・イーイー (蒋依依)、ワン・チョンスー(王成思)、ダイ・シアンユー(戴向宇)、リウ・グァンリン(劉冠麟)ほか

「慶余年」の再放送もスタート

ドラマ「慶余年」
チャンネル銀河 2022年4月4日(月)スタート 毎週月曜~金曜 16:30~17:30

4月4日にチャンネル銀河で再放送がスタートする「慶余年」は緻密なストーリーが話題を呼び、中国で大ヒットした歴史ドラマ。現代の記憶を持ったまま戦乱の世に転生した青年・范閑(ファン・シエン)が、宮廷に潜む謎と陰謀に立ち向かうさまが描かれる。チャン・ルオユンが范閑、リー・チンがヒロインを演じ、「陳情令」のシャオ・ジャンも出演。「贅婿」と「慶余年」どちらも観ることで、両作をより楽しめること間違いなし!

チャンネル銀河
チャンネル銀河とは?

歴史ドラマ、サスペンス、日本のうたを中心に「大人が心から楽しめる」ヒット作、話題作を続々放送!