シュー・ジェンシーは品があるので、皇太子役が似合う(ゆんちゃん)
──続いてお話しするのは同じくシュー・ジェンシーが主演を務めた「花令嬢の華麗なる計画」です。
「花令嬢の華麗なる計画」とは?
政治に無関心なふりをする策略家の皇太子と風が吹いただけで気絶してしまうほどか弱いふりをする“最強令嬢”がだまし合いながら惹かれ合うラブコメ時代劇。知略に長けたやり手な一面と“純情男子”の一面をあわせ持つ皇太子をシュー・ジェンシー、病弱なふりをしているものの人さらいたちを1人で倒してしまうほどの強さを持つ令嬢をモン・ズーイーが演じた。
──最近日本でも流行っている気軽に楽しめるラブコメ時代劇ですが、お二人がラブコメ時代劇を観るときに期待するポイントは?
ゆんちゃん 私はもう完全に癒やしを期待しますね! 特に忙しいときはノンストレスで観られるラブコメ時代劇に癒やされたいです。
しーちゃん 私も、ラブコメ時代劇なら時代考証とか細かいところまで気にせず、気楽に楽しみたいですね。大事なのはストーリーの面白さ、そのカップルのビジュアルと相性のよさ。両方をバランスよく満たしてくれて、ラブラブな甘いシーンも十分に供給される作品が観たいです。
ゆんちゃん そういう意味で、王道なラブコメ時代劇だった「花令嬢の華麗なる計画」はとても楽しめました。シュー・ジェンシーの出演作「策略ロマンス~謎解きの鍵は運命の恋~」とも似ていますよね。主人公が2人とも賢い策略家で、目の前に次々と立ちはだかるミッションをクリアしていくストーリー。爽快感があって面白かったですね。
しーちゃん 確かに、王道なので誰もが観やすくて安心感があるし、中国ドラマの中では短いほうなのでサクッと観られます。
ゆんちゃん それにシュー・ジェンシーは品があるので、このドラマの皇太子・姫元溯(きげんそ)役が似合う! 服装も素敵だったし、気品があって、ビジュアルにしてもキャラの性格設定にしてもぴったりだなと思いました。
しーちゃん ヒロインを演じたモン・ズーイーもキャラにハマっていたと思います。彼女は「射雕英雄伝 レジェンド・オブ・ヒーロー」「陳情令」など、これまではおしとやかな役が多かったんですが、今回演じた花琉璃(かりゅうり)は頭の回転が早いヒロイン。彼女の顔立ちに合っているなって思いました。
ゆんちゃん 主人公カップルは2人とも人前では猫を被って別のキャラを演じているんです。どちらか1人じゃなくて2人とも本性を隠しているパターンは珍しいですよね。お互い本音を探り合っていて、表面上の会話とは別に2人の心の声が聞こえてくるという演出が面白い。シュー・ジェンシーはやっぱり私、コメディのほうが好きかもしれない。
──姫元溯は都にやってきた花琉璃と初めて対面するけれど、実は傍若無人な花琉璃は幼い頃から姫元溯に自慢話などをつづった手紙を送りつけていたという設定ですよね。姫元溯は彼女に手紙でバカにされたのをきっかけに飼い始めた猫をかわいがっているというエピソードがあったり……。
ゆんちゃん 猫を花琉璃だと思ってかわいがっていたんだろうなと思うと、そういうキュートな一面もいいなって。
しーちゃん そうそう、そういうピュアな面もあるギャップがよかったですね。
ゆんちゃん あと、姫元溯は皇太子なので、周りはみんな彼を尊重して花琉璃のようなぞんざいな扱いをしないじゃないですか。だから、これもまた「千紫万華」のヒロインと同じく男子が“おもしれー女”って気になっちゃうパターンですよね!
しーちゃん 確かに!
