実は緊張してた?鈴鹿央士&田中哲司「ゆりあ先生の赤い糸のはじまりのはじまり」対談、スピンオフで描くのは初々しいデート

入江喜和のマンガを原作に、菅野美穂が主演を務める木曜ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」がテレビ朝日系で放送中。TELASA(テラサ)ではドラマ本編に加え、鈴鹿央士、田中哲司が共演するスピンオフドラマ「ゆりあ先生の赤い糸のはじまりのはじまり」が配信されている。

「ゆりあ先生の赤い糸」の前日譚となる「ゆりあ先生の赤い糸のはじまりのはじまり」は、鈴鹿演じる箭内稟久と、田中演じる伊沢吾良が交際を始めたばかりの頃を描く物語。木戸大聖扮する伴優弥、えびちゃん(マリーマリー)扮する里菜の破綻寸前な夫婦と偶然同じレストランに居合わせた日の出来事が映し出される。

映画ナタリーでは、スピンオフドラマの収録を終えた鈴鹿と田中にインタビュー。「実は緊張していた」という撮影裏や、お互いの役の魅力を語った。そして田中が「鈴鹿くん大丈夫かなとドキドキしました」と振り返ったシーンとは。

取材・文 / 田尻和花撮影 / 星野耕作
衣装 / 小宮莉帆持ち道具 / 大沼信也

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恋愛はいろんな形があって、縛りがないほうがいいな(鈴鹿)

──スピンオフドラマの撮影直後にありがとうございます。箭内稟久役の鈴鹿央士さん、伊沢吾良役の田中哲司さんに、まずは撮影を終えた率直な感想をお伺いしたいです。

鈴鹿央士 楽しかったです。ドラマ本編ではゴロ(吾良)さんは意識不明で寝たきりなので、稟久としゃべるとすれば回想シーンだけ。前日譚となる今回のスピンオフドラマではすごく長く話せました。

鈴鹿央士

鈴鹿央士

田中哲司 そうだね、回想シーンも短いしね。

鈴鹿 なので、実はゴロさんと一対一でしゃべって緊張していました。どうやって話せばいいんだろうと。でもうれしかったです。

田中 最近は回想シーンも撮影していなかったので、久しぶりにセリフをしゃべったなという感じです(笑)。スピンオフの続きとなるシーンが本編第4話でも流れるので、つながっているのが楽しめる素です。

──スピンオフができると聞いたときはどんな気持ちでしたか?

田中 セリフが本編ドラマの比じゃないと焦りました(笑)。でも本編では見られない関係や、シーンを作れるのはうれしく思いました。

田中哲司

田中哲司

鈴鹿 ゴロさんとしゃべれる機会がもう1つできたことがすごくうれしかったです。台本の作りもユニークで、2つのカップルの会話が入り混じる形式なので、どうやって撮るんだろう? でも映像になったら絶対に面白いだろうなと思いながら読みました。スピンオフの台本があったからこそ、本編の現場で哲司さんと「セリフ入った?」と話せましたし。

田中 そうそう。鈴鹿くんの余裕があるときにベッドのそばで合わせをしてもらって、セリフを覚えました。

鈴鹿 僕はその時間がとても幸せでしたね。

──スピンオフには鈴鹿さんがおっしゃった通り、木戸大聖さんとえびちゃん(マリーマリー)さんが演じる、破綻寸前の夫婦も登場します。

田中 2組のカップルの違いがすごく出ていますよね。えびさんはこういう感じなんだって、今回初めて知りました(笑)。木戸さんとは本編第2話でお会いしてますね。

──模造刀のくだりですね。鈴鹿さんは木戸さんとの共演はいかがでしたか?

鈴鹿 スピンオフの現場では、あちらの夫婦の撮影は見れていないんです。ただ本編で言うと、第3話の木戸さん演じる伴ちゃん(伴優弥)と菅野美穂さん演じるゆりさん(伊沢ゆりあ)の関係にすごくキュンキュンしました。「外でのゆりさんって、こういう顔してたんだ」という乙女の顔をしていて、あーっと思いながらドラマを観てました(笑)。ゆりさんたちカップルの年齢差も、稟久たちとほぼ同じ。恋愛はいろんな形があって、縛りがないほうがいいなと考えています。

ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」第3話より。左から木戸大聖演じる伴優弥、菅野美穂演じる伊沢ゆりあ。

ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」第3話より。左から木戸大聖演じる伴優弥、菅野美穂演じる伊沢ゆりあ。

こういうやり方があったのか、なるほど(田中)

──スピンオフの稟久とゴロさんは付き合いたてという時期ですが、そういう雰囲気を作るためにお二人で話し合ったりしましたか? 本編の撮影でもコミュニケーションは密に取っているんでしょうか?

