歌が自分の生きる術
──今はダンスより歌がメインですが、アイナさんは「歌うこと」からどんな影響を受けていますか?
私はしゃべることがあまり得意じゃなくて、子供の頃はしゃべると面倒なことが起こると思っていました。言葉だとうまくコミュニケーションが取れないというか。でも、歌だと自分の気持ちを表現できる。口を動かすという意味ではしゃべるのと同じなのに、歌はなんでこんなに楽しいんだろうって気付いたのが高3のときでした。今では歌が自分の生きる術だと思っています。
──どうして歌だと素直に気持ちが表現できるのでしょうね。
しゃべっていると、相手の目線が気になったりするんです。相手の黒目の位置が自分の目と並行になってないとか、変なことばかり考えてしまう。歌だとそういうことは気にならないし、歌っていると「今、この人に自分の波動が伝わっている」「私の波動でこの人の鼓動が早まっている」といったふうに、話をしなくても感じる瞬間があります。それが自分にとってはかけがえのない瞬間なんですよね。
この映画は観る者に勇気と希望を与えてくれる
──ということは、歌で気持ちを伝えるミュージカルも好き?
大好きです! 小学生の頃は宝塚歌劇団に憧れていて、中1でミュージカルスクールに入ったんです。その頃は「アニー」に出たくて、学校の傘立ての上をステージにして「アニー」の歌を歌っていたりしていました。オーディションの書類も書いたんですけど、お父さんに「お前は顔で落とされるからやめとけ」って言われて落ち込んで(笑)。子供の頃の夢はミュージカル女優でした。
──では、今回夢が叶ったわけですね。
自分にとっては最高の出来事ですね。中学校の頃の自分に「歌が好きだったら顔は関係ない!」って言ってあげたいです。今もネットなどで誹謗中傷されることもありますが、「アイナちゃんの歌が好き」「BiSHの曲に励まされて学校に行けるようになった」といった言葉を掛けてもらうことのほうが多い。歌に容姿が関係ない、っていうのは「SING/シング:ネクストステージ」でも表現されていると思うんですよね。いろんな動物が出てくるじゃないですか?
──確かにそうですね。容姿も体型もさまざまだけど、それぞれにスポットライトが当たって、みんなで協力してステージを作り出していく。
「SING/シング」シリーズって希望を与えてくれますよね。登場人物それぞれが家庭の事情など、いろんなドラマを抱えていますが、それが闇になってない。大きな希望が輝いているから闇が消えてしまうんです。私がミュージカルに憧れていたのもそういうところからでした。中高生の頃、ダンスに熱中しすぎて周りの人の気持ちがわからなくて、学校でいじめられたりもしました。そういう暗い時期に、ミュージカルは夢を見させてくれた。ミュージカルは明るさの極みなんです。
──いろいろと大変な世の中だからこそ、「SING/シング:ネクストステージ」の明るさが一瞬でも闇を消してくれるかもしれませんね。
そうですね。観る者に勇気と希望を与えてくれるこの映画に出演できたのは最高の経験でした。あと、この映画は歌だけではなく、音にもすごくこだわっていると思います。ギター、ベース、ドラムなどの楽器たちも歌っている。だから劇場で大音量で観ていただいて、明るくて楽しい歌の世界を感じてほしいですね。
「SING/シング」シリーズの世界をもっと知ろう!
前作振り返り&新作のポイントも
前作「SING/シング」のあらすじ
舞台となるのは、人間の世界と似ており、動物だけが住んでいる世界。コアラのバスター・ムーンは、かつて栄えていたが、今やすっかり凋落してしまった劇場の支配人をやっている。もうあとがないバスターは、愛する劇場を復活させるため歌唱コンテストをプロデュースすることに。大勢の動物たちがオーディションに集まる中、候補に選ばれたのは、だましも歌もお手のものというネズミのマイク、内気なゾウのミーナ、25匹の子供たちを育てる母ブタのロジータ、ギャング組織から抜けたいと願うゴリラのジョニー、パンクロッカーでヤマアラシのアッシュ、ハイテンションなブタのグンターの6名。自分の運命を変えるチャンスが来たと信じてそれぞれ邁進する候補たち、そして劇場の未来を懸けたコンテストの行く末は……。
映画を彩る数々の極上ソング
観客の耳を楽しませるのは、ヒットソングやクラシカルな名曲の数々。劇中でキャラクターたちはケイティ・ペリー、レディー・ガガ、ジョン・レジェンド、サム・スミス、フランク・シナトラなどの楽曲を独自の解釈でカバーした。なお新作「SING/シング:ネクストステージ」では40曲以上が登場。U2の書き下ろしソング「Your Song Saved My Life」も楽しむことができる。
華やかなボイスキャストが集合!
「SING/シング」ではバスター役のマシュー・マコノヒーをはじめ、リース・ウィザースプーン、セス・マクファーレン、スカーレット・ヨハンソン、ジョン・C・ライリー、タロン・エジャトン、トリー・ケリーなど豪華キャストが集結。全編吹替版の制作を世界で唯一許された日本語吹替版には、内村光良、MISIA、長澤まさみ、大橋卓弥(スキマスイッチ)、斎藤司(トレンディエンジェル)、山寺宏一、坂本真綾、田中真弓、大地真央が参加した。「SING/シング:ネクストステージ」でも内村らが続投し、さらに新キャストとしてジェシー(SixTONES)、アイナ・ジ・エンド、akane、そして稲葉浩志が名を連ねている。
プロフィール
アイナ・ジ・エンド
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー。天性のハスキーボイスとエモーショナルなパフォーマンス、表現力が高く評価され、MONDO GROSSO、SUGIZO(LUNA SEA)、ジェニーハイほか、数々のアーティストとコラボや企業TVCMソングを担当するなど業界内のファンも多数獲得している。2021年2月3日に本人作詞作曲による全12曲を収録した初のソロアルバム「THE END」をリリース。ソロ活動を本格化させ、初ソロツアーは全公演のチケットが即日完売した。2021年9月から3カ月連続での作品リリースを発表し、11月24日にセカンドアルバム「THE ZOMBIE」をリリース。2022年3月17日には、大阪城ホールで単独公演「AiNA THE END “帰巣本能”」を開催する。
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