1人だったらここまで生きてこられてない(高岸)
──高岸さんは「やればできる!」という言葉で多くの人を元気付けていて、7月にはプロ野球チーム・栃木ゴールデンブレーブスに入団するなど、やればできることを体現されています。映画では健が「きっと大丈夫」という「やればできる!」に似たセリフを言いますが、そのポジティブさに共感したりしましたか?
高岸 共感というよりは勉強になるなって感じでした。相手に思いやりを持つという姿勢は、僕にはまだまだ足らない部分なので。健やタングのように、愛情や優しさを表現できるようにならないといけないと感じました。
──「きっと大丈夫」と周りに言っていた健は、あることをきっかけに挫折してしまいます。高岸さんはメディアを通して見ているとすごくポジティブに感じますが、健のように挫折したり落ち込んだりすることはありますか?
高岸 いっぱいありますよ。そもそも僕はポジティブではないですから。1人だったらここまで生きてこられてないと思います。常に誰かに支えていただいたり、背中を押していただいた人生ですね。
──前田さんから見ても高岸さんはポジティブではない?
前田 人間いろんな側面があって、誰もが健のように挫折することはあると思うんです。トラウマとまではいかなくても、向き合いたくないものとか、ふたをしておきたいものがある。高岸は大学時代にけがをして、一度はプロ野球選手になる夢をあきらめています。悩んだ時間も多かったと思いますし、その瞬間を切り取ったらネガティブと捉えることができますが、芸人という形で新たな一歩を踏み出した。それは健と重なる部分だと思いますし、先に進めない状態から抜け出したという意味ではポジティブだと思います。
──健はタングに支えられて新たな一歩を踏み出すことになりますが、前田さんは高岸さんに支えられていると思うことはありますか?
前田 僕のことを信頼してくれているというのがあって。自分1人だったら別にいいやと思ってしまうことがあるかもしれませんが、信頼してくれている高岸がいる限りは、そうは思えない。目を背けずにがんばってみようと感じることがあります。健も、タングや奥さんがいなかったら行動を起こさずにずっと家でゲームをしていたかもしれない。高岸じゃなかったらここまで仕事をがんばれていないと思います。
──高岸さんが前田さんに声をかけてティモンディを結成したことからも、絶大な信頼がうかがえます。
高岸 僕のことを思っていろいろなことをやってくれているのが伝わるんですよね。
前田 大学は別だったんですが、高岸が取っている授業の勉強を教えたりしてました。僕はその授業を受けていないんですが、ここきっとテストに出るよとか、こうやってレポート書いたらいいんじゃない?みたいな(笑)。
──それこそ損得勘定ではないですね。
高岸 逆の立場だったら、僕はそこまでできる自信がないです。だからこそ信頼しきって、前田が考えてくれたことを一生懸命やるだけだなと。それが僕が返せることだと思うので。
「ショーシャンクの空に」を高岸で観てみたい(前田)
──「TANG タング」にはお笑いコンビであるかまいたちさんが出演されています。
前田 めちゃめちゃハマり役でしたね! しっかり演技されているんですが、らしさも残っていて。
──お二人は今後そろって映画に出てみたい気持ちはありますか?
前田 僕はもちろん出たいですけど、隣が大河俳優ですからね(※編集部注:高岸は「鎌倉殿の13人」に出演)。
高岸 積み重ねてきたものがあったわけではないんですけどね(笑)。
前田 急に大河俳優になった(笑)。
高岸 たまたま出られただけで。だからと言って僕の何かが変わったわけではないし、高岸は高岸なので。前田が出たいと思う作品とか、楽しそうなものはやってみたいですね。
前田 「ショーシャンクの空に」で脱獄したアンディが雨に打たれるシーンがあるじゃないですか。あれを高岸で観てみたい。アメリカの囚人みたいにオレンジ色の服を着てますし、服役中のお昼休みは野球ボールを壁に当てて。
──雨のシーン、確かにすごく画になりそうです!
前田 ははははは(笑)。
高岸 そう言っていただけるものはやっていきます!
存在に感謝(高岸)
──最後に「TANG タング」でもっとも感動した部分を教えていただけますか?
高岸 健がタングの前で泣くシーンですね。健は最初タングを捨てようとしていましたが、プロセスを経て友情が芽生え、自分でも不思議なくらいに涙を流す。そういう感情を表現した二宮さんの演技がさすがだと思いました。
前田 僕も一番は二宮さんの演技ですかね。終盤、健が奥さんと話すシーンの演技がよすぎる……! あとはやっぱり健とタングがお互いに影響を与え合って成長していることに気付いた瞬間です。
──健とタングの友情を踏まえながら、普段は言語化しないであろうお二人の関係性を聞くことができて楽しかったです。ちょっと無茶ぶりなんですが、相方に感謝の言葉を贈るとしたら?
前田 信頼してくれてありがとうってことですかね。その分がんばりますので、引き続き信頼してください。
高岸 僕は生まれてくれてありがとうですね。前田の存在がなかったら今はないですから。
前田 (笑)。それはもうコーヒーどころじゃないんじゃない?
高岸 存在に感謝ですよ!
プロフィール
ティモンディ
高岸宏行(タカギシヒロユキ)
1992年10月8日生まれ、愛媛県出身。
前田裕太(マエダユウタ)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。
済美高校野球部に所属し、甲子園を目指した2人が2015年にコンビ結成。高岸のポジティブなキャラクターや野球技術などが「アメトーーク!」「炎の体育会TV」「アイ・アム・冒険少年」といったバラエティ番組で話題に。前田の身体能力も引けを取らず、YouTubeの「ティモンディチャンネル」では高岸とともにその力を存分に発揮している。高岸は2022年7月、プロ野球チーム・栃木ゴールデンブレーブスに入団した。
ティモンディ|GRAPE COMPANY- 株式会社グレープカンパニー
高岸宏行 ティモンディ (@Timon_Chan_) | Twitter
ティモンディ 前田裕太 (@TimonD_Maeda) | Twitter