映画ナタリー Power Push - 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」
石原さとみインタビュー 役への不安、役への愛
愛を表すことに専念した
──石原さんは、劇場版のほかにdTVオリジナルドラマでもハンジを演じていますね。
そうなんです。ドラマのほうは今年の3月に、約1カ月かけて撮影したんですけど、劇場版の撮影も終わっていて役のイメージもしっかりと固まっていたので、好き放題というか(笑)、自由に演じられました。
──たしかに、のびのびと演じられている印象を受けました。3本あるドラマ版のうちの1つで主演を務めていらっしゃいますが、そこにプレッシャーはありませんでしたか?
映画の撮影時は、プレッシャーや不安、怖さなど後ろ向きな感情も抱えながら役を演じていたし、自分との闘いだったんです。だからそれを乗り越えた上で撮影に臨めたドラマ版では、役への不安がなかったし、誰よりもハンジのことが好きな自信があったので、その愛を表すことに専念しました。
1人ひとりの想像力がシーンを作る
──劇場版のときは、グリーンバックでの撮影が多かったかと思うんですが、苦労はありましたか?
そうですね……常に同じ背景なので、難しさを感じることも少なからずありました。でもクランクインが軍艦島(長崎県・端島)だったおかげでずいぶんと助けられましたね。
──助けられた?
軍艦島が「進撃の巨人」の世界そのものだったので、グリーンバックの中でも合成後の画面を想像しながら演じられました。スタジオ撮影のときは、島で撮影した写真やムービーを観返したりして、イメージをふくらませていました。
──たしかに軍艦島の荒廃した雰囲気は映画で描かれる世界観と重なり合いますね。アクションシーンの撮影のときはいかがでした?
撮影が1人のときは全然問題ないんですけど、見えない巨人を相手にキャスト全員が同じリアクションをしなきゃいけない場面とかがすごく難しくて。上下左右に追うような演技は全然問題ないんですよ。イメージを共有するのも簡単ですし。ただ巨人が迫ってくるような、奥行きを示す芝居を皆でそろえるのが難しくて、本当に苦労しました。
──奥行きを演技で示すのは難しそうですね。どのように撮影を行ったんですか?
主に助監督の方たちの指示を受けながら撮影しました。助監チームの皆さんが、キャストの全員の動きをチェックして、後ずさるタイミングとか、キャストの視線の動きとかをあわせていきました。
──それはペンライトなどで位置やタイミングの指示を受けるような形ですか?
そうですね、大きさとか上下左右の動きは、ペンライトの指示で大丈夫だったんですけど、奥行きをライトで示すのは難しくて……。だから今振り返ると、キャスト1人ひとりの想像力がシーンを作っていたんだと思います。
リアリティは重たい
──撮影中、大変だったことや過酷なエピソードはありますか?
撮影中はほとんど立体機動装置を着けっぱなしだったので、いつも過酷でしたよ(笑)。あの装置は、着けるのにも外すのにもすごく時間がかかるし、重いので着けているだけで体力を奪われるんです。撮影終盤では、自分で着脱できるようになって、そのおかげで移動や食事もずいぶん楽になりました。
──あの装置はやっぱり重たいんですか?
けっこう重たいんですよ。しかも私はワイヤーアクションをほとんど行わないので、三浦春馬さんや長谷川博己さんたちが着けている装置よりも重たいものを装着していて。
──人によって装着しているものが違ったんですか?
そうなんですよ。ワイヤーアクションを行う人は、アクション中に体勢が崩れないようにちょっと軽めのものを着けていたんです。逆にワイヤーアクションを行わない人たちは、重たい素材で、よりリアルに作られた装置を着けていて。その重さが演技のリアリティを生み出す手助けをしてくれたんだと思うんですけど……本当にすごく重くて(笑)。
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「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」全国東宝系にて公開中 / 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」2015年9月19日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督:樋口真嗣
原作:諫山創(講談社「別冊少年マガジン」連載中)
脚本:渡辺雄介、町山智浩
特撮監督:尾上克郎
主題歌:SEKAI NO OWARI「SOS」
音楽:鷺巣詩郎
キャスト
エレン:三浦春馬
シキシマ:長谷川博己
ミカサ:水原希子
アルミン:本郷奏多
ジャン:三浦貴大
サシャ:桜庭ななみ
サンナギ:松尾諭
フクシ:渡部秀
ヒアナ:水崎綾女
リル:武田梨奈
ソウダ:ピエール瀧
ハンジ:石原さとみ
クバル:國村隼
石原さとみ(イシハラサトミ)
1986年12月24日、東京都生まれ。2002年、第27回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ピュアガール2002」でグランプリに輝き、2003年放送の「窓を開けたら」でドラマ初主演を務める。同年、映画デビュー作「わたしのグランパ」での演技が高く評価され、第46回ブルーリボン賞新人賞をはじめ多数の映画賞を獲得。2005年のドラマ「WATER BOYS2」でエランドール賞新人賞、2006年公開「北の零年」で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞に輝いている。
2015年9月18日更新