映画ナタリー Power Push - 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」
「スター・ウォーズ」の世界へようこそ!J.J.エイブラムスが“ルークを知らない世代”に贈る新たな冒険
「ルークって誰なの?」という言葉に僕はドキドキした
──「スター・ウォーズ」の大ファンと聞いています。その出会いを教えてください。
11歳のときだった。オタク系の映画雑誌に「スター・ウォーズ」が載っていて、それからとても気になっていた。そのあとエピソード4を観て、幻覚を起こすくらい衝撃を受けちゃったんだ。ロマンと楽観主義、笑いと葛藤、そしてハートがあり、さらに観たこともない視覚効果があった。娯楽性にあふれているのにストーリーは深いんだから、本当にすごいよ。僕はそのときこう思ったんだ。「映画にはあらゆる力があるんだ」ってね。
──それだけ自分を夢中にさせた映画のメガホンを取るのは、どんな気持ちなのでしょう。
その話をキャスリーン(・ケネディ。本作のプロデューサー)から最初にもらったときは即断ったよ。シリーズを再開させるという発想自体、恐ろしいと感じたくらいだった。でも、キャスリーンは僕の自宅にやって来て、「SW」の可能性について語り始めた。そして、こう言ったんだ。「ルークって誰なの? みんな知っているの?」。この言葉に僕はドキドキした。本当にそうだ。今の若い人たちはルークがどんな人物なのか知っているんだろうか? 名前は聞いたことがあっても、いいヤツなのか、悪いヤツなのか、それも知らないんじゃないか。だったらもう一度、ルークのことをみんなに教える必要がある。そして、今彼がいる“遥か彼方の銀河系”で何が起きているのか、それを描かなきゃいけない。僕の頭はフル回転し始めて、気が付いたら階下にいる妻の前で「どうしよう。僕は『SW』を作りたくなってしまった!」って叫んでいたんだ。
ハリソン・フォードと話すときも、ファン心を封印した
──メガホンを取っていかがでした? あなたの「SW」への熱い愛は、どういう側面で役立ちましたか?
いや、その愛情が問題だったんだ。僕は本当に、とんでもなく「SW」が大好きだ。でも、そういう愛は自分を盲目にしてしまう。愛がどんどん膨らんで、自分の好きなものだけ詰め込んだ、ファンにしかわからないような映画を作る恐れがある。例えば、11歳の頃からずーっと憧れていたハン・ソロ役のハリソン・フォードと初めて話すとき、僕がファン心丸出しだったらどうなると思う? 仕事どころじゃなくなるだろう。つまり、僕は「SW」への愛を封印したんだ。みんなが理解し、共感し、感動できる「SW」を作るためにね。それにしても面白いと思ったよ。「スター・トレック」を作っているときは、「ここに『SW』のあのシーンっぽい要素を入れよう」って、ファン心丸出しにして監督していたのにさ(笑)。
ジャワズのサンドクローラーの轍にリアリティを感じた
──とはいえ、今回、ミニチュアやフルスケールのモデルを作ったところには、あなたのファン心がよく出ていると思いました。そのこだわりについて教えてください。
それは、言うまでもなく最初の「SW」がモデルを使って撮影していたからだよ。実際にそこに存在し、触れることができる宇宙船やドロイド、エイリアンたちは、僕に感動を与えてくれたんだ。例えば、エピソード4のジャワズのサンドクローラーだ。ルークが彼らからR2-D2とC-3POを買い取るシーンでは、その2体のドロイドのそばにサンドクローラーの轍が残っているんだ。そのリアリティに僕は感動してしまう。もしデジタルだけだったら、そういう感動はなかったと思うし、そもそも僕はデジタルだけに頼るような映画は好きじゃないからね。
──新作に登場するBB-8もリモコンで動くんですよね。
そう。ほぼ100%、フルスケールモデルのドロイドだよ。そうなると、役者たちもちゃんとしたキャラクターとして接するようになる。BB-8はすっかり1人の共演者とみなされていたんだ。それが役者たちの演技にどういう影響を与えるか、言うまでもないだろ?
観客はレイの目を通して、銀河宇宙を知り、ハン・ソロを知る
──そのBB-8と仲良くなるレイが本作の主人公です。女性をメインキャラクターにした理由を教えてください。
これまで男性を主人公にした映画はたくさんあった。「SW」シリーズにもタフな男性はたくさん登場して大活躍している。そう、だから今度は女性なんだ。この映画の“ハート”となるのは、自分にどんな力があるのか、何ができるのか、何も知らない若い女性だよ。映画では、彼女が自分の力に気付き、自分自身を信じるようになるまでを描いている。そして観客は彼女の目を通して、舞台となっている銀河宇宙を知り、伝説の男ハン・ソロを知るんだ。そのレイをデイジー(・リドリー)は見事に演じてくれた。
──ということは、過去の6作をちゃんと観ていない初心者でもOKなんですね?
