女性用の下着を「俺のだよ」って言われたら、納得できない(笑)
──澪に共感する部分はどんなところですか?
彼女は自分に自信がなくて、人に嫌われたくないから自分の気持ちを伝えられない子なんです。私も「ありがとう」だったり「うれしい」というポジティブな感情は素直に表現できるのですが、嫌だなとかやめてほしいなと思うことはどう言えばいいんだろう?と悩んでしまって、相手に伝えるのが苦手です。雰囲気を悪くしたらどうしようと思うと我慢してしまう。そういうところは澪と少し似ています。世の中にもそういう女の子は少なくないと思いますね。
──逆に理解できない部分はありますか?
言えなさすぎ!(笑) 例えば彼氏の家に知らない歯ブラシが置いてあって「掃除用だよ」と言われたら、百歩譲ってのみ込むのはわかります。でも、さすがに女性用の下着を「俺のだよ」って言われたら、私だったら納得できないですね(笑)。澪は結婚という2文字に引っ張られて彼に依存していますが、ダメ男と一緒になったって幸せになれないだろうし、男の人にしがみつくのは理解できないです。澪は熱意を持って仕事をしているわけじゃないから結婚できたらそれでいいと思っていますが、私は仕事が大好きなので、将来結婚したとしても仕事は続けたいなと思います。
──澪も仕事に対する態度が次第に変わっていきますよね。
環境や関わる人が変わったことによって仕事に熱意を持って取り組むようになります。自分がやり通すという強さを身に付けていくんです。でもがんばりすぎちゃって、また妖怪に助けられたり。すぐに完璧にできないところも人間らしくて素敵だなと思います。
聞くお芝居を大事にしています
──役作りにあたって意識されていることはありますか?
報われなさそうなビジュアルを作るところから始めました(笑)。衣装合わせのときに、どうすれば本命になれない2番目感が出るんだろう?って考えて。ボーダーの洋服なら野暮ったさが出るんじゃないかなって話し合ったり。妖怪たちは色味もポップで鮮やかなお洋服を着ているので、物語が進むに連れて澪の洋服にも変化を出せればなと思っています。
──澪を演じるうえで、とてもテンションの高いお芝居が要求されるのではないかと思うのですが、コメディを演じる際に心がけていることはありますか?
聞くことです。自分で面白くしようとやりすぎても、観ている人は冷めていっちゃいますよね。だから私は、妖怪たちの奇抜な行動や突拍子もない言動に、素直にリアクションを取れたらいいなと思っています。周りをちゃんと見て、しっかり聞く、受けのお芝居を大事にしていますね。
──妖怪はもちろん、シェアハウスというのも本作の重要なテーマですよね。
友達とのシェアハウスは1度経験してみたいなと思ったことはあるのですが、家族以外と暮らしたことがないので、順応できるタイプなのかどうかはわからないです。ただ1人の時間は自分で確保できるタイプだと思いますね。誰かと同じ空間にいても、台本を読んだり自分のことに集中することはできる。家でも家族が近くにいる状態でセリフを頭に入れています。本当はカフェでセリフを覚えたりするのに憧れがありますが、無意識に感情が表に出てしまうので、周りから変な人に見られてしまう恐れがあって……(笑)。
──なるほど(笑)。1人の時間が確保できるのは共同生活に向いているかもしれませんね。ちなみに、丑の刻は決して妖怪たちの姿を見ないと澪は約束していますが、もし小芝さんがシェアハウスに住む場合、これだけは譲れないルールというのはありますか?
夜中にうるさくしすぎないでほしいです。シェアハウスのメンバーでパーティするのはいいんですけど、限度は守ってほしいなという……。毎日友達を呼んでどんちゃん騒ぎされたらしんどいです(笑)。
──(笑)。最後になりますが、小芝さんはこのドラマをどんな人に届けたいですか?
澪は周りを気にしすぎて、なかなか自分を素直に出せない女の子です。対する妖怪たちは個性の塊で、自分は自分だという強い意志を持っている。お節介でときに過激な妖怪たちと生活していくうちに、澪もずっと閉じ込めていた本当の思いをどんどん解放して、自分は自分でいいんだと自信を付けていきます。彼女の成長を見て、今まで自分の意見を言えなかった人や生きづらさを抱えている人が少しでも気持ちを伝えられるようになったらいいなと思います。面白おかしく、妖怪たちと一緒に背中を押せたらいいなって。
──不安はないですか?
実は、1つだけ。劇中でバッタを食べなきゃいけないんです。最初はイナゴだったのに……(笑)。それも見どころにしていただければうれしいです。