ゆんちゃん 普段接するような女性たちとは全然違う行動をする異性に惹かれる、少女マンガパターンだなって思いました。
──姫元溯と花琉璃の胸キュンシーン、甘々シーンで好きなシーンはどこですか?
ゆんちゃん 甘々シーンはもちろん、甘々になる前の両思いだけど、まだ探り合っている2人のやり取りが好きでした。あとびっくりしたシーンが、ロマンティックな雰囲気を演出するのにハートの形が使われるところ。そのノリが完全に現代やん!と思って(笑)。
しーちゃん この時代にハートって概念あるんだ?っていう(笑)。
ゆんちゃん ここで、この作品は舞台が古代だけど中身はほぼ現代劇ですよってことがわかります(笑)。
しーちゃん ルールにとらわれてない感じですよね。古代にこれはないだろうって考えずに楽しもうよ、みたいな(笑)。
ゆんちゃん ある種のファンタジーなんですよね。ほかにも花琉璃が自分のお店で特別な容器に入れた飲料を購入特典を付けて売ったり、現代っぽい要素がエピソードの中に登場するのが面白くて、古代の人たちが発展して今の自分たちがいるんだ、みたいな発想とか想像も広がりますね。
「花令嬢の華麗なる計画」は甘いデザートのよう(しーちゃん)
──このドラマもサブカップルがいろいろ出てきますが、お気に入りのカップルはいましたか?
ゆんちゃん 私は姫元溯と行動をともにしている裴済懐(はいせいかい)と花琉璃の侍女・鳶尾(えんび)が好き。どのドラマでもいつも主人公の横にいるキャラってよくないですか!? あの2人の感じがすごくかわいくてほほえましかったです。
しーちゃん 主人同士がカップルになると、お付き同士もカップルになるって、あるあるパターンですよね。
ゆんちゃん あと、英王・姫元灝(きげんこう)と郡主・田嘉敏(でんかびん)。あの2人は完全に笑いを取りに来てる感じ(笑)。
しーちゃん 2人は一見意地悪なのかなと思うけど、根はいい人。そういうキャラがいてくれるとすごく癒やされますね。主人公たちに対して負の感情も持つけど、それこそ人間味がある証拠じゃないですか。そっちのほうが逆にかわいく見えるし、いざというときはいい人っていうところが、すごく魅力的な2人。お似合いですね。
ゆんちゃん そんなのほほんとしたカップルたちの中で、楽師の雲寒(うんかん)とお嬢様の杜琇瑩(としゅうえい)は生きてる世界が全然違う悲恋カップル。そういうカップルもちゃんと入れてくるのがうまいなっていうね。
しーちゃん 基本的にコメディなんだけど、ちょっと悲しい要素もありますよね。
ゆんちゃん 7、8割コメディで、2、3割ちょっとシリアスなところも入ってくる。描かれる時間は少なかったけど、雲寒と杜琇瑩の身分違いカップルのエピソードがすごくよくて、この2人が主人公となるストーリーだって作れるぐらい。そういうメリハリのあるところも楽しめる部分でしたね。
──さらに、女子が活躍したり団結したりするストーリーも意外と面白い見どころだと思うのですが、いかがですか?
ゆんちゃん そうですね、あえて女性の活躍を見せるというメッセージ性を感じましたね。衣装を見るとわかるんですけど、このドラマは武則天がいた唐の時代をモデルにしているんです。その時代は男尊女卑の古代社会でも女性がちょっと強い時代で、花琉璃が初の女性として仕官して朝議に出たりするシーンには、女性も責任を持っていろんな仕事がやれるんだ、というメッセージが込められていたのかなと。女性視聴者が共感できるところですね。
しーちゃん 最近は女性の団結を描くドラマが増えていますね。女性同士が対立するのも、もちろん宮廷ドラマとかでは王道ですけど、そればかりじゃなくって、女性同士で団結するのもありだよねっていう作品が出てきています。
ゆんちゃん このドラマでも花琉璃と田嘉敏は対立していたのに、途中から仲良くなっていく。一緒に誘拐されたところで2人の関係性が変わるじゃないですか。花琉璃が実は勇ましくて武芸もできるという本性を現して、そんな花琉璃を見てポカーンとなってる田嘉敏の変化も面白くて。誘拐されて緊張するシーンのはずが笑える!
