中国ドラマ「トワイライト~恋がはじまる時間~」がU-NEXTで独占先行配信中。DVDが3月6日より毎月順次リリースされる。「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」「美人骨」のアレン・レン(任嘉倫)と「摩天楼のモンタージュ~Horizon Tower~」のアンジェラベイビー(楊穎)が豪華共演した本作は、中国で数々のドラマランキングで1位を獲得した話題作。ひょんなことからひとつ屋根の下で同居することになった“ちょっと冴えない”が心優しき脚本家と人気心理カウンセラーの恋模様を描いたラブストーリーだ。
映画ナタリーでは本作のリリースを記念し、“同居ものラブストーリー”「イタズラなKiss~Love in TOKYO」のヒットをきっかけに、中華圏でも絶大な人気を誇る古川雄輝にインタビューを実施。作品の魅力を紐解いてもらった。
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取材・文 / 金子恭未子
中国ドラマ「トワイライト~恋がはじまる時間~」予告編公開中
「トワイライト」はぜいたくな時間の使い方をしたドラマ
──古川さんは「イタズラなKiss~Love in TOKYO」のヒットをきっかけに中華圏でも絶大な人気を得ていますし、昨年は中国映画「あなたがここにいてほしい」の吹替も担当されるなど中華圏とは縁が深い印象を受けます。日中合作ドラマ「不思議な夏」にも出演されていましたが、撮影現場で日本と中国の違いを感じた場面はありましたか?
まずびっくりしたのが、日本だと助監督さんが「よーい! スタート」という声に合わせてカチンコを鳴らすんですが、中国はカチンコ専門のスタッフさんが現場にいるんです。クレーンで撮影する際に使用する機材のことをジブと呼ぶんですが、ジブだけを運ぶスタッフさんもいました。照明部も代々引き継いでやっているようで、小さいお子さんが現場にいたり。ヘアメイクも、ヘアをやってくれる人とメイクをやってくれる人が別々にいて、男性でもアイラインを引くこともある。なかなか日本でそういうメイクをすることがないので、ビジュアルの違いや撮影スタイルの違いには驚きましたね。
──中国の撮影現場も経験されている古川さんに、今回は新作中国ドラマ「トワイライト~恋がはじまる時間~」を観ていただきました。「イタズラなKiss」とは同居もののラブストーリーという共通点もあります。
「トワイライト~恋がはじまる時間~」ってどんなドラマ?
勤め先から独立を決意した心理カウンセラーのリウ・シアが節約のためルームシェア相手を探していたところ、昼夜逆転生活を送るどこか偏屈な脚本家の青年チー・リエンシャンが現れる。契約相手が女性だと思っていた彼女は、びっくりするも互いに干渉しないというルールを決め、仕方なく同居することに。
独立したものの古巣から嫌がらせを受けるリウ・シアと不本意な脚本改変を強いられるチー・リエンシャン。1日も早い同居解消を願ってスタートしたはずの共同生活だったが、日常の中で相手の優しさに触れ、互いの心を癒やし、ゆっくりと惹かれ合っていく。
脚本家のチー・リエンシャンをアレン・レン、心理カウンセラーのリウ・シアをアンジェラベイビーが好演した。
──ドラマをご覧になって、いかがでしたか?
“同居もののラブストーリー”だと聞いていたんですが、冒頭、カーチェイスからスタートしたので、あれ? これ、想像していた作品と違うかもしれないというのが始まりで。主人公2人が生きている現実世界のほかに、劇中劇も描かれているので、単純にリエンシャンとリウ・シアの恋愛模様だけを観るドラマじゃないんだなというのが第一印象でした。
──脚本家のチー・リエンシャンが執筆している刑事ドラマや青春学園ドラマが劇中劇として登場します。メインストーリーとは別にさまざまなシチュエーションを演じるアレン・レンとアンジェラベイビーの姿が楽しめるのもこの作品のポイントです。
「トワイライト」はぜいたくな時間の使い方をしたドラマだなと思いました。最近の日本の作品は8話ぐらいで終わるものもありますが、このドラマでは、かなり話数を重ねながらリエンシャンとリウ・シアが徐々に仲良くなっていく過程が描かれる。恋愛要素だけでなく、人前では見せないそれぞれのキャラクターの悩みがしっかり描かれているのも魅力です。リエンシャンは幼い頃に両親を亡くしていますし、リウ・シアはある事情で借金を背負っていたり、過去に大きなトラウマを抱えている。また、シナリオ制作事務所のジア社長は浪費癖がありますし、リウ・シアの元上司ヤン・ヨウリーは彼女への思いが叶わずおかしくなっていく。主人公2人の恋模様だけでなく、サブキャラクターも含めた1人ひとりの葛藤をのぞき見できる大人なラブストーリーだと思いました。
リエンシャンは思わず応援したくなるような魅力的な人
──それぞれのキャラクターが丁寧に描かれている本作ですが、アレン・レン演じるチー・リエンシャンをどんな人物だと捉えましたか?
リエンシャンは純粋でかわいくて、とてもチャーミングですよね。思わず応援したくなるような魅力を持った人。日本でいうと草食系男子に当たるのかな? 男女が共同生活をしていればもう少し意識し合うと思うんですけど、リエンシャンは最初、リウ・シアを全然女性として見ていない。何かをきっかけに急接近するわけでもなく、でも、気付いたら15話ぐらいで2人の座っている位置が近くなっていたりする。肩がぶつかり合うぐらいの距離感に自然と座っている2人を見て、心の距離が縮まっているんだな、いいなと思いました。
──お話を伺って、2人の距離感に注目しながらもう一度ドラマを観直したいと思いました。
たぶん役者さんだったら、監督に「ここに座って」と指示されない限り、近くに座らないと思うんです。距離感ってとても気になる部分なので。現場でも「そんなに仲良くないのに、この距離感では座らないよね」とかよく話に出ますね。
──チー・リエンシャンを演じるアレン・レンにはどんな印象を持ちましたか?
僕はコミカルなお芝居ほど難しいと思うんです。アレン・レンさんはそれをナチュラルに演じているので、相当キャラクターのことを理解して役作りされているのかなと感じました。あとはやっぱり、現実の世界と劇中劇の中でギャップを出さないといけないので、そのあたりの演じ分けはしっかり考えている印象を受けました。脚本家のほかに、刑事や学生を演じていて、ファンの方にとってはたまらないんじゃないかなと思います。
──一方、チー・リエンシャンが一緒に暮らすことになる心理カウンセラーのリウ・シアをアンジェラベイビーが演じています。
最初は大人っぽくてしっかりした女性という印象を持つと思うんです。でもお酒を飲んでベロベロになっちゃったり、外見とギャップがあるところが魅力。リウ・シアは借金を背負っていたり、トラウマを抱えているので、そんな彼女にリエンシャンが寄り添う中で、距離が縮まっていく。そういったストーリーの流れも観ていて面白かったです。
──2人がゆっくりと心の距離を縮めていく描写も本作の注目ポイントの1つですね。
日本のドラマに慣れているともっと早くくっついてほしいなと思う反面、この2人の距離感を楽しみたいなと思う自分もいたりして。ゆっくり進んでいく2人の恋模様は好きでしたね。もし演じるとしたら、どのタイミングで好きになったのかを監督に聞くなと思いながら観ていました。一緒に映画を観たときなのか? 人口呼吸をしたときなのか? “このタイミングで恋に落ちた”というのをどこかで決めておかないとお芝居にも影響が出てくるだろうなと思ったり……。そんなことを考えながら楽しませていただきました。
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いつリエンシャンの恋のスイッチが入るのかも見どころ