大根仁の監督最新作「SUNNY 強い気持ち・強い愛」が8月31日に封切られる。本作は、平凡な専業主婦・奈美が、偶然再会した余命わずかな親友の願いを叶えるため、高校時代の仲良しグループ“サニー”のメンバーを再集結させようと奮闘する物語。大人になった奈美を篠原涼子、女子高生時代の奈美を広瀬すずが演じた。
映画ナタリーでは大根のほか、1990年代パートでサニーのメンバーに扮した広瀬、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生による座談会を実施。コギャルブーム全盛期を知らない彼女たちは、大根の熱血指導のもと、どのように当時の色に染まっていったのか? 撮影裏話を聞いた。最後のページには、コギャルのマストアイテム・写ルンですで撮影したサニーのメンバー撮り下ろしカットを掲載!
取材・文 / 金須晶子 撮影 / 佐藤友昭
コギャルブームは知らなかったです(山本)
──大根監督の作品と言えば、細部までこだわった美術が見どころの1つです。今回は1990年代に流行した音楽やファッションが作品を彩っていました。サニーの女子高生時代を演じた皆さんは、そもそも当時コギャルブームが起こっていたことをご存知でしたか?
山本舞香 知らなかったです。
田辺桃子 私も。初めはどうしていいか全然わからなかったです。
──リアリティのあるコギャルになりきるため、クランクイン前にコギャル講座が行われたそうですね。いったいどんなことをしたのでしょう?
大根仁 まずはみんなを集めて、なぜ女子高生ブームが起きたのか? 同時に世の中では何が起きていたのか?というようなことを、1980年代後半ぐらいから年表にして、社会科の先生みたいに黒板に書いたり。まあ、みんなポカーンですよ。大してリアクションもなく。
広瀬すず すみませんでした(笑)。
大根 いやいや。作中では時代設定を明確にしてなくて、だいたい1995年から1997年あたり、1990年代中盤をイメージしてるんです。でも彼女たちはその頃に生まれた、もしくは生まれてもいなかったので、わからなくて当たり前だろうなと。
池田エライザ でも大根さんの講義でいろいろ教えてもらったので、演じながら腑に落ちる部分はたくさんありました。当時の映像も見せてもらいましたよ。どこかの女子高で撮影したコギャルたちのリアルな姿を。
──それは貴重な資料ですね。
大根 eggの創刊にも立ち会った編集者の米原康正さんが貸してくれた秘蔵のビデオです。あとは当時コギャルだった方たちが、今は上品なアラフォー世代になっているんですけど、“コギャル監修”として女子高生役の子たちにいろいろレクチャーしてもらいました。今でもたまに会う仲らしくて、本当にサニーみたいな人たちだった。
──その方たちは主にどんな指導を?
大根 当時のコギャルのテンションとか内面的な部分のほかに、ルーズソックスを伸ばす位置とスカート丈のバランスとか、見た目の部分もです。
眉毛がどんどん細くなる気持ちがわかった(田辺)
──見た目と言えば、眉毛のコギャル再現度もすごかったです。
富田望生 最初は恥ずかしかったんですけど、気付けば眉なしのすっぴんで電車に乗ったりもして。あの時代、一瞬一瞬を楽しんで生きていたコギャルの方々のパワーに影響されたのかもしれません。今だったら恥ずかしくて歩けない(笑)。
野田美桜 劇中での眉毛は、さすがに自分でもすごいなって思います。
池田 ちゃんと眉毛生えてきてよかったね!
田辺 ギャル監修の方々からお墨付きをいただけたんです。それが自信になって役に入り込めたのかも。あと眉毛をどんどん細くしちゃう気持ちがよくわかった! 毎日鏡で見てるうちに、自分ではそこまで細いって思わなくなってきて。メイクさんに「まだ太くないですか?」って。
山本 まひしちゃってる(笑)。
田辺 当時コギャルブームだった世代の方々には「こんな子いたいた!」って懐かしんだり、「自分も細くしてたな」って共感してもらえたらうれしいです。
高校演劇部の鬼顧問の気持ちだった(大根)
──少し話が戻りますが、映像でコギャルの生態を目の当たりにしたとき、どのように感じましたか?