鈴鹿 スピンオフでは2人同時に同じ言葉を口にするシーンがあるんですが、そこは「もうちょっとためてから言うようにしましょう」と話しました。

田中 普段の撮影とこのインタビューのテンポは同じで、ゆったりとしたトーンでしゃべってます。「ウイスキーとか好きなの?」「いやー、まあまあ……好きです」みたいな会話をこれくらいのトーンで。

左から鈴鹿央士、田中哲司。

左から鈴鹿央士、田中哲司。

──「ゆりあ先生の赤い糸」は幅広い年代の俳優が集まる現場だと思いますが、鈴鹿さんが学んだことはありますか。

鈴鹿 演技との向き合い方みたいなところでしょうか。いろいろありますが、あまり人に言いたくないなと思っています。この経験は誰でもできるようなことではないので、自分の中で大切にしまっておきたいです。

──田中さんは若手の皆さんに対する印象はいかがでしたか?

田中 僕は若手だからというくくりで考えないんです。僕は横になっている状態が多いのでセリフを聞くことのほうが多く、「こういうやり方があったのか、なるほど」なんて考えながら寝たきりになっています。でも、それを鈴鹿くんに直接言うことはあまりないですね(笑)。

鈴鹿 でも菅野さん、哲司さん、松岡(茉優)さんが、僕がすっごく悩んでいるときに「こうしたほうがいいかもね」と話しかけてくださって。いろんな意味を包んだ、優しいボールを投げてくださるんです。迷っているときにさまざまな言葉をいただきました。

──悩んだ部分もあったんですね。お二人が役作りで苦労したことや意識したところも知りたいです。

田中 僕の役に関しては、リアルを追求しすぎないさじ加減が大事だと思っています。視聴者の皆さんがいて、エンタテインメントなので。リアルを省きすぎると駄目だし、リアルすぎると生臭くなるし……。大切なシーンをこれから撮るのでどうしようかなと考えていて、すべてはそのあんばいですよね。寝たきりだったゴロさんが目を開けて人を見るシーンでは監督と話し合いました。どのへんまで目を動かします?って。

──目を開いたけど必ずしも意識が戻ったわけじゃない、というシーンですよね。

田中 そうです。なので、あまり“見ている”感じが出るのもおかしい。そのあたりが難しいですね。

鈴鹿 僕は最初役に入るときに、暗い暗い感じになってしまって。稟久がどういう思いをどんなふうに抱いているか。監督とも話しながら、あんばいを調整しながら演じていくのが難しかったです。脚本を読んでいても、つい稟久視点で見てしまいますが、作品全体として考えたときに僕が見落としてしまっている要素があるんですね。そういうところを監督が拾ってくれたり、こういうものもあるよと言ってくださってすり合わせをしています。「嫌い」という一言もどんなふうに嫌いなのか、なぜ嫌いなのか、いろんな種類がある。それぞれに感情を持っていくのに苦労しました。稟久のような役は出会ったことがなかったので、今までのやり方ではどうしても何か不足してしまう感じがありました。どう補い見せるのか、スタッフさんや先輩と話しながら徐々にできてきたと思います。

上から鈴鹿央士、田中哲司。

上から鈴鹿央士、田中哲司。

稟久の“よくないところ”が逆に好き(田中)

──「ゆりあ先生の赤い糸」には人間味のあふれるキャラクターが多く登場します。お互いの役の魅力を教えてください。

鈴鹿 ゴロさんの優しさっていうのは……鈴鹿からしたらすごくいいことなんですけど、稟久からしたらあまりいいことではないですね。そうやって誰かに矢印が向いてしまいそうなゴロさんの優しさはいいものだと感じていない。スピンオフでも、ゴロさんが「やっぱり生姜焼きは奥さんが作るのが一番おいしいと思う」って言うシーンがあるんですよ。それも優しさなんでしょうが、稟久的には……。でも鈴鹿的には素敵だなと思います。

ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」より、箭内稟久(左)と伊沢吾良(右)。

ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」より、箭内稟久(左)と伊沢吾良(右)。

田中 僕は彼の“よくないところ”が逆に好きで。コミュニケーションが下手だし、クールで不器用なところが好きですね。その一方見た目は美しくて、根本がちゃんとしてるんですよね。彼なりに、お母さんの旅館を継ぐかどうかであがいている。そして彼は同性愛者で、深い悩みを抱えている部分もあるでしょう。

鈴鹿 そういった部分を受け止めて、認めてくれるところがゴロさんの大きさです。さっきの「優しさ」という言葉につながりますが、ゴロさんの豊かな人間性が素敵だなと。

田中 でも本編では今頃恨まれてるはずです……。

鈴鹿 そうですね(笑)。

田中 あいつのせいで、って皆さん思ってる。確かにそうなんですが、その印象をいかになくしていくかが僕の課題ですね。ゴロさんを徐々にいい人に近付けていきます(笑)。

スピンオフでは稟久とゴロさんのデートが見られますし、2人の空気感もよくわかります(鈴鹿)

──今までの撮影で印象に残ったシーンはありますか?

