TELASA配信記念「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」松本まりか×内田英治|16年ぶりの邂逅、憑依型女優が“吹きさらしのボロ雑巾”になるまで

松本まりかが連続ドラマ単独初主演を務めた「WOWOWオリジナルドラマ 向こうの果て」の放送が5月14日にWOWOWでスタート。WOWOWオンデマンドでも配信され、各話の放送終了後にはTELASAでも配信される。本作は劇団ゴツプロ!による同名舞台を原案にした舞台、ドラマ、小説の連動プロジェクト。ドラマの監督を務めたのは「ミッドナイトスワン」で日本アカデミー賞の最優秀作品賞に輝いた内田英治だ。昭和を舞台に幼なじみを殺害した1人の女の数奇な人生と、彼女に関わる6人の男たちの姿を全8話にわたって描く。

近年“憑依型女優”として話題を呼び、数々の映画・ドラマで活躍している松本。内田との出会いは2004年の映画「ガチャポン」までさかのぼる。2人の初対談で捉えどころのない主人公・池松律子の魅力と役作りを掘り下げてもらった。松本が「吹きさらしのボロ雑巾だった」と語るほどの現場とは。

取材・文 / 奥富敏晴 撮影 / 間庭裕基

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Prologue

昭和60年、東京。
マンションの一室で放火殺人が発生する。
逮捕された池松律子と、死亡した小説家の君塚公平は幼なじみだった。

律子は事件を担当する検事・津田口の取り調べを、どこか浮遊しているような態度でするりとかわしていく。津田口は事件の真相を追って、これまでに律子と関わってきた人物たちと接触し始める。
次第に明らかになってくる律子の数奇な人生と、彼女を取り巻く男たちの姿。しかし、彼らが口々に証言する律子の印象は、すべてがバラバラであった。

2人の過去に一体何があったのか。
すべての真相が明らかになるとき、閉ざされていた因縁が解き放たれる。

松本まりか×内田英治

成長過程がほぼ一緒(内田)

──2004年の「ガチャポン」が内田監督の長編デビュー作で、松本さんも映画初出演の作品だったとか。

内田英治 「ガチャポン」で初めてご一緒して、その後、実は僕がテレビドラマを初めてやるタイミングでもお仕事していて。

左から松本まりか、内田英治。

松本まりか あ、「劇団演技者。」。あのときがドラマ初めてだったんですね。

内田 そして今回、松本さんが連続ドラマ初主演。3回、偶然ですけどね。

松本 へー。私も「劇団演技者。」が初めてヒロインを演じたドラマでした。3回も初めてが重なってるんですね。

内田 成長過程がほぼ一緒(笑)。

松本 ずいぶん長いこと時間が掛かりました(笑)。

内田 そうだね(笑)。

──「ガチャポン」から17年、「『劇団演技者。』ロンリー・マイルーム」から16年経ってますが、その間、お互いの活躍はどのようにご覧になってたんでしょうか。

内田 彼女は芝居というものにこだわってたし、僕は映画にこだわってきて。そこはあまり変わらないかな。

松本 「ガチャポン」の頃は、まだ私も10代でした。最初はドラマでデビューして、でもデビューをピークにだんだん仕事がなくなってきて。そこから劇団☆新感線の舞台「Cat in the Red Boots」(2006年)に出たんです。生田斗真くんと一緒に。

内田 あ、それ観に行ったよ。

松本 あの「長靴をはいた猫」の話。そのあと大きい舞台への出演が続いたんですが、これは私が呼べているお客さんじゃないという意識があって。もっと自分に力を付けなきゃと思ってイギリスに留学したんです。

──2010年から半年ほど留学されてますね。

松本まりか

松本 帰ってきてから小劇場に出始めました。そんなとき監督がメキメキとアングラ映画界?で活躍され始めていて。

内田 インディーズ映画でいいんじゃない(笑)。

松本 すみません(笑)。あの「ガチャポン」の内田監督がインディーズ映画界にざわめきを起こしてるな……というのは気にしていました。その頃は小劇場の舞台に出ていたので、映画は遠い世界だけど、やっぱり憧れはあって。それが7、8年前ですかね。

内田 2年に1回くらいは会ってたよね。

松本 そうですね。ちょこちょこと、お互いに舞台や映画を観に行って交流はありました。だけど、なかなかお仕事でご一緒できることはなくて。今回「向こうの果て」でようやく巡って来たんです。

内田 役者さんとは、縁を重要視するようにしていて。

松本 へー!

内田 仕事ってやりたいときにできるわけじゃない。どんなに相性がよくても縁がないなと思うときもある。舞台をドラマ化する、そこで松本まりかさんの名前が出てくる。だから今回はすごく縁を感じました。縁を感じるときは何かいいことが起こるときなんです。