スマホを落としたことをきっかけに連続殺人鬼の狂気にさらされるヒロインたちを描いたSNSミステリー映画「スマホを落としただけなのに」シリーズ。その第3弾にして最終章となる「スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム」が、11月1日に全国で公開される。
小説家・志駕晃の「スマホを落としただけなのに 戦慄するメガロポリス」を原作に、かつて禁断のタッグを組んだ連続殺人鬼・浦野善治と刑事・加賀谷学の国境を越えた戦いが繰り広げられる。映画ナタリーでは浦野役の成田凌、日韓首脳会談でのサイバーテロを企てるキム・ガンフン役の大谷亮平、加賀谷が信頼を寄せる刑事・兵頭彰役の井浦新のインタビューをお届け。登場人物の複雑な関係性が一目でわかる相関図も用意した。
文 / 熊谷真由子(インタビュー)、小宮駿貴(相関図)撮影 / 清水純一
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映画「スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム」予告編公開中
「スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム」相関図
1作目と2作目で描かれなかった“空白”を埋めていく感じ(成田)
──成田さん演じる浦野はシリーズ3作を通して、大谷さん演じるキム・ガンフンは今回が初めて、井浦さん演じる公安の刑事・兵頭は2作目に引き続きの登場です。それぞれが演じるキャラクターについて教えてください。
成田凌 浦野は1作目では後半の数十分しか出ていないし、2作目では何を考えているのか、本当のところはほぼしゃべらないので、今回の3作目で初めて彼の人間性が出てきて、寝るとか歩くとか食べるとか、そういう日常も見ることができます。1作目と2作目で描かれなかった“空白”を埋めていく感じだったのかもしれないと思いながら3作目を演じていました。
──1作目の浦野から比べると3作目はかっこよさすら感じました。
成田 ははは(笑)。まあ、悪いやつということには変わりないですけどね。
大谷亮平 僕は皆さんと違って最終章だけの出演なので、とにかくヒールに徹していました。浦野はかなりヤバいやつのはずだけど、ガンフンが悪に徹するからこそ正義に見えてくるんですよね。ラブストーリーっぽい要素もあって浦野中心で回っているストーリーなので、浦野が正義に見えてくるほどいいなと考えていました。
井浦新 僕が兵頭を演じるうえで大切にしていたことは、加賀谷(千葉雄大)のお父さんのもとでキャリアを積んできたということ。顔のやけどの跡も加賀谷のお父さんとの任務での出来事であったとか、そういう背景を念頭に置きながら兵頭を作っていきました。今作では彼が秘めていた思いを明かすシーンがありますが、兵頭が変わったとかはなく、ずっとそういう人だったんじゃないかと思います。考え方や人間性は尊敬している加賀谷のお父さんの影響が強く、だからこそ加賀谷に対しても寄り添っていて。真面目でまっすぐな人だからこそ、自分の正義を貫くのだろうと捉えていました。
──大谷さんと井浦さんは共演シーンがないですし、先ほどは「初めまして」と挨拶されていましたね。成田さんと井浦さん、成田さんと大谷さんはそれぞれ共演されたことがありますが、今回の共演はいかがでしたか?
成田 今回、韓国の方との共演や韓国語でのお芝居があったので、韓国で仕事をされていた経験がある大谷さんがいてくださると、やっぱり安心感がありました。
井浦 佐野史郎さんもかなり韓国語を話されていたので、現場がどうだったのか気になっていました。韓国語、大変そうでしたよね。
成田 そうなんですよ。韓国語だとどこで相手のセリフが終わりなのかがよくわからないので、もう言い終わったかな?と察して、自分のセリフを話し出すという感じでした(笑)。
成田くんの声の質が韓国語の発音に合ってる(大谷)
──成田さんは韓国語でのセリフがかなりありましたよね。
成田 それこそ大谷さんに「これで大丈夫ですか?」「伝わりますか?」とずっと確認しながらやっていました。
大谷 そうでしたっけ?(笑) 韓国人と日本人はちょっと声の質が違うんですけど、成田くんの声の質が韓国語の発音に合ってるんですよ。
井浦 具体的にはどう違うんですか?
大谷 韓国の人は声帯が太いので、低くて響く声でないと韓国語のパッチム(※編集部注:子音と母音を組み合わせたハングル文字にさらに付いている子音のこと)が伝わらないんです。僕はハスキーなので、僕が言ったらたぶん伝わらないけど、成田くんが言ったら伝わるんだろうなと思いながら聞いていました。
井浦 へえ、面白いですね。
大谷 成田くんとは僕が韓国から日本に帰ってきたその年にご一緒したんですよ(2016年放送のTBS系ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」)。僕がまだ日本の芸能界がよくわかっていなくて新鮮なときだったのもあって、印象的なスタートを切った作品でした。だから成田くんには勝手にあのときご一緒したメンバーだっていう気持ちがあって。あの作品では共演シーンはなかったんですけど、当時からすごく芸達者な方だなという印象がありました。
成田 変な汗かいてきました(笑)。
凌が座長を務める現場に飛び込んで、とことん付き合いたい(井浦)
──成田さんと井浦さんは「ニワトリ★スター」などで共演経験がありますね。
井浦 そうなんですが、今回、ラストシーンでしか顔を合わせていないんです。浦野を追うシーンも延々とすれ違っていくから、会話もできない(笑)。
成田 確かに(笑)。でも僕は今回、座長ではない新さんを見るのが初めてだったから、現場での居方をずっと眺めていました。
井浦 自分も同じです。凌が座長を務める現場に飛び込んで、とことん付き合いたいっていう気持ちで現場にいたので。
──大谷さんから見た座長の成田さんはいかがでしたか?
成田 そんな、“座長です!”みたいな感じではいなかったと思いますけど(笑)。
井浦 浦野のキャラクターで現場を引っ張っていくアツい座長だったら、ちょっとバグりそうだよね(笑)。
成田 そうですね(笑)。とにかくクォン・ウンビさんがとても明るくいてくださったおかげで、救われていました。ウンビさんが現場にいるとみんな和んでたから。
大谷 でも成田くん、めっちゃうまい団子を差し入れしてくれました(笑)。
井浦 あ、それは座長だ(笑)。
成田 よく覚えていますね。そう、好きな団子屋さんがあって。
井浦 ちなみに、僕は数少ない共演シーンでしたが、凌からの差し入れはありませんでした。
成田・大谷 あはははは(笑)。
太陽みたいな存在でこっちが助けられていました(成田)
──クォン・ウンビさんはクールビューティーなヒロイン像が素敵でした。
成田 ウンビさんはとにかく性格がいいんだろうなと思いました。異国の地で母国語ではない日本語で映画を撮る。しかも演技をするのが初めてだったみたいで、本当に一生懸命で。緊張していて大変だったと思うけど、現場では太陽みたいな存在でこっちが助けられていました。
大谷 初めての演技で初めての映画で、日本語のセリフで相当大変だったと思います。「不安です」とはおっしゃっていたけど、そんなふうには見えないくらいとても堂々としていましたよね。
井浦 僕は一緒のシーンはなかったですが、やっぱり人前に立つことには慣れていらっしゃるのかもしれないですね。