しーちゃん そう、あのシーンは姫元溯がめちゃくちゃ彼女の身を心配して焦ってるのに、肝心の花琉璃本人は、余裕で1人勝ちです、みたいな感じで笑えました!
──そんなふうにストーリーが盛り上がっていって、後半は2番手男子となる隣国の皇子様・賀遠亭(がえんてい)も出てきますよね?
ゆんちゃん 彼、かっこよかったですよね! しゃべり方が特徴的だなと思いました。異国の感じがすごく出てる。この人もヒロインのことが好きっていうね。ちょっと不器用な感じで、本当はめっちゃ好きなのに1回だまされちゃってそれがトラウマになってるところもかわいい。それで、姫元溯が花琉璃と賀遠亭のちょっとした過去に嫉妬したりとか。
しーちゃん でも、主人公2人はラブラブだし、賀遠亭は姫元溯にとってライバルにもなってない(笑)。
ゆんちゃん そうですね、主人公2人の愛にまったく揺らぎはなかったんですけど。でも、賀遠亭の目線で考えると、そこがまた切なくていいんです。
──そのほかに、このドラマならではの注目ポイントはありましたか?
ゆんちゃん 劇中で姫元溯の弟である3番目の皇子が登場人物を動物にデフォルメして描くイラストが出てきて、それがめっちゃかわいい! グッズがあったら欲しいなって思うくらい。あと、本編が終わったあとに必ずおまけ映像があって、あのとき実はこうだったっていうエピソードを紹介してる。そういうかわいい要素が多いのにも注目です。
しーちゃん 唐の時代をモデルにした衣装もかわいいですよね! このドラマは中国でもヘアメイクがすごく評価されていたんです。唐の時代らしい盛った髪型、眉毛の描き方、ワンポイントとして額に描く赤い文様とか、ハデハデな当時のヘアメイクを再現しているところにも注目してほしいですね。
──今回、「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」と「花令嬢の華麗なる計画」を観ていただきましたが、改めて2作を見比べた感想をお願いします。
ゆんちゃん シュー・ジェンシーがそれぞれ全然違うキャラクターを演じていて面白かったです。役者さんとしてのすごさを感じました。
しーちゃん 「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」は最初に想像していたよりも重厚なストーリーが楽しめましたね。
ゆんちゃん 「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」は日本の作品ではなかなか観られないような世界観で、初めて中国ファンタジーを観る方は新鮮な気持ちで観られて、こういうジャンルもあるんだって、視野が広がるんじゃないかと思います。
しーちゃん そんな「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」に比べると「花令嬢の華麗なる計画」のほうは甘いデザートのような感じ。
ゆんちゃん シリアスな「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」のあとには「花令嬢の華麗なる計画」を観て癒やされるのもいいかもしれません。
中国ドラマ「千紫万華(せんしばんか)~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~」第1回特別公開中
中国ドラマ「花令嬢の華麗なる計画」第1回特別公開中
プロフィール
李姉妹(リシマイ)
日本在住中国人姉妹YouTuber。姉のゆんちゃんと妹のしーちゃんが2018年に「李姉妹ch」を開設した。中国語学習法や中国の文化、ドラマ情報などを発信し人気を集め、チャンネル登録者数は約35万人(2023年7月現在)。著書に「李姉妹のおしゃべりな中国語」「長草くんと李姉妹のまるっと話せる中国語」「すぐに話せて必ず通じる 李姉妹と基礎から中国語」があり、2023年2月に中国の旗袍(チーパオ)を日本から手軽に買えるネットショップを開設した。
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