そうだよ。まったく問題ない。彼女が伝説に出会い驚くように、観客も伝説に出会い、同じように驚くんだ。ある意味、誰よりもピュアな気持ちでこの映画と接することができて、すごく楽しめると思うよ。
- 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」2015年12月18日18時30分 全国一斉公開
物語の舞台は「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」から30年後、スノーク率いる“ファースト・オーダー”が台頭する時代。砂漠の惑星で孤独に暮らしていたレイは、ある出会いから壮大な冒険に身を投じることに。ダース・ベイダーを受け継ぐ存在のカイロ・レンや女戦士キャプテン・ファズマら新キャラクターに加えて、ルーク、レイア、ハン・ソロらシリーズおなじみのキャラクターたちも顔をそろえる。
スタッフ
監督:J.J.エイブラムス
脚本:ローレンス・カスダン & J.J.エイブラムス AND マイケル・アーント
製作:キャスリーン・ケネディ, p.g.a.
J.J.エイブラムス, p.g.a.
ブライアン・バーク, p.g.a.
音楽:ジョン・ウィリアムズ
キャスト
ハン・ソロ:ハリソン・フォード
レイア・オーガナ:キャリー・フィッシャー
カイロ・レン:アダム・ドライバー
レイ:デイジー・リドリー
フィン:ジョン・ボイエガ
ポー・ダメロン:オスカー・アイザック
マズ・カナタ:ルピタ・ニョンゴ
スノーク:アンディ・サーキス
ハックス将軍:ドーナル・グリーソン
キャプテン・ファズマ:グウェンドリン・クリスティー
C-3PO:アンソニー・ダニエルズ
R2-D2:ケニー・ベイカー
チューバッカ:ピーター・メイヒュー
ルーク・スカイウォーカー:マーク・ハミル
- 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」公式サイト
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- スター・ウォーズ デジタル配信特集 | ディズニー
- 「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の作品情報
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
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エピソード1~3
アナキンがダークサイドに堕ちるまでを追う3部作
銀河共和国時代。ジェダイマスターのクワイ=ガン・ジンと弟子のオビ=ワン・ケノービは、政治の動乱に巻き込まれた惑星ナブーの女王パドメ・アミダラを救う。彼らは道中で出会った少年アナキンを、ジェダイとして育てることを決意。10年後、頼もしいジェダイへと成長したアナキンはパドメと恋に落ちる。多くの犠牲を払ったクローン大戦を経て、パドメはアナキンの子を腹に宿す。だが彼女を亡くすことを恐れたアナキンは、パルパティーン議長の策略でダークサイドへ堕ち、ダース・ベイダーとなってしまう。
「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」(1999年)
Star Wars: The Phantom Menace © & TM 2015 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」(2002年)
Star Wars: Attack of the Clones © & TM 2015 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」(2005年)
Star Wars: Revenge of the Sith © & TM 2015 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.エピソード4~6
ダース・ベイダーとルーク、父子の死闘を描く3部作
銀河帝国時代。砂漠の惑星で暮らしていたルークは、ドロイドのR2-D2やオビ=ワン・ケノービとの出会いをきっかけに冒険の旅へ出る。宇宙海賊ハン・ソロらの力を借りて反乱軍のリーダー・レイアを救出し、ともに帝国軍に立ち向かうことに。ルークはジェダイマスターであるヨーダのもとで修行を積み、帝国軍の総統ダース・ベイダーと一戦を交えるが、その後ベイダーが自身の父親であり、レイアと自分が双子の兄妹だと知る。父子が再び顔を合わせたとき、ルークは邪悪な皇帝に命を奪われそうになるが……。
「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」(1977年)
Star Wars: A New Hope © & TM 2015 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」(1980年)
Star Wars: The Empire Strikes Back © & TM 2015 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」(1983年)
Star Wars: Return of the Jedi © & TM 2015 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.J.J.エイブラムス
1966年6月27日、米・ニューヨーク生まれ。1990年に「ファイロファックス トラブル手帳で大逆転」で脚本家デビュー。1998年には「アルマゲドン」に共同脚本で参加し、ドラマ「フェリシティの青春」の製作総指揮を務めた。2004年にスタートしたテレビシリーズ「LOST」でヒットメーカーとして名を轟かせ、2006年「M:i:III」で映画監督デビューを果たす。その後「SUPER 8/スーパーエイト」「スター・トレック」「スター・トレック イントゥ・ダークネス」などを監督。「FRINGE/フリンジ」「パーソン・オブ・インタレスト」などのテレビシリーズも製作している。