映画ナタリー Power Push - 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」
水原希子インタビュー 呼吸をあわせること、共有すること
そこにいない巨人を皆で見つめ続けた日々
──本作でアクションシーンに初挑戦されたかと思うんですが、いかがでしたか?
タイミングをあわせるのがすごく難しかったです。アクション部の方々が引っ張るタイミングだったり、下ろすタイミングだったりというのもあるので。俳優とスタッフさんたちとのタイミングが全部完璧にそろわないとシーンが成立しないんですよ。だから呼吸をあわせることが大事でしたし、アクションシーンの撮影時はすごく緊張感がありました。
──その中でも特に難しかったシーンは?
逆さ吊りになってエレンを助けるシーンがあるんですけど、それが一番きつかったです。逆さになったまま何分間も止まっていなくちゃいけないので、頭に血が昇っちゃって。クラクラしてきちゃうんですよ。そういう肉体的にすごくきつかったシーンはいくつかありました。あと5、6mくらいの高さで逆さ吊りになった状態から、すごい速さでヒュッと降ろされて、そこですぐに立ち上がって走り始めるシーンとかもあって。
──難しそうですね。
初めは「えー、マジかー」みたいに思いましたよ(笑)。でも、今振り返るとほかの作品ではできない貴重な経験になったと思っています。
──タイミングが重要という話でしたが、キャストの方々とは密にコミュニケーションを取っていたんですか?
よく話し合いをしましたね。巨人を見つめる目線をあわせるのがすごく難しくて。スタッフの方から、ここに巨人が立ってるとか、ここから巨人の手が現れるとか説明を受けるんですけど実際にはいないので(笑)。1人でも目線がズレてると違和感があるし、目線をあわせてるんだけど、違うところを見ているように見えちゃったりとか。そういう目線をあわせなくちゃいけないシーンがたくさんあるので、今どのシーンをやっているのかわかんなくなっちゃうんですよ。グリーンバックで、1日中撮影しているので。だから今何をしてるのかわからなくなってきたらジャンとかに「ジャン、今さ、ここからここに手が来てて、ここにつかみに来るからここを見るってことでいいんだよね?」、「うん、それでたぶん大丈夫」、「ねえエレンそうだよね?」、「うん、それで大丈夫」みたいに聞いていました。
──三浦貴大さんと、三浦春馬さんのことですね(笑)。キャストの皆さんは、キャラクターの名前で呼びあっていたんですか。
私は基本的に全員キャラクターの名前で呼んでました。それぞれキャリアも年齢もバラバラだけど、皆で1つの作品にチャレンジしてるっていう気持ちを持てたように感じてすごく楽しかった。「これでいいんだよね?」ってコミュニケーションを取りあって、1つのシーンをいいものにしようという気持ちを持てたので。あと監督も撮影のたびに新しいことに挑戦したり、斬新なアイデアを出してくれる方だったので、それもすごく新鮮だったし、充実した現場でした。
オーソドックスな技術と、最新鋭のCGが楽しめる新しい映画
──グリーンバックの撮影が多かったかと思うのですが、完成品を観ていかがでしたか?
本当にびっくりしました。CGによって作品がどう変化するんだろうと、撮影のときから思っていたので。仕上がったものを観たときは、「撮影のときから樋口監督にはこの映像が見えていたんだな。監督ってすごいな」と素直に思いましたね。私たちは、グリーンバックでワーワーやってて、もちろん自分たちの中では巨人や空間を想像してはいるんですけど、やっぱりちょっと面白いんですよ。実際何もない中でアクションを撮っていると、ちょっとバカみたいっていうか(笑)。もちろん、今考えるとですけどね。
──ははは(笑)。
映画には本当に圧倒されました。最初に仕上がったものを観たときにいち観客として興奮したし、すごく楽しめたんです。出演した作品でこれだけ楽しめるっていうこともなかなかないんですよ。粗探しをしてしまうことが多くて。でもこの作品ではそれがなかった。それだけ世界観が完成されていたし、これはいい作品に参加できたなって思いましたね。
──ご自身の想像を超えるものになっていたということですか?
観たことがないものになったなって思いました。アクション映画とか特撮映画とかは、世界にたくさんあると思いますし、この作品もジャンル的にはその中に入ると思うんです。でも特撮とCGが混ざりあって、オーソドックスな部分と、最新鋭の技術がどちらも楽しめる新しいものができたなっていう感じがしました。観たときはとにかく興奮しまくりでした。
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「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」2015年8月1日より全国東宝系にて公開 / 「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド」2015年9月19日より全国東宝系にて公開
スタッフ
監督:樋口真嗣
原作:諫山創(講談社「別冊少年マガジン」連載中)
脚本:渡辺雄介、町山智浩
特撮監督:尾上克郎
主題歌:SEKAI NO OWARI「ANTI-HERO」
音楽:鷺巣詩郎
キャスト
エレン:三浦春馬
シキシマ:長谷川博己
ミカサ:水原希子
アルミン:本郷奏多
ジャン:三浦貴大
サシャ:桜庭ななみ
サンナギ:松尾諭
フクシ:渡部秀
ヒアナ:水崎綾女
リル:武田梨奈
ソウダ:ピエール瀧
ハンジ:石原さとみ
クバル:國村隼
水原希子(ミズハラキコ)
1990年10月15日、アメリカ・テキサス州生まれ。アメリカ人の父と韓国人の母を持つ。10代前半からモデルとして活躍し、MAQUIA、ViViなどで専属モデルを務める。2010年「ノルウェイの森」のヒロイン・小林緑役で女優デビュー。以後、「ヘルタースケルター」「プラチナデータ」「トリック劇場版 ラストステージ」などに出演。「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」で自身初となる本格アクションに挑戦している。
2015年9月18日更新