「娼年」松坂桃李インタビュー|人の心を軽くする、繊細で優しい映画の誕生

「娼年」は優しい映画

──作品そのものやリョウへの理解を深めていくにあたって、何か参考にしたものはありますか。

松坂桃李

ほかの映画はあまり観ませんでしたが、体位の勉強はしました(笑)。AV監督の方が、僕と三浦さんに「こういう体位があります」と教えてくださったり。

──そんな機会があったんですか。そのときの学びは役立ちました?

役立ちました! 舞台のときは僕も三浦さんもゼロからのスタートだったこともあって、その学びによって、この感情のときはこういう体位のほうがいいかもという視点が生まれましたね。

──なるほど。「娼年」は観終わったあとに1人で考え込みたくなるし、誰かと話したくもなる作品だなと思いました。松坂さんにとってはどんな位置付けの作品でしょうか。

僕はすごく優しい映画だと感じましたね。人間は自分の柔らかい部分を守ろうとして武装することもありますが、そういうものを取り払っていくことで自分の視野がもっと広がるし、心のウェイトが軽くなることに気付かされた気がしました。人とは少し話しにくいところがある繊細なテーマを扱っていますが、爽快感もある。人の心のハードルを下げてくれる力を持った作品だなと思いました。

ワクワクする作品に挑戦し続けたい

──6月からは主演舞台「マクガワン・トリロジー」が上演されますね。NHK連続テレビ小説「わろてんか」にご出演されたりと、さまざまなジャンルに精力的に挑戦されている印象があります。俳優として走り続けるためのモチベーションを保つ秘訣は?

この仕事をずっと続けていたいという強い思いが自分のベースにあるので、そのためにもさまざまな作品に挑戦していこうと思っています。あとは、この仕事への関心を強めてくれる存在が周りにたくさんいて、その方たちから刺激や温かい言葉をいただいているのも大きいです。

松坂桃李

──松坂さんはここ1、2年だけでも作品ごとに新しい顔を見せていますが、今後挑戦してみたい役柄はありますか。

具体的なイメージではありませんが、“今まで演じたことがない役”。自分の新しい扉を見つけられそうで、ワクワクするような作品に挑戦し続けていきたいです。好奇心は常に持っていたいですね。

──ありがとうございます。最後に1つ質問です。「娼年」に続編があったとしたらまた出演したいですか?

ちょっと考えようかな(笑)。というのも、7、8年分の濡れ場はやったかと思うので。

「娼年」
2018年4月6日(金)全国公開
「娼年」
ストーリー

東京の名門大学に通う森中領は、日々の生活や女性との関係に退屈し、無気力な生活を送っている。ある日、バイト先のバーに会員制ボーイズクラブのオーナー、御堂静香が訪れたことから、領は娼夫の仕事をスタートさせることに。彼は娼夫として女性たちと対峙していく中で、1人ひとりの中に隠されている欲望や繊細な部分に触れ、やりがいを見つけていく。

スタッフ / キャスト

監督・脚本:三浦大輔

原作:石田衣良「娼年」(集英社文庫刊)

企画製作・配給:ファントム・フィルム

出演:松坂桃李、真飛聖、冨手麻妙、猪塚健太、桜井ユキ、小柳友、馬渕英里何、荻野友里、佐々木心音、大谷麻衣、西岡德馬、江波杏子ほか

※R18+指定作品

松坂桃李(マツザカトオリ)
1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年に特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。主な出演作に「日本のいちばん長い日」「キセキ ーあの日のソビトー」「ユリゴコロ」「彼女がその名を知らない鳥たち」「不能犯」などがある。5月12日には「孤狼の血」が公開。また、主演舞台「マクガワン・トリロジー」が6月から上演予定。