「暴太郎戦隊ドンブラザーズ ファイナルライブツアー2023」“9にんのドンブラ”座談会 (2/3)

ずっとジロウのことだけを考えた期間でした(石川)

──石川さんは桃谷ジロウとして14話からの途中参加でしたが、難しさはありましたか。

石川 最初、撮影に入るときは入りづらいというのはあったんですけど、ドンブラザーズはなんでもありのはちゃめちゃな戦隊って感じだから、急にジロウがこの派手な衣装で入っていっても許せる世界を皆さんが作ってくれてたのかなと。だからそこはスッと入り込めた気はします。

──役柄的な難しさはどうでしたか? 2重人格だし、最終的には……。

石川 3人目が出てきちゃったし。

──しかも実は地元の友達も彼女も幻で、育ての親も死んでしまって……。

石川 いない。

タカハシ 一気に聞くとすごいね(笑)。

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ ファイナルライブツアー2023」より。

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ ファイナルライブツアー2023」より。

石川 撮影当初の14、15話ぐらいはジロウがすべてを持ってた時期だったんですよ。でも回を追うごとに何かしらをどんどん失っていくんです。

樋口 確かに。

石川 そこから急に多重人格だよと言われて、すぐに闇落ちしたあと、羽織を急に着ることになってメイクも変わるし、さらに闇ジロウのほうが本体だよって言われて、それに対応してアフレコの感じも変えて。めちゃくちゃ大変でしたけど、今までやったことないぐらいやりがいがありました。ひたすらにずっとジロウのことだけを考えて、頭の中で再生して。とても充実した期間だったなと思いますね。楽しかったですよ。

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ ファイナルライブツアー2023」より。

「暴太郎戦隊ドンブラザーズ ファイナルライブツアー2023」より。

──柊太朗さん演じる犬塚翼は終盤まで、ドンブラザーズとお互いの正体を知らないままでしたね。おそらく最初は視聴者も、そして演じているご本人も「すぐ仲間入りするんだろうな」と予想していたと思うんですがそうではありませんでした。

柊太朗 そうですね。

──そのせいか、犬塚はゲストキャラとの絡みが多かった印象です。

柊太朗 ゲストさんとのやり取りで慣れちゃって、みんなとの掛け合いのほうが難しかったです。それまでは1人とか2人相手に言ったらそれが返ってくる感じだったんですけど、(人数が多いと)何か言ったらそっちで発展するから。35話くらいから最終話付近までは、輪に入るのが難しかったです。

鈴木 遅っ(笑)。でも俺とは絡みが一番多かったよね。

──夏美 / みほをめぐっての、つよしとの掛け合いが増えたのは何かのきっかけになったのでは。

柊太朗 心のよりどころとしてつよしがいたから、なんとかみんなとの輪に入れたって感じがあるので、そこはつよしと出会えてよかったのはありますね。境遇が似ていた分、仲良くなりやすいキャラだったのかな。

──翼はあれだけ夏美を追っていたのに、最後あっさりフラれたのがちょっとびっくりしました。翼は指名手配犯になってしまったので、フラれるのはリアルだなーとは思ったのですが……。

柊太朗 そうですね、翼はしんどいでしょうけど、現実の世界でも犯罪者になったらフラれるでしょうし。翼自身も1年間逃げている間は、最悪のケースも考えながら過ごしていたと思うんですよ。なんとなくそんなことになるかもという気もしつつ、でも受け入れたくないっていう葛藤があったのではないかなと。だけど最後はあっさりしてたほうが人間ぽいので、あれでいいのかなと思います。

「役を選び直していい」と言われても絶対につよしを選びます(鈴木)

──続いて鈴木さん。開始前のインタビューでは雉野つよしについて「8人の中で一番普通の人ですね。街を歩いたり電車に乗ったりすれば絶対に見かけるタイプ」と言っていました。ただ番組が始まると、友人を警察に売るし、何度も欲望に支配されてヒトツ鬼になるという強烈なキャラで、SNSでもたびたび話題になりました。

鈴木 ほぼほぼ悪口でしたけど(笑)。でも僕はつよしが一番好きだし、つよししか演じたくないですね。仮に「役を自由に選び直してもいい」と言われてもまた絶対につよしを選ぶと思います。僕が最初に思っていた「普通」とは違ったんですけど、でも、ある意味では「普通」だなとも思うんですよ。だってあれだけ何もない人間の、唯一大事な存在である奥さんに何かされたら、普通の人、一般の多くの人はああなるだろうなって。僕は台本を読んで「つよしは変なやつなんだ、じゃあ変に演じよう」と色をつけることはしてなくて、「ちょっといきすぎるところはあるけど『普通』のカテゴリに入る人だな」と自分で納得して演じていたんです。井上先生とお話しさせていただいたときも、そういうふうに書いたとおっしゃっていましたし、井上先生が書いてくれたつよしを読み解けてよかったなとも思います。

──なるほど。でも確かに雉野は視聴者からヤバいやつ扱いされがちではあるんですが、ドンブラザーズの面々からは責められるわけでもなく、受け入れられているのがいいなと思いました。

鈴木 何度ヒトツ鬼になっても、誰もそんなに糾弾しなかったですからね。「また遅刻したな」ぐらいのテンションで(笑)。

タカハシ そう考えると雉野は愛されているんですね。

鈴木 間違ったら戻してくれるんだろうなっていう感覚なのかな。

石川 強いタロウがいるから大丈夫、みたいな。

柊太朗 安心感があるのかも。

タカハシ いいチームだ。

樋口 でも僕らだって何かのきっかけでヒトツ鬼になるかもしれないわけだからね。僕らというのは、樋口幸平も別府由来も。それが普通。

志田 欲望だらけだから(笑)。

左から鈴木浩文、タカハシシンノスケ、志田こはく。

左から鈴木浩文、タカハシシンノスケ、志田こはく。

左から鈴木浩文、タカハシシンノスケ、志田こはく。

左から鈴木浩文、タカハシシンノスケ、志田こはく。

──志田さんは最年少で、しかも今作で映像初挑戦だったそうですが、本作は鬼頭はるか目線で進むことが多く、タロウにも引けを取らない主人公的な立ち位置にも見えました。ご自身で成長できたなと思う部分はありますか?

志田 1年間でメンタルはすごく鍛えられましたね。クランクイン前の読み合わせのときに、田﨑(竜太)監督にたくさん注意を受けて。クランクインしたときも、またいろいろご指導いただいて大変なことが多くて(苦笑)。最初の頃は厳しく言っていただいたことに対してすごく落ち込んでいたんです。

──そんな時期があったんですね。

志田 お芝居もほぼ未経験、そして語り手っていうのもあって不安だったんですけど、お芝居していくうちに、言われたことに対してちょっとずつ「こうすればいいんだ」と前向きに捉えられるようになりました。

──それは周りから見ても感じますか?

樋口 もちろんですよ。すごいなと思いますね。