山本 すごくうるさい人たちだなと思いました(笑)。逆に今の女子高生はおとなしすぎるのかも。
野田 言葉遣いやしゃべり方も外国語みたいで難しかったよね。それでいて、監督からは「間をなくせ」っていつも言われていたし。アドリブやリアクションを入れたくても、なかなか言葉が出てこなくて悩んだり。
大根 俺は高校演劇部の鬼顧問の気持ちで演出してたよ。何度も何度も「はい違う、もう1回!」って。何が正解か俺もわからなかったから、繰り返しやっていく中でサニーのグルーヴが出てくるのを待ってたの。台本通りきちんとセリフをしゃべっても面白くないから、前の人が言い終わるのを待たずに被せていこう!って。
野田 それが本当に難しくて。でもこのメンバーで朝から晩まで毎日しゃべっていたから、サニー独特の空気感が生まれたよね。カメラが回ってないときもみんなずーっとしゃべってたもん。
富田 私、撮影が終わって家に帰ったら、親に「なんでそんなしゃべるようになったの? 何があったの?」って真面目な顔で聞かれたことがある。自分では気にしてなかったけど、役のノリを家まで持ち帰ってたみたい(笑)。
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前半はずっとあごがしゃくれてます(広瀬)
- 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」
- 2018年8月31日(金)全国公開
- ストーリー
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日本がコギャルブームに沸いた1990年代、青春期を過ごした仲良しグループ“サニー”の6人は、それから20年の時を経てそれぞれ事情を抱えながら生きていた。専業主婦の奈美は、ある日かつての親友・芹香と再会する。しかし芹香は末期ガンに冒されていて、壮絶な闘病生活を送っていた。「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」。そんな彼女の願いを叶えるため、奈美は仲間探しに動き出す。
- スタッフ
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監督・脚本:大根仁
音楽:小室哲哉
- キャスト
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奈美:篠原涼子 / 広瀬すず
芹香:板谷由夏 / 山本舞香
裕子:小池栄子 / 野田美桜
心:ともさかりえ / 田辺桃子
梅:渡辺直美 / 富田望生
奈々:池田エライザ
藤井渉:三浦春馬
中川:リリー・フランキー
- 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」公式サイト
- 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」 (@sunny_movie0831) | Twitter
- 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」公式アカウント (@sunny_movie0831) | Instagram
- 「SUNNY 強い気持ち・強い愛」作品情報
©2018「SUNNY」製作委員会
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- 広瀬すず(ヒロセスズ)
- 1998年6月19日生まれ、静岡県出身。2012年にSeventeen専属モデルとして芸能界デビュー。主な出演作に「海街diary」「怒り」「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」「ラプラスの魔女」や「ちはやふる」シリーズなどがある。是枝裕和監督作「三度目の殺人」で第41回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝いた。2019年には岩井俊二の最新作「Last Letter」に出演。
- 池田エライザ(イケダエライザ)
- 1996年4月16日生まれ、福岡県出身。2009年にニコラモデル・オーディションでグランプリを受賞し芸能界デビュー。2011年公開作「高校デビュー」で映画初出演を飾り、その後「トリガール!」「一礼して、キス」「となりの怪物くん」などに出演した。主演作「ルームロンダリング」はドラマ化が決まっているほか、「億男」が10月19日より公開となる。
- 山本舞香(ヤマモトマイカ)
- 1997年10月13日生まれ、鳥取県出身。「鳥取美少女図鑑」に掲載された写真でスカウトを受け、2011年「三井のリハウス」14代目リハウスガールとしてデビューした。過去の出演作に映画「暗殺教室」「桜ノ雨」「ひるなかの流星」「恋は雨上がりのように」や、ドラマと舞台が展開された「漫画みたいにいかない。」など。現在、TBS金曜ドラマ「チア☆ダン」に出演中。TBS系「王様のブランチ」にもレギュラー出演している。
- 野田美桜(ノダミオ)
- 1997年4月2日生まれ、福岡県出身。2012年よりNHK Eテレ「Rの法則」にレギュラー出演していた。過去の出演作に「暗黒女子」「斉木楠雄のΨ難」「いぬやしき」など。9月14日に「3D彼女 リアルガール」が封切られる。
- 田辺桃子(タナベモモコ)
- 1999年8月21日生まれ、神奈川県出身。2013年にSeventeen専属モデルとして活動を始め、これまで「東京ガールズコレクション」「GirlsAward」といった多くのイベントに参加。女優としても活躍し、近年の出演作に「こどもつかい」「恋と嘘」などがある。
- 富田望生(トミタミウ)
- 2000年2月25日生まれ、福島県出身。2015年公開作「ソロモンの偽証」でオーディションを勝ち抜き、映画初出演を果たす。主な出演作に「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」「あさひなぐ」など。Netfilixオリジナルドラマ「宇宙を駆けるよだか」が配信中。
- 大根仁(オオネヒトシ)
- 1968年12月28日生まれ、東京都出身。2011年に映画監督デビュー作「モテキ」で第39回日本アカデミー賞話題賞作品部門を受賞。その後、監督・脚本を担当した「バクマン。」「SCOOP!」「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」、脚本を手がけた劇場アニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が公開された。2019年放送のNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」に演出として参加する。