田中 稟久とゆりさんの乱闘シーンが5話にあるんですが、寝ながらその雰囲気を感じて恐怖でした(笑)。菅野さんのドスの効いた怒鳴りは必見です。肉をたたく音が聞こえるんですよ。鈴鹿くん大丈夫かなとドキドキしました。

鈴鹿 僕も同じシーンを挙げます(笑)。実際の現場は和気あいあいとしています。台本的にはいくらでも重たくできるんですが、皆さんが盛り上げてくださるので。

田中 笑い声が絶えない現場です。

鈴鹿 みんなでお芝居をしていて、たまにゴロさんのほうをパッと見るとこっちを見てますからね。あれ? ゴロさん起きたの?って(笑)。

田中 僕だけ寝てるのが寂しくて、ちょっと見たくなるんです(笑)。それと、徐々に気付いたみたいなんですが、鈴鹿くんはけっこうなセリフ量があるんですよ。

鈴鹿 前に話しましたね。

田中 僕は寝てるだけで申し訳ないから、セリフを半分くらい言ってあげなきゃ。助けてあげたいと(笑)。

鈴鹿 クールというか人にいつもイライラしてる役なので、あまりしゃべってないような感じもしていたんですが、台本を見返してみると意外としゃべってるんですよね。

田中 しかもだいたい誰かともめてるから早口。セリフのない僕が、セリフで大変な鈴鹿くんに無神経に話しかけるのは申し訳ないのでやめておこうと思ったり(笑)。

左から鈴鹿央士、田中哲司。

左から鈴鹿央士、田中哲司。

──でもスピンオフではたっぷり会話する稟久とゴロさんが見れますね!

鈴鹿 本編では多くは語られない、稟久とゴロさんのデートが見られますからね。2人の空気感もよくわかります。スピンオフと本編は乖離した物語ではないので、一緒に観ていただけたら本編の面白さがより増すと思います。

田中 スピンオフの続きとなるシーンが本編に入っているし、僕らと伴ちゃん夫婦がニアミスで同じレストランにいた場面を観れるってなんだか素敵じゃないですか。

鈴鹿 地続き感がしっかりありますよね。「ゆりあ先生の赤い糸」本編の好きなところでもあるんですが、「この世界にあるどこかの家は、本当にこういう形で生活しているかもしれない」と考えながら観れる。稟久と伴ちゃんたちのように、同じ地域に住んでいたらたまたま同じレストランにいたみたいなことってありますよね。そういうリアルな面白さがあるなと思います。

「ゆりあ先生の赤い糸」

「ゆりあ先生の赤い糸」

ドラマ「ゆりあ先生の赤い糸」

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スピンオフ「ゆりあ先生の赤い糸のはじまりのはじまり」

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プロフィール

鈴鹿央士(スズカオウジ)

2000年1月11日生まれ、岡山県出身。2018年のMEN'S NON-NO専属モデルオーディションでグランプリを受賞し、同誌専属モデルとして活動。映画「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞新人俳優賞など数多くの賞を獲得したほか、映画「バイオレンスアクション」「夏へのトンネル、さよならの出口」「ロストケア」、ドラマ「ドラゴン桜」「六本木クラス」「silent」「君に届け」「18/40~ふたりなら夢も恋も~」に出演した。奥平大兼とともにダブル主演を務める映画「PLAY! ~勝つとか負けるとかは、どーでもよくて~」は、2024年春に全国で公開される。

田中哲司(タナカテツシ)

1966年2月18日生まれ、三重県出身。近年の出演作には映画「余命10年」「シン・ウルトラマン」、ドラマ「緊急取調室」シリーズ、「真犯人フラグ」「新聞記者」「らんまん」、舞台「ケダモノ」「住所まちがい」「舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド」などがある。

TELASA(テラサ)

TELASAは、テレビ朝日の人気番組をはじめとした動画を配信するサービス。ドラマ、バラエティ、アニメ、特撮、スポーツ番組に加え、国内外の映画、ドキュメンタリーなど、新作やオリジナルを含む、豊富なラインナップを視聴できる。スマホやPCはもちろん、テレビの大画面でも視聴可能。月額料金は税込618円~。なお初回登録時、30日間無料でおためし視聴できるキャンペーンをナタリー限定で現在実施中だ。

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