イルミネーション・エンターテインメントが手がけたミュージカルアニメ「SING/シング」の続編、「SING/シング:ネクストステージ」が3月18日より全国ロードショー。劇中では、コアラの劇場支配人バスター・ムーンが世界で誰も見たことがないようなスペクタクルなショーをやり遂げるため、仲間を率いて奮闘していくさまが描かれる。
このたび映画ナタリーでは、日本語吹替版に新キャストとして参加したBiSHのアイナ・ジ・エンドにインタビュー。オオカミのポーシャを演じたアイナは一度も出したことがない高音のキーに挑戦した歌入れや、自分の生きる術だという“歌うこと”への思いについて語ってくれたほか、本作出演で叶った“夢”を明かした。特集後半には前作「SING/シング」の振り返りコーナーも。
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取材・文 / 村尾泰郎(インタビュー)文 / 田尻和花(コラム)撮影 / 曽我美芽
ポーシャのわがままなところや、ちょっと強めの口調に引っ張られて
──今回アイナさんが演じたオオカミのポーシャは、どんな女の子だと思われました?
天真爛漫ですね。お父さんに甘えがちなところは、私と似ているかなと思いました。私はお母さんが厳しくて、特にダンスに関しては「学校は休んでもダンスのレッスンは休むな!」っていうくらいの人だったんです。でも、お父さんは開放的でなんでも受け止めてくれるので甘えやすかったです。
──厳しいお母さんと優しいお父さん、いいバランスだったんですね。初めて挑戦した声の演技はいかがでした?
難しかったです。ポーシャは(オリジナルキャストの)ホールジーさんに合わせて表情の動きが作られていたので、そのタイミングに合わせてセリフを入れて、決められた時間内にしゃべり切る、というのが最初は大変でした。
──そんな中で、ポーシャらしさを出すためにどんな工夫をしたんでしょうか。
私は普段は淡々としゃべりますが、友達やメンバーといるときはめちゃくちゃ明るいんです。0か100%か。その真ん中くらいのテンションでしゃべることがないんですが、ポーシャを演じるときは真ん中より少し上げめでしゃべりました。
──ポーシャの目盛りがあった?
そうです(笑)。ボリュームを調整するみたいにテンションを調整して。そういうことができたのはセリフのおかげですね。ポーシャのわがままなところや、ちょっと強めの口調に引っ張られて、あのテンションでしゃべることができたんだと思います。
一度も出したことがない高音のキーで歌いました
──歌のシーンはどうでしたか。
これ以上ないテイクが録れたと思います。「Could Have Been Me」という曲では、これまでで一度も出したことがない高音のキーで歌いました。歌入れは(日本語吹替版音楽プロデューサーの)蔦谷(好位置)さんのおかげでやり切れたと思います。まず、一度通して歌ってみたあと、蔦谷さんが「今度はポーシャの表情をよく見て歌ってみようか」って言ってくださって、次は表情から気持ちを想像しながら歌ってみる。そんなふうにテイクを重ねていきました。ポーシャを見ながら歌っていると、彼女の自信に満ちた表情に影響を受けて私も歌に自信が出てくる。だから歌い終わったあと、「これで大丈夫!」っていう気持ちになれたんです。
──ポーシャはわがままなところもあるけど、素直で優しい女の子でしたね。ポーシャのほかに気になるキャラクターはいますか?
ゴリラのジョニーかな。前作では、ジョニーがお父さんともめて葛藤を抱きながらステージに立つんですが、それがとてもリアルに感じて、こういうことってあるなと思いました。夢を追いながら歌い続けるジョニーがかっこよかったです。
──アイナさんもデビューするときに、ジョニーのような葛藤を抱えていたことがあったんですか?
ありましたね。私はアイドルになりたいと思ったことはなかったんです。でも、高校のとき、ダンスの相方に「アイナは歌のほうがいい」って言われて東京に出てきた。それは自分にとって挑戦だったんです。アイドルとしてデビューしてみると、アイドルもアーティストもステージで表現する、という点では同じだとわかった。デビューできてよかったと思っています。
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歌が自分